昨日は東大弥生講堂にて日本熱電学会に参加、太陽熱電発電の日中共同研究を共同研究者が発表。弥生講堂の一条ホールは木の香りも残り久し振りだった。熱電変換素子開発の関係者が多く、特に物性の基礎的研究が中心となっているようで、多種類の材料を撹拌し固形化して焼結し熱電特性のほかにDebye model, Debye temperature, Hall 係数測定、平均自由行程、音速、熱拡散率、といったなつかしい用語が次々と出てくるが、すんなりと頭の中に染み込んで来る。今日はβパイロクロア型酸化物の話など若手の研究者が元気に発表していた。
ボクも若い時代、大学3年のころ物性に興味を持って勉強したことがあるが、4年に進級したときには齋藤安俊先生が秋田大学に移ってしまったので、4年の時に興味があった原子炉物理や熱工学の分野を専攻した。物性は大学院時代も興味があったので、現在も突然出てきても違和感はない。記憶に違いがなければその後、齋藤先生は東京工業大学に移られたようだ。
昨日は、日本熱電学会会長の梶川武信先生と偶然に話をする機会があった。材料の開発など研究をされ学長も務められ、名誉教授になられた後も熱電変換のパワーコンディショナーのベンチャーを立ち上げ、ブースを出されていた。そのバイタリティには大いなる敬意を表します。理想の生き方を考える上で、小生も少しは励まなければと考えた次第です。
さて、同日はゼネコンのいわゆる一流会社の若手研究者と生物多様性について議論する機会があった。何しろ生物多様性に関する国連の条約締結国会議COP10が今年10月に名古屋で開催されるとあって、生物多様性で官民が盛り上がっている。1992年のリオのサミットで地球温暖化とともに生物多様性も国際的に合意していたにも係わらず生物多様性への対応が遅れていたのは、範囲が広大で着手するには大きすぎるテーマだったのかも知れない。
生物多様性の実態はかなり広範囲で、生物種や遺伝子情報から途上国の貧困問題解決まで含まれており、日本政府や経団連もガイドラインを出している。また認証制度もスタートし、幾つかの事例もあるようだ。ただ実行に移す段階になると、民間の力がなければ実現できず、ビジネスとして成立しなければ進展しない。議論を通してゼネコンの若手研究者の意識は高く、積極的に関与しようという意図があり、元気な世代が育ち次の時代を動かしていると頼もしく感じた。
研究の現場にいた人間から見ると、この問題は研究とビジネスの大きなチャンスであり、アイデアを出して率先して着手する時期が早ければ早いほど先行者利益もある。生物多様性のテーマは、地球温暖化とバイオマスの利活用が一時期に取り上げられた問題よりも大きな課題だというコメントもあり、従ってそれに伴うビジネスチャンスは大きい。