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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

i 新聞記者ドキュメント

2020-05-04 17:39:03 | 映評 2013~
7日間映画チャレンジ 2日目
前回は2020年映画からの一本で「ミッドサマー」でしたが、今回は2010年代映画から1本として「i 新聞記者ドキュメント」をチョイス

「i 新聞記者ドキュメント」 iはイソコのi? それとも・・

ちなみに私の主催で「2010年代映画ベストテン」という企画を行いまして、23名の映画ブロガーや映画作家らの投票で2010年代の映画ベストテンを選出しました。こちらもあわせてどうぞ。

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ブロガー&SNS映画レビュアーの2010年代映画ベストテン_ TOP - 自主映画制作工房Stud!o Yunfat 改め ALIQOUI film 映評のページ

映画を愛する皆様、こんにちは2020年1月より当ブログで募集を開始した「ブロガー&SNS映画レビュアーによる10年代(2010~2019)の...

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さて「i新聞記者ドキュメント」ですが、別に私の2010年代ベストワン作品ではなく、ベストテンからもこぼれた映画ではあるのですが、なぜ今回の映画バトンで2010年代代表に選んだかと言うと・・・「ミッドサマー」と同様に映評書いてなかったからです。

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菅官房長官に、伊藤詩織さん、山口敬之さん、前川喜平さん、籠池夫妻などなどこの数年で政治的話題になった人たちが次から次へと本人登場するので、2010年代の政治界隈の話題をぎゅっと凝縮した政治ドキュメンタリーとして面白い。
リベラル視点の映画だが、自民党支持者の保守層やいわゆるネトウヨも興味深く見れるだろう。見ないだろうけど・・・・
などと言いつつ、こうやって保守とかネトウヨとかいって、レッテル貼りして、ふわっとしたグループを対象に政治を語りがちになってしまう、2010年代に作られた悪しき風潮に自分もはまっているのでは・・・と気づかされる面もあった。
この映画のタイトルが、実は、深い。

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2010年代は日本の政治的には、分断の進んだ10年だったのではないかと思う。
3.11を経て、民主党政権が国民の信頼を失い、政権は自民党に戻った。しかも自民党凋落のきっかけとなったのが安倍政権だったから、政権交代は全部なかったかのように、安倍政権に戻った。
(ちなみに私は菅直人は実はそこまで低評価ではないが、野田佳彦は嘘つきのバカで嫌いというスタンス)

これは自民党が国民から支持されたわけではなく、民主党政権交代の原動力となった無党派層が政治に失望し選挙に行かなくなったからではないかと思ってる。第二次安倍政権以降の選挙ではいつも投票率は超低い。
そして選挙においてはせいぜいが30%台の支持率でしかない自民党が議席の6割をとってしまうという、歪んだ国会が生まれる。
民主党が政権とった時だって民主党の支持率は似たようなもんだったから、これは小選挙区制という制度自体の致命的欠点なのだと思う。
やはり日本においては、選挙は昔のような中選挙区制で、第一党がかろうじて過半数くらいで、野党と話し合って妥協点を探っていくという政治があるべき姿だと思う。

3割に支持された党が議席を独占するのは、ようするに先鋭化した一部集団が権力を持つということだ。
第一次安倍政権以来、1~2年で首相が変わってばかりだった日本は、安倍第二次政権で一応の「安定」は見るのだが、その結果日本は分断が進んだ。特に右も左も先鋭化した意見に支配されやすいネットには顕著に表れている。

「i 新聞記者ドキュメント」は右か左かで言えば左でいわゆる「リベラル」の映画だ。
ここでも「主戦場」と同様に「日本会議」への言及があり、沖縄の基地建設に対する厳しい批判がある。
けれどもこの映画は、望月衣塑子記者のパワフルな生き方を追い続け、政治的思想よりも個人の生き方を描くことがまず第一義にあったように思う。

そう思ってみているとラストで森監督のナレーションがまさにそういう趣旨のことを説明する
森監督が言うには、観てからにだいぶたつので、うろ覚えですが、要約すると
僕はいわゆるリベラルだが、保守とかリベラルとか、右とか左とか、そうやって人間をカテゴライズするのは良くない。まず一人一人という個人がある。

ということ。
そうタイトルの「i」は望月衣塑子(イソコ)の「i」であると同時に、英語の一人称の「I」の意味があったわけだ。

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そしてこの映画の「i (私)」は森監督個人の「i」にも踏み込んでいる
この映画は2軸がある。
メインの軸はもちろん望月衣塑子記者と官邸との闘いである。(iのつかないほうの新聞記者で(一応望月衣塑子原作の扱いなのに)1ミリも描かれなかったイソコvsスガのやり取りが見れて、あちらで感じたフラストレーションがすこし発散)
そしてサブ軸が、森監督が官房長官会見に記者として参加できるかどうか

官邸記者会の決まりでは実質的にビデオや映像のジャーナリストは参加できないことになっている。
そもそも官邸会見はマスコミ側が主導で、ルールを作り運営するものなのに、官邸ルールの方が強い。マスコミ側も官邸に極度に忖度して改めようとしない。
森監督はなんとかルールの抜け穴を探して記者会見に入ろうとする。
なにしろ望月衣塑子記者が主人公だから、会見で菅官房長官とやりあっている映像はもちろんほしいに決まっている。(記者会が公開しているパブリック映像はつかっているが、もちろん森さんの目線で森さん自らが撮った映像で望月衣塑子記者と菅長官を一枚の画に収めたいのはよくわかる)
そこで森さんは、いろいろな人に記者会見に入る方法をきく。その方法を聴こうと電話をかけるあての中には、あのクソジャーナリスト上杉隆(現N国党幹事長)もいる。
そのうち森さんは、こうなったらルール違反で記者会見に入り込んでつまみ出される場面になってもいいと考える。
やがて官邸付近をカメラもって歩いているだけで守衛に通行を禁じられたり(他の観光客はスルーなのに)

さて森さんは記者会見場に入ることができるのか!!というのが、望月衣塑子さんの質問妨害とか、官邸と記者会の関係とか、沖縄問題とかと同じくらいの強さで映画の中では進んでいく。
だからこれは望月さんのドキュメンタリーであると同時に、森さんの官邸記者会見突入作戦のドキュメンタリーになっている。
その中で、官邸とマスコミの不可解な関係とか、マスコミの問題点も浮かび上がってくるのだ。

この映画は、望月さんをダシに政治的主張を並べるだけではなく、ドラマツルギーがありサスペンスがある。
そう、これは立派な政治エンターテインメント映画だ。

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追記
一番げひゃげひゃ笑ったのは、望月さんが時事ネタコント集団ザ・ニュースペーパーのラジオ収録にゲストで呼ばれて、モノマネ菅長官と笑顔でツーショット写真撮るところ!!

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