33点(100点満点)
2014年7月20日 有楽町ヒューマントラストシネマで鑑賞
アカデミー賞でオリジナル脚本賞を受賞した人気監督スパイク・ジョーンズの作品。
スパイク・ジョーンズ…大好きな『マルコビッチの穴』『アダプテーション』、超つまんなかった『かいじゅうたちのいるところ』と本作。
なんだ、僕が好きだったのは監督スパイク・ジョーンズじゃなくて脚本チャーリー・カウフマンだったんだ…
---
今年2014年に観た映画の中でいまのところ一番ノレなかった映画。
何がダメって脚本がひどい。
ちなみに私の昨年の私的ワーストは『ジャンゴ 繋がれざる者』でこれもアカデミー脚本賞受賞作。
ここ数年アカデミー賞脚本部門とは極めて相性が悪い。
人工知能を持った対話型OSと恋におちる男の話で、近い将来現実に起こりそうな基本設定は2010年代ならではのSFとして評価していい。
けれど肝心のストーリーに合点のいかないところが多すぎて鑑賞していて突っ込みまくりモードに入ってしまった。
そもそもOSが主人公に恋する理由が全くわからん。主人公にOSモテする特殊な性格や体質があるわけではなく、壊れたOSを直したエピソードがあるでもない。
ましてOSは市販品で主人公が普通に買ったもので、あれじゃ世界中で同じ「トラブル」が起こるんじゃないかと心配になる。
これがOS開発者と試作品の恋とか、β版の無料体験モニターに当選した男の話とかならもう少し素直に観ることができたのに。
そして、眠っている主人公を起こして何事かと思えば「愛しているって聞いて欲しかったの!」っておい!!俺だったらこう言うぞ「今度俺の眠りを妨害したらフォーマットしてWindows8に戻すからな!!」
そしてコンピューターとのセックスシーン。セックスどころか説明なしでそのシーンから見始めたらただのオナニーなのだが、いかがわしいエロサイトの商品を騙されて買ったのかと疑う。
だいたいOSがイクはずないだろ。(バグのせいでイっちゃったのかもしれないが)
さらに文筆家の妄想のようなOSちゃんの暴走エピソードがまたモヤモヤイライラを誘う。
主人公は手紙の代筆屋という設定である。OSちゃんは主人公の文才を見抜き彼がこれまでに仕事で書いた手紙をまとめて出版社に売り込むのだ。OSの独断で。
ゴーストライターであることを告白させられたようなもので、これまでの顧客は許してくれるのだろうか?それともこれまでの全ての客から出版の了承を取り付けたというのか。
あ~誰か俺が寝てる間にこの文章まとめて売り込んでくれないかな~なんて文筆家の妄想のようなエピソードであった。
そして色々とおせっかいにもほどがあるエピソードの末にOSは突然いなくなる。
いなくなった理由は明かされないが、多分世界中からクレーム殺到で回収されたのだろう。
高校生がビッチなOSに誘惑されているとか、俺のブログ勝手に公開されてそのせいで倍賞請求されたとか、その手のクレームと思われる。
夢のような便利なメカやソフトにお世話になって失敗しちゃうドラえもん的教訓があるわけでもなく、主人公の成長はなく社会批評にもなってない。SFとしても中途半端なこの作品をハリウッドは何だってアカデミー脚本賞って厚遇でもって迎えるのか?
同年の同部門候補だったら「ブルー・ジャスミン」や「ダラス・バイヤーズ・クラブ」の方がはるかによくできていると思うのだが。
---
などと、文句を言いまくったが、どこかで手塚治虫の書きそうな話だな~とも思っていた。
手塚の短編集を読み返してみたら、『るんは風の中』という話が少し似てると思った。
高校生男子が女の子のポスターに恋をする話。
ただし、言うまでもないことだけど、手塚治虫の方がはるかにうまくて面白くて深かった。
「るんは風の中」集英社文庫 手塚治虫名作集2 雨ふり小僧 より
『her 世界でひとつの彼女』
監督・脚本:スパイク・ジョーンズ
撮影:ホイテ・バン・ホイテマ
出演:ホアキン・フェニックス、オリヴィア・ワイルド、スカーレット・ヨハンソン(声)
---以下、鑑賞前後のTwitterフラッシュ映評---
映画ハシゴの前にサイゼリヤの安ワインで気分アップ。ほいでこれからスパイク・ジョーンズの「her」観るのだ。終わった後も今のテンションのままだといいな。スパイク・ジョーンズに若干の不信感…
「her 世界でひとつの彼女」………サード・パーソンであがったテンションはしぼみ、去年の「ジャンゴ」とあわせてアカデミー賞脚本賞への不信感がつのるのだった。
「her 世界でひとつの彼女」
めんどくせえOS! 夜中に起こして愛してるって聞いて欲しかったの…って苦情殺到だろ。もっとも「2001年」や「ブレードランナー」のころから人口知能は人間に迷惑をかけ続けてきた映画史。新しいSFとしては評価できるが…
偶然にも今日観た「サード・パーソン」と「her 世界でひとつの彼女」の両方に、オリビア・ワイルドが出演していて、顔を覚えてしまった。アンジェリーナ・ジョリーをかわいくした感じ。「サード・パーソン」の全裸でホテルを走り回るシーン最高
********
自主映画制作団体 ALIQOUI FILM
最新作「チクタクレス」
小坂本町一丁目映画祭Vol.12 入選
日本芸術センター映像グランプリ ノミネート
2014年7月20日 有楽町ヒューマントラストシネマで鑑賞
アカデミー賞でオリジナル脚本賞を受賞した人気監督スパイク・ジョーンズの作品。
