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クラシック音楽感想「プロコフィエフ 10月革命20周年のカンタータ」で出会う「レッドブル」と「ウィロー」

2019-11-05 21:43:15 | クラシック音楽

ロシア革命で一旦祖国を離れながら何故か社会主義ソビエトに戻ってきたプロコフィエフが、手掛けたヤケクソ気味に壮大な社会主義プロパガンダ曲。
10月革命20周年ということは1937年か。スターリン独裁体制が確立し、ドイツではヒトラーが独裁しており、第二次大戦の2年前の非常にキナ臭い時期。
オーケストラと合唱に加えて、マシンガンの音が鳴り、レーニンの演説が拡声器で怒鳴り散らされるという椎名林檎も真っ青な激しすぎる曲。
その昔チャイコフスキーがロシア帝国を讃える曲を作らされた際にキャノン砲を楽器に加えたことへの対抗かもしれない。
何にせよ色々やり過ぎ感が半端ない。
ショスタコーヴィチの戦争交響曲よりもさらに激しい、血なまぐさい怒涛の40分間。ロシア語わからんからずっと戦いまくりの曲に聴いてて気持ちは上がりまくり。
スターリンの詩とか、レーニンの演説とかわかって聞くとどんな気分になるんだろうか。

CDはウクライナのキリル・カラビツが指揮したわりと最近の録音。最近じゃ演奏される機会も少ないのだという。そりゃそうだろうな。カラビツという指揮者は初めて知りましたが、曲のせいもあるんだろうけど、凄まじい迫力を感じる演奏です。ゲルギエフなんかより好きなタイプの演奏と思いましたが、これ一曲では評価できません。
最近のウクライナということでロシアとは微妙な関係にある中で、カラビツはイデオロギー的なことはあまり気にせず純粋に音楽として取り組んだという

ところでプロコフィエフなら「古典交響曲」とか、有名な曲もいっぱいあるのになんでわざわざこれを買ったのかというと…
このカンタータのアルバムでいう2曲目の合唱曲が、シュワルツェネッガーの「レッドブル」のオープニングタイトルバックおよびエンドクレジットの曲として使われているということを聞きつけて買ったのです。

「レッドブル」のサントラはジェームズ・ホーナーの傑作だと思っているのだけど、アルバムは廃盤なので、せめてレッドブル気分を味わおうと買ったのでした。
映画で使われた曲はホーナーが映像に合わせてキメキメにかっこよくアレンジしているので原曲で聞くとだいぶ印象は違うけどでも、赤の広場でシュワルツェネッガーがソ連っぽい敬礼でキメ顔するラストは容易にイメージできる。
ところが、意外な発見。
やはりホーナーが音楽を担当した「ウィロー」のバブモルダ女王のテーマとそっくりなメロディがこのカンタータのそこかしこから聞こえて来るではないか。
こんな曲誰も知らんだろと思って使いやがったなホーナーめ…


そういうわけで、レッドブルとウィローという80年代ホーナー2大傑作を同時に聴けるようなお得感のあるプロコフィエフのいろんな意味でイッチャッタ無駄な力作でした!
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