技巧ばかりが先走っているというか、必要以上にカメラで遊んでいるというか(その点では「三丁目の夕日」に近いものを感じる)、才気走ったカメラワークや演出が少々くどい、うざい。
けれど、オープニングの木の葉の虫食い穴をすり抜けるカメラとか、マンションの屋上でガーデニングしている小泉今日子のアップからカメラが一気に引いて地上にからのマンション全景になるとことか、普通にびびった。一体どうやって撮ったのだろう?・・・ってトリックなしの移動撮影の筈はないから、CGか、編集処理かなんかだろうとは思うけど。・・と思ってパンフを読んだら、やっぱりCGでした。
「三丁目」のCGより自然!!
ただし、小泉今日子の顔からマンション全景に移行した後の、マンションがぐるぐるまわってタイトルが出てくるところは、すげーださい。
しかしカメラや演出のくどさは素晴らしい脚本と俳優たちが次第にボルテージを上げていく後半においては何も気にならない。あるいは出演者一同の限界越えした姿を引き出したくて過剰な演出に走ったのかもしれない。そして俳優一同、監督の要求に応えた。
小泉今日子はすでに報知、東スポなどで映画賞を受賞しているし、色んなところで色々語られているから、多くは語らない。
あ、でもちょっとだけ。優しかった母の「お前、死ねよ!!」「生まれ変わったら私があなたの母親になって躾けてあげるから、もう死んで。」とか、その昔のなんてったってアイドルは、いまや日本を代表する性格俳優に変貌しつつある
出演者の中で特にすごかったのはKyon*2に「死んだら?」と言われる祖母を演じた大楠道代。正直今までこの人の芝居がいいと思ったことは無かった。なんかわざとらしいし、どの役も同じに見える。だがやっとこの映画でこの人の凄さがわかった。芝居っぽい喋り方をする人間として、妬み、憐れみ、怒り、誇り、躊躇い、戸惑い、蔑み、愛・・・あらゆる感情を披露する。とくにラブホでソニンと対決するところは名シーンだ。すごみ、容赦なさ、余裕・・・がアクション演出の過剰さをかき消すくらい存在感ある。いつも同じに見えるのも、アル・パチーノみたいなもんで、なんか一つ気に入ったところがあると、マンネリが素晴らしく思える。
***********
ところで、めったにパンフは買わない私だが、本作のパンフレットは傑作である。
パンフが傑作ってのも変な話だが・・・
例の監督逮捕の副作用か、パンフには当然監督のコメントは無いし、監督の紹介すらない。ところが、撮影・照明・録音・美術・衣装・メイク・編集・音楽・・・など裏方のトップたちのインタビューが2pずつ載っている。スチルもそれなりに。脚本の掲載は当然として、極めつけは、原作者角田光代の書き下ろし短編小説、空中庭園の続編「夜道の家族」が掲載されている!!
これで1000円。
映画雑誌まるごと一冊分くらいの読みごたえ。買った方がいい。DVDにもこんな豪華なブックレットは付かないだろう。
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
けれど、オープニングの木の葉の虫食い穴をすり抜けるカメラとか、マンションの屋上でガーデニングしている小泉今日子のアップからカメラが一気に引いて地上にからのマンション全景になるとことか、普通にびびった。一体どうやって撮ったのだろう?・・・ってトリックなしの移動撮影の筈はないから、CGか、編集処理かなんかだろうとは思うけど。・・と思ってパンフを読んだら、やっぱりCGでした。
「三丁目」のCGより自然!!
ただし、小泉今日子の顔からマンション全景に移行した後の、マンションがぐるぐるまわってタイトルが出てくるところは、すげーださい。
しかしカメラや演出のくどさは素晴らしい脚本と俳優たちが次第にボルテージを上げていく後半においては何も気にならない。あるいは出演者一同の限界越えした姿を引き出したくて過剰な演出に走ったのかもしれない。そして俳優一同、監督の要求に応えた。
小泉今日子はすでに報知、東スポなどで映画賞を受賞しているし、色んなところで色々語られているから、多くは語らない。
あ、でもちょっとだけ。優しかった母の「お前、死ねよ!!」「生まれ変わったら私があなたの母親になって躾けてあげるから、もう死んで。」とか、その昔のなんてったってアイドルは、いまや日本を代表する性格俳優に変貌しつつある
出演者の中で特にすごかったのはKyon*2に「死んだら?」と言われる祖母を演じた大楠道代。正直今までこの人の芝居がいいと思ったことは無かった。なんかわざとらしいし、どの役も同じに見える。だがやっとこの映画でこの人の凄さがわかった。芝居っぽい喋り方をする人間として、妬み、憐れみ、怒り、誇り、躊躇い、戸惑い、蔑み、愛・・・あらゆる感情を披露する。とくにラブホでソニンと対決するところは名シーンだ。すごみ、容赦なさ、余裕・・・がアクション演出の過剰さをかき消すくらい存在感ある。いつも同じに見えるのも、アル・パチーノみたいなもんで、なんか一つ気に入ったところがあると、マンネリが素晴らしく思える。
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ところで、めったにパンフは買わない私だが、本作のパンフレットは傑作である。
パンフが傑作ってのも変な話だが・・・
例の監督逮捕の副作用か、パンフには当然監督のコメントは無いし、監督の紹介すらない。ところが、撮影・照明・録音・美術・衣装・メイク・編集・音楽・・・など裏方のトップたちのインタビューが2pずつ載っている。スチルもそれなりに。脚本の掲載は当然として、極めつけは、原作者角田光代の書き下ろし短編小説、空中庭園の続編「夜道の家族」が掲載されている!!
これで1000円。
映画雑誌まるごと一冊分くらいの読みごたえ。買った方がいい。DVDにもこんな豪華なブックレットは付かないだろう。
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「赤目四十八滝心中未遂」の彼女、なかなか良かったと思いますが・・・。
座頭市とか見てるときはなんだかなあ・・・と思ってたんですが、一旦よさに気づいて思い返してみると、どの道代さんもいいんですね。
若いころの妖艶な感じ(ツィゴイネルワイゼンとか)も好きです。