自主映画制作工房Stud!o Yunfat 改め ALIQOUI film 映評のページ

映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

2001年の映画My ベストテン

2008-07-31 00:30:54 | 私の映画年間ベスト
2001年のMyベストテン
(2001年1/1~12/31に松本圏内で封切られた作品で劇場鑑賞したものか、その期間内に松本圏外で封切られその土地で劇場鑑賞した作品を対象とする)

外国映画Myベストテン(2001年 劇場鑑賞本数:51)
1位 リトル・ダンサー([英]スティーブン・ダルドリー)
2位 花様年華([香]ウォン・カーウァイ)
3位 アメリ([仏]ジャン=ピエール・ジュネ)
4位 ギフト([米]サム・ライミ)
 (超能力者の悲しみって好き。マーベル系は好かんが)
5位 オー・ブラザー([米]コーエン兄弟)
 (初めてコーエン兄弟の作品で楽しむことができた)
6位 ピッチブラック([米]デビッド・トゥーヒー)
 (B級の頂点)
7位 キシュ島の物語([イラン]モフセン・マフマルバフ、アボルファズル・ジャリリ、)
 (ジャリリの第二話だけでランクイン)
8位 マレーナ([伊]ジュセッペ・トルナトーレ)
 (モニカ様に熱くさせられた(どこを?))
9位 バニラスカイ([米]キャメロン・クロウ)
 (トムの熱オモロイ演技に大満足。キャメロン・ディアスのキチガイっぷりにも)
10位 夏至 ([ベトナム・仏]トラン・アン・ユン)
 (できは良くないかも知れんが、僕の趣味)

日本映画Myベストテン(2001年 劇場鑑賞本数:54)
1位 贅沢な骨 (行定勲)
2位 三文役者 (新藤兼人)
3位 害虫 (塩田明彦)
4位 風花 (相米慎二)
5位 リリィ・シュシュのすべて (岩井俊二)
6位 ウォーター・ボーイズ (矢口史靖)
7位 真夜中まで (和田誠)
8位 日本の黒い夏 冤罪 (熊井啓)
9位 回路 (黒澤清)
10位 リムジン・ドライブ (山本政志)
11位 千と千尋の神隠し (宮崎駿)
12位 アカシアの道 (松岡錠司)
13位 忘れられぬ人々 (篠崎誠)
14位 連弾 (竹中直人)
15位 かあちゃん (市川崑)
16位 東京マリーゴールド (市川準)

-------
2001年。
キューブリックの名作に現実が追いつけなかった年。
その一方でテロの恐怖において現実が映画を超えた年。

いつだったか筑紫哲也が、「歴史上初めて、大多数の人間があの日あの時私はこうしていたと言うことができる日」というようなことを言っていた。

僕のの2001年9月11日のあの時。
僕はフジテレビの連ドラを観ていた。中井貴一とフェイ・ウォン競演の恋愛ドラマの最終回だった。あまり面白くはなかったが、フェイ・ウォンが好きだったので毎週ではなかったがそれなりに観ていた。そしていよいよクライマックスに近づき、一旦は中井のもとからいなくなったフェイ・ウォンは、戻ってくるのか否か・・・というところで映像が切り替わった。あわただしい様子のフジテレビの報道の中で、深刻そうな顔でアナウンサーが喋っていた。N.Y.で貿易センタービルに飛行機が激突したという。
粒子のあらいビデオの録画映像が何度も繰り返された。それは二機目の飛行機が突っ込む瞬間の映像だった。
それからほぼ徹夜でニュースを見ていた。
正直に言う。ニュースを見続けたのはドラマの続きが見たかったからだ。本来のドラマの終了時刻ごろ、一瞬だけ画像がドラマにもどり、男女が抱き合っているように見えるロングショットの映像が流れた。女がフェイ・ウォンかどうか判然としなかった(物語の流れ的にフェイ・ウォンに決まっているのだが)。
最終回なんだしそのうちやるのではないか・・・と観ていた。
そのうちに諦め、チャンネルを色々変えて、そのうちNHKに固定した。
貿易センターのツインタワーそれぞれの崩落の瞬間は、ほぼリアルタイムで見ている。崩落のとき、民放の女性記者が冷静さを失い「逃げてー!!」と絶叫していたのを覚えている。
翌日は普通に出社した。みんな眠いだろうと思ったが、徹夜でニュースを見ていた人はあまりいなかった。