スパイク・ジョーンズ…大好きな『マルコビッチの穴』『アダプテーション』、超つまんなかった『かいじゅうたちのいるところ』と本作。
なんだ、僕が好きだったのは監督スパイク・ジョーンズじゃなくて脚本チャーリー・カウフマンだったんだ…
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今年2014年に観た映画の中でいまのところ一番ノレなかった映画。
何がダメって脚本がひどい。
ちなみに私の昨年の私的ワーストは『ジャンゴ 繋がれざる者』でこれもアカデミー脚本賞受賞作。
ここ数年アカデミー賞脚本部門とは極めて相性が悪い。
人工知能を持った対話型OSと恋におちる男の話で、近い将来現実に起こりそうな基本設定は2010年代ならではのSFとして評価していい。
けれど肝心のストーリーに合点のいかないところが多すぎて鑑賞していて突っ込みまくりモードに入ってしまった。
そもそもOSが主人公に恋する理由が全くわからん。主人公にOSモテする特殊な性格や体質があるわけではなく、壊れたOSを直したエピソードがあるでもない。
ましてOSは市販品で主人公が普通に買ったもので、あれじゃ世界中で同じ「トラブル」が起こるんじゃないかと心配になる。
これがOS開発者と試作品の恋とか、β版の無料体験モニターに当選した男の話とかならもう少し素直に観ることができたのに。
そして、眠っている主人公を起こして何事かと思えば「愛しているって聞いて欲しかったの!」っておい!!俺だったらこう言うぞ「今度俺の眠りを妨害したらフォーマットしてWindows8に戻すからな!!」
そしてコンピューターとのセックスシーン。セックスどころか説明なしでそのシーンから見始めたらただのオナニーなのだが、いかがわしいエロサイトの商品を騙されて買ったのかと疑う。
だいたいOSがイクはずないだろ。(バグのせいでイっちゃったのかもしれないが)
さらに文筆家の妄想のようなOSちゃんの暴走エピソードがまたモヤモヤイライラを誘う。
主人公は手紙の代筆屋という設定である。OSちゃんは主人公の文才を見抜き彼がこれまでに仕事で書いた手紙をまとめて出版社に売り込むのだ。OSの独断で。
ゴーストライターであることを告白させられたようなもので、これまでの顧客は許してくれるのだろうか?それともこれまでの全ての客から出版の了承を取り付けたというのか。
あ~誰か俺が寝てる間にこの文章まとめて売り込んでくれないかな~なんて文筆家の妄想のようなエピソードであった。
そして色々とおせっかいにもほどがあるエピソードの末にOSは突然いなくなる。
いなくなった理由は明かされないが、多分世界中からクレーム殺到で回収されたのだろう。
高校生がビッチなOSに誘惑されているとか、俺のブログ勝手に公開されてそのせいで倍賞請求されたとか、その手のクレームと思われる。
夢のような便利なメカやソフトにお世話になって失敗しちゃうドラえもん的教訓があるわけでもなく、主人公の成長はなく社会批評にもなってない。SFとしても中途半端なこの作品をハリウッドは何だってアカデミー脚本賞って厚遇でもって迎えるのか?
同年の同部門候補だったら「ブルー・ジャスミン」や「ダラス・バイヤーズ・クラブ」の方がはるかによくできていると思うのだが。
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などと、文句を言いまくったが、どこかで手塚治虫の書きそうな話だな~とも思っていた。
手塚の短編集を読み返してみたら、『るんは風の中』という話が少し似てると思った。
高校生男子が女の子のポスターに恋をする話。
ただし、言うまでもないことだけど、手塚治虫の方がはるかにうまくて面白くて深かった。
「るんは風の中」集英社文庫 手塚治虫名作集2 雨ふり小僧 より
『her 世界でひとつの彼女』
監督・脚本:スパイク・ジョーンズ
撮影:ホイテ・バン・ホイテマ
出演:ホアキン・フェニックス、オリヴィア・ワイルド、スカーレット・ヨハンソン(声)
---以下、鑑賞前後のTwitterフラッシュ映評---
映画ハシゴの前にサイゼリヤの安ワインで気分アップ。ほいでこれからスパイク・ジョーンズの「her」観るのだ。終わった後も今のテンションのままだといいな。スパイク・ジョーンズに若干の不信感…
「her 世界でひとつの彼女」………サード・パーソンであがったテンションはしぼみ、去年の「ジャンゴ」とあわせてアカデミー賞脚本賞への不信感がつのるのだった。
「her 世界でひとつの彼女」
めんどくせえOS! 夜中に起こして愛してるって聞いて欲しかったの…って苦情殺到だろ。もっとも「2001年」や「ブレードランナー」のころから人口知能は人間に迷惑をかけ続けてきた映画史。新しいSFとしては評価できるが…
偶然にも今日観た「サード・パーソン」と「her 世界でひとつの彼女」の両方に、オリビア・ワイルドが出演していて、顔を覚えてしまった。アンジェリーナ・ジョリーをかわいくした感じ。「サード・パーソン」の全裸でホテルを走り回るシーン最高
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自主映画制作団体 ALIQOUI FILM
最新作「チクタクレス」
小坂本町一丁目映画祭Vol.12 入選
日本芸術センター映像グランプリ ノミネート