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THE 有頂天ホテル

2006-02-02 01:57:02 | 映評 2006~2008
俳優たちの芝居は予想通り。去年の流行語を使えば、想定内。
三谷組でのびのび演じる楽しさは伝わってくるけど、群像劇であることが災いして、全員魅力を発揮しきれず

シナリオは完璧期待はずれ。
バラバラないくつものエピソードが綺麗に一つにまとまるんだろうなあ・・・とか、張り巡らされた伏線がクライマックスで一気に、真っ黒なオセロが真っ白になるみたいに鮮やかに、展開するんだろうなあ・・・とか、思いもつかないどんでん返しが待っていたり・・・とか、そんなものを勝手に想像していたが、期待したものは何もなかった。

映画が始まってしばらくの面白くも何ともない展開。
ま、仕方ない。物語展開に必要な状況説明、登場人物紹介をしているだけだ。普通、そんなに面白くはならない。群像劇で登場人物も多いから時間もかかる。だから話が面白く盛り上がるまで我慢して観ていよう・・・
そんな風に思って1時間以上経過・・・おいおい、俺はいつまで我慢していりゃいいんだい? いつになったら面白くなるんだい、この話は?

当然なんらかの伏線なんだろう、と思っていたいくつかの出来事は、非常にしょうもないオチで消化される。ただ消化される
灰皿、香取慎吾の持ち物、コールガールの衣装、演歌歌手、・・・・はぁ? そんだけ??
いちいち全部をハッピーエンドに持っていこうとして、大量のエピソードをそれぞれ独立に裁こうとして、結果、散漫になってしまう。オダギリジョー、あるいは寺島進たちのエピソードは消化不良どころか存在価値も見いだせない。

演出はどうか・・・?
舞台の人である三谷幸喜が長回しに興味を示すのは判るけど、正直言ってただ長く回してるだけだ。退屈どころか、ところどころ目障り。もっとぐいぐい顔によるとかして、エモーショナルな効果を狙う方がいい。
ラストのパーティ・・・クランクアップの打ち上げかよ!! 狭苦しいチープなパーティ会場。たかだか大晦日最後の2時間をホテルで過ごしただけで、別に何も変わっていない人たちが、また、だらだらゆっくり一人ずつ映し出される。もう、この映像バックにエンドクレジット開始してほしかった。

はぁ(ため息)・・・あの三谷幸喜が・・・などと思ってみたものの、ふと思い返してみれば、この人の脚本による映画で面白かったのは「12人の優しい日本人」と「ラヂオの時間」だけしかないことに気づく(テレビでは面白いのもいくつかあったが)。
一体、俺はいつから、三谷幸喜を天才だなどという幻想を抱いてきたのだろう。
この作品のおかげで目が覚めた。
今までは「三谷幸喜にしては・・・」「三谷幸喜のわりに・・・」という感想を抱く事が多かったが、これからは「三谷幸喜だし・・・」という感想が多くなるだろう。少なくとも今後、この人の作品を期待して観に行くことはないだろう。

文句ばかり並べたけど、良かったなと思うところもある。
佐藤浩市がらみのエピソードは好きだ。佐藤浩市の台詞もいちいちカッコいい。
「国を憂いているフリをした。100万人のバカが信じて俺に投票した」(うろ覚え)。悪徳政治家っぽい発言が好きだ。
あと、YOUも良かった。いい歌声だ。

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2 コメント

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有頂天なのは誰だ (にら)
2006-02-07 09:52:42
小道具の使い方、特に慎吾3点セットなんて、ホント酷かったですよね。

ただ背負ってる、ただ首に巻いてる、ただたらい回しにされる。



ギターなんて、始終背負ってる不自然さがただ不自然なだけ。

振り返ったときにそのギターが何度もぶち当たって毎回卒倒する人物を出すとか、実はその人物が悪人で彼の撃った銃弾がギターに当って一命を取り留めるとか、その悪人をギターに仕込んだマシンガンで返り討ちにするとか、さらにギターケースも付けて、それだけじゃありません、今回特別にウエンツ瑛士と小池徹平、ご希望の方には渋谷哲平もお付けして、送料は●ャパネットが負担してくれるとか、そのくらいやってくれなきゃ驚きませんよ。



てなわけで、理不尽な言いがかりをつけてしまったことを高田社長にお詫びして(笑)、TBありがとうございました。
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コメントどうもです (しん)
2006-02-09 08:25:31
>にらさま

私は新感線の芝居みたいに、狭い通路から脱出しなきゃならなくなって、ギターが引っかかって脱出できない、とかそんなことを勝手に想像してました。

三谷幸喜って、なんかゆるいギャグと軽い気持ちとなあなあで進行するドラマの巨匠であって、天才的ストーリーテラーじゃないんだ、と気付いた次第です
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