以上があの日あの時の僕の記憶だ。

--------
そんな世界情勢とは関係なく、映画を観まくった年だった。
この年、自主映画1作品を監督、2作品で主役を務めた。年始から9月まで週末となれば撮影。そして12月のぴあ出品に間に合わすべく秋からはひたすら編集。
にもかかわらず、映画は観た。暇さえあれば観た。しかも松本から、東京か名古屋まで行って映画を観て日帰りで戻ることも10回以上やった。
なんというバイタリティだったのだろう。
この年、個人的ベストに推した映画は多くが東京まで行って見た作品だ。
それほどのことができたのも、なぜだかこの年は見る作品どれも面白く感じられたからだ。久々の撮影で気分が高揚していたのかもしれない。
生涯ベスト級の作品こそなかったが、傑作だらけだった。

----------
思えばわりとシンプルな物語の「リトル・ダンサー」。よくできたドラマの域を超えていないように思えるし、2位や3位の方がはるかに映画的だと思うのだが・・・純粋にドラマの良さに酔ったということにしておく。後年のジャパンの「フラガール」は「リトルダンサー」の焼き直し。
1位「リトルダンサー」としながらも、DVDを購入したのは「花様年華」と「アメリ」だった。「花様年華」は映像の美しさに、「アメリ」は編集の面白さとヤン・ティルセンの音楽に酔った。
ストーリーの良くできて無駄のない「リトル・ダンサー」
ストーリーのほとんどない「花様年華」
無駄なエピソードばかりの「アメリ」
どれも「面白い」には変わりなし。

--------
この年初めて長編劇映画の鑑賞本数で外国映画より日本映画が多くなった。
日本映画は外国映画に比べ華々しさに欠けるが、安くても濃厚で見応えある作品が多かった。
「千と千尋の神隠し」などジブリ作品ではトトロの次に好きなくらいなのに、テンから押し出されてしまうほどに劇映画に魅了された。
ここに上げた16作品はどれも欠点も相当ある映画である。欠点をも映画の世界観の中にとりこんでしまうような映画作家の野心や執念が1~10位にあるような気がする。(そういう意味では「ウォーターボーイズ」は評価しすぎたかなとも思うが、あれとて「商業作家への転進をきめてみせてやる」、という野心を感じないでもない)
欠点を吸収しきれず違和感として吐き出されたままに思えるのが「アカシアの道」。しかし松岡作品で一番好きだ。
欠点をすっ飛ばして爆笑級の熱さが「忘れられぬ人々」にあった。
「連弾」の鼻唄の楽しさも印象深いし、俳優の演技のくどさがまた魅力なのだが、ややくどすぎで人に勧めにくい気がする。
「かあちゃん」は70年代金田一シリーズ終了以降に作られた市川崑作品で最高の面白さだと思う(「細雪」なんかよりはるかに)。
「東京マリーゴールド」はいつもの市川準で特に批判するほどの欠点もないが、マンネリ感は否めない。
映画賞は行定勲の「GO」が総なめした。私も「GO」は好きだ。だが、あの軽さより、「贅沢な骨」のダルさと重さと湿度の高いいやな暑さのような感覚の方が印象深い。1位とは褒めすぎかもしれないが、一番ズシリときたのだ。
殿山泰司の伝記映画にみせかけた新藤兼人の自分史映画「三文役者」もすさまじく面白かった。自分の人生に後悔なく、それでいてまだまだ映画と格闘を続ける老巨匠。死ぬまで映画を模索しつづけるだろう。ぜひとも原爆投下直後の数秒間を描きたいという企画を実現させてほしい。

----------
【2001年の劇場鑑賞全作の評価】

■■■■■■ →生涯ベストクラス
■■■■■□ →大好き
■■■■□□ →結構好き
■■■□□□ →まあまあ
■■□□□□ →つまんない
■□□□□□ →最悪

(11位以降、同点作品は順不同)
※→長野圏外で鑑賞

外国映画新作
1. ■■■■■□ リトル・ダンサー ([英]スティーブン・ダルドリー)※
2. ■■■■■□ 花様年華 ([香港]王家衛)※
3. ■■■■■□ アメリ ([仏]ジャン=ジャック・ジュネ)※
4. ■■■■■□ ギフト ([米]サム・ライミ)
5. ■■■■■□ オー・ブラザー ([米]ジョエル・コーエン)※
6. ■■■■■□ ピッチ・ブラック ([米]デビッド・トゥーヒー)
7. ■■■■■□ キシュ島の物語 ([イラン]ナセール・タグヴァイ、アボルファズル・ジャリリ、モフセン・マフマルバフ)
8. ■■■■■□ マレーナ ([伊]ジュセッペ・トルナトーレ)
9. ■■■■■□ バニラ・スカイ (笑)([米]キャメロン・クロウ)
10. ■■■■■□ 夏至 ([仏・ベトナム]トラン・アン・ユン)※
■■■■■□ アンブレイカブル (笑)([米]M・ナイト・シャマラン)
■■■■■□ キャスト・アウェイ ([米]ロバート・ゼメキス)
■■■■■□ グリーン・デスティニー ([台湾]アン・リー)※
■■■■■□ スナッチ ([英]ガイ・リッチー)
■■■■■□ トラフィック ([米]スティーブン・ソダーバーグ)
■■■■■□ ジュラシック・パーク ([米]ジョー・ジョンストン)
■■■■■□ シャドウ・オブ・バンパイア ([米]E.エリアス・マーヒッジ)※
■■■■■□ シーズン・チケット ([英]マーク・ハーマン)
■■■■■□ ロック・ユー! (笑)([米]ブライアン・ヘルゲランド)
■■■■■□ スパイ・ゲーム ([米]トニー・スコット)
■■■■□□ レッド・プラネット ([米]アントニー・ホフマン)
■■■■□□ ハート・オブ・ウーマン ([米]ナンシー・メイヤーズ)
■■■■□□ 宮廷料理人ヴァテール ([米]ローランド・ジョフェ)
■■■■□□ ザ・メキシカン ([米]ゴア・ヴァービンスキー)
■■■■□□ スターリングラード ([英、独]ジャン=ジャック・アノー)
■■■■□□ ブリジット・ジョーンズの日記 ([英]シャロン・マグワイア)
■■■■□□ トゥーム・レイダー ([米]サイモン・ウェスト)
■■■■□□ 王は踊る ([仏]ジェラール・コルビオ)
■■■■□□ ハリー・ポッターと賢者の石 ([米]クリス・コロンバス)
■■■■□□ シュレック ([米]アンドリュー・アダムソン、ヴィッキー・ジェンソン)
■■■□□□ バガー・ヴァンスの伝説 ([米]ロバート・レッドフォード)
■■■□□□ あの頃ペニー・レインと ([米]キャメロン・クロウ)※
■■■□□□ ギター弾きの恋 ([米]ウディ・アレン)※
■■■□□□ ミート・ザ・ペアレンツ ([米]ジェイ・ローチ)
■■■□□□ パール・ハーバー ([米]マイケル・ベイ)
■■■□□□ A.I. ([米]スティーブン・スピルバーグ)
■■■□□□ 猿の惑星 ([米]ティム・バートン)
■■■□□□ DENGEKI ([米]アンジェイ・バートコウィアク)
■■■□□□ ロンドン・ドックス ([英]ドミニク・アンシアーノ、レイ・バーディス)※
■■■□□□ コレリ大尉のマンドリン ([英]ジョン・マッデン)
■■■□□□ 夜になるまえに ([米]ジュリアン・シュナーベル)※
■■■□□□ トレーニング・デイ ([米]アントン・フークワ)
■■■□□□ 蝶の舌 ([西]ホセ・ルイス・クエルダ)
■■■□□□ アトランティス ([米]ゲイリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ)
■■■□□□ 焼け石に水 ([仏]フランソワ・オゾン)
■■□□□□ ラッシュ・アワー2 ([米]ブレット・ラトナー)
■■□□□□ ハンニバル ([米]リドリー・スコット)
■■□□□□ ドリヴン ([米]レニー・ハーリン)
■□□□□□ 沈黙のテロリスト ([米]アルバート・ピュン)
■□□□□□ ドクター・ドリトル2 ([米]スティーブ・カー)
■□□□□□ スパイ・キッズ ([米]ロバート・ロドリゲス)

外国映画リバイバル
■■■■□□ チェブラーシカ ([露(ソ連)]ロマン・カチャーノフ)

日本映画新作
1. ■■■■■□ 贅沢な骨 (行定勲)※
2. ■■■■■□ 三文役者 (新藤兼人)
3. ■■■■■□ 害虫 (塩田明彦)※
4. ■■■■■□ 風花 (相米慎二)
5. ■■■■■□ リリィ・シュシュのすべて (岩井俊二)※
6. ■■■■■□ ウォーター・ボーイズ (矢口史靖)
7. ■■■■■□ 真夜中まで (和田誠)※
8. ■■■■■□ 日本の黒い夏 冤罪 (熊井啓)
9. ■■■■■□ 回路 (黒沢清)
10. ■■■■■□ リムジン・ドライブ (山本政志)
■■■■■□ 千と千尋の神隠し (宮崎駿)
■■■■■□ アカシアの道 (松岡錠司)
■■■■■□ 忘れられぬ人々 (笑)(篠崎誠)
■■■■■□ 連弾 (竹中直人)※
■■■■■□ かあちゃん (市川崑)
■■■■■□ 東京マリーゴールド (市川準)※
■■■■□□ GO (行定勲)
■■■■□□ BROTHER (北野武)
■■■■□□ LOVE SONG (佐藤信介)
■■■■□□ カオス (中田秀夫)
■■■■□□ サトラレ (本広克行)
■■■■□□ ホタル (降旗康男)
■■■■□□ 仮面ライダーアギト PROJECT G4 (田崎竜太)
■■■■□□ COWBOY BEBOP 天国の扉 (渡辺信一郎)
■■■■□□ アンチェイン (豊田利晃)※
■■■■□□ とっとこハム太郎 (出崎統)
■■■■□□ ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃 (金子修介)
■■■■□□ 修羅雪姫 (佐藤信介)※
■■■■□□ カルテット (笑)(久石譲)
■■■□□□ 独立少年合唱団 (緒方明)
■■■□□□ 顔 (阪本順治)
■■■□□□ 溺れる魚 (堤幸彦)
■■■□□□ 天国までの百マイル (早川喜貴)
■■■□□□ メトロポリス (りんたろう)
■■■□□□ みんなのいえ (三谷幸喜)
■■■□□□ ディスタンス (是枝裕和)
■■■□□□ 大河の一滴 (神山征二郎)
■■■□□□ 百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える (諸田敏)
■■■□□□ 陰陽師 (滝田洋二郎)
■■■□□□ ターン (平山秀幸)
■■■□□□ ピストル・オペラ (鈴木清順)※
■■■□□□ PLATONIC SEX (松浦雅子)
■■■□□□ 冷静と情熱の間 (中江功)
■■□□□□ 狗神 (原田眞人)
■■□□□□ 弟切草 (下山天)
■■□□□□ AVALON (押井守)
■■□□□□ EUREKA (青山真治)
■□□□□□ PARTY7 (石井克人)
■□□□□□ ウルトラマンコスモス (飯島敏宏)
■□□□□□ RED SHADOW 赤影 (中野裕之)
■□□□□□ 人間の屑 (中嶋竹彦)
■□□□□□ 火垂 (仙頭直美)
■□□□□□ Stereo Future (中野裕之)
■□□□□□ 千年の恋 ひかる源氏物語 (堀川とんこう)

日本映画リバイバル
■■■■□□ シベリア超特急 (笑)(マイク水野)
■■□□□□ シベリア超特急2 (マイク水野)

他にSHORT SHORT FILM FESTIVALで
「おはぎ」([米]デビッド・グリーンスパン)、「Frankenweenie」([米]ティム・バートン)など短篇映画19本を観賞

----
そういえば久石譲監督作品「カルテット」
爺さんたちがラビュタを合奏していて、不良生徒たちが「キッズリターン」を聞くと静かになり、「トトロ」を演奏すると子供たちが振り返り・・・どんだけ自分好きなんだと大いに笑った

*****
参考
2001年
アカデミー賞 「グラディエーター」
 ノミネート「トラフィック」「エリン・ブロコビッチ」「グリーン・デスティニー」「ショコラ」

キネマ旬報日本映画ベストテン
 1.「GO」、2.「ハッシュ!」、3.「千と千尋の神隠し」、4.「EUREKA」、5.「風花」、6.「リリィ・シュシュのすべて」、7.「まぶだち」、8.「ウォーターボーイズ」、9.「光の雨」、10.「赤い橋の下のぬるい水」

キネマ旬報外国映画ベストテン
 1.「トラフィック」、2.「花様年華」、3.「リトルダンサー」、4.「山の郵便配達」、5.「JSA」、6.「アメリ」、7.「蝶の舌」、7.「プラットホーム」、9.「ゴーストワールド」、10.「あの頃ペニー・レインと」、

******
他の年のマイベストは→こちらから

********
↓面白かったらクリックしてね
人気blogランキング

自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『松本商店街映画祭 ALWAYS ... | トップ | 2002年の映画Myベストテン »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんわ (にゃむばなな)
2020-04-25 23:46:41
9.11は映画ファンにとっては映画の映像であって欲しいと思えたニュース映像でしたね。あれが現実の映像だなんて、未だに思えないですよ。

そんな2001年頃からは日本映画が面白くなってきましたよね。やっぱり母国の映画が面白いのは嬉しいですし、楽しくもありますよ。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

私の映画年間ベスト」カテゴリの最新記事