文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

であるのに、二つをいっしょくたにする「日曜に想う」の言論はひどい歪曲、すりかえなのである。

2018年03月01日 22時18分24秒 | 日記

以下は前章の続きである。

当局の発表が実はウソであり、真犯人は別にいるという説の方がずっと複雑、不可解なのである。 

まして日本での「グローバル化、少子高齢化の社会がうまく把握できずわかりやすいストーリーを求めたくなる」というのならば、9.11テロの犯人はアルカーイダだというアメリカ当局の発表を素直に信じておけばベストなわけだ。

それを「複雑さがいやだから、陰謀説を信じる」というのは、「複雑さがいやだから複雑なストーリーを求める」ということになってしまう。

そこにも大野記者の主張の支離滅裂さがあるのだ。

大野記者の矛盾は、9.11テロの陰謀説の意味を日本に当てはめて「悪者をさがしたくなる。そこに陰謀論や排外思想、フェイクニュースがつけ込む」と断じる点でさらにあからさまとなる。

同テロの陰謀説はアメリカでは自国政府を悪者にするのだから、排外思想ではないからだ。 

大野記者は以上のような記述にすぐ続けて、以下のように書いていた。 

(でも、日本の社会は簡単につけ込まれるほどヤワだろうか。言論空間では、「反日」や「国賊」といった排他的な言葉が飛びかっている。(中略)名指ししやすいだれかを犯人扱いしてすませる陰謀論や排外思想がこね上げるストーリーよりずっとこみいった現実と、それを受け止めている人々》 

この部分がこのコラムの核心であり、本音だろう。

「反日」とか「国賊」というのは明らかに最近、朝日新聞への批判で頻繁に使われている言葉だからだ。

大野記者は「朝日新聞批判」という点は具体的にはあげていないが、その意図は明白である。 

朝日新聞に対する「反日」とか「国賊」という表現は、コラム記事の冒頭の同時多発テロ陰謀説に等しいと主張しているのだ。

朝日新聞批判もデタラメだと言いたい意図がにじんでいる。

だが、この陰謀説はアメリカではすでにデタラメと証明されており、日本での朝日新聞への批判とはなんの関係もないのである。 

であるのに、二つをいっしょくたにする「日曜に想う」の言論はひどい歪曲、すりかえなのである。

 


その不可解さ、複雑さにうんざりして、わかりやすいストーリーを求めたくなる」から口にするようになったと断じるのだ

2018年03月01日 22時16分22秒 | 日記

以下は前章の続きである。

すさまじい歪曲 

ここで9.11テロの実態について明確にしておこう。

この事件はアメリカ捜査当局により、「サウジアラビア人のオサマ・ビンラディンを最高指導者とするイスラム原理派テロ組織アルカーイダのメンバー19人によって計画・実行された大量無差別テロ」と断定された。

アルカーイダ側もその犯行を自認した。

この断定には豊富な証拠が提示された。 

これに対し、このテロはアルカーイダの犯行ではなく、アメリカ政府、あるいはユダヤ勢力などによるとする陰謀説は、当初から多方面で語られた。

だが、その証拠が示されることはまったくないまま、アメリカでは、この種の陰謀説は無根拠のデマや政治的プロパガンダだと断じられたところで終わっている。 

ところが大野記者は、このデマが日本人が「グローバル化や少子高齢化で、自分たちの暮らす社会がうまく把握できなくなっている。その不可解さ、複雑さにうんざりして、わかりやすいストーリーを求めたくなる」から口にするようになったと断じるのだ。 

ちょっと待て、である。

当のアメリカでは同時多発テロの犯人がアルカーイダだという当局の発表は単純明快であり、真犯人は他にあるとする陰謀論の方がずっと複雑なのだ。 

大野記者の主張する「社会の不可解さ、複雑さにうんざりして、わかりやすいストーリーを求める」となれば、むしろ当局の発表を信じればよいのだ。

この稿続く。


だが、大野記者はそんな雲の中の「言葉」を、この長いコラム記事の最大の論拠として使っているのだ。 

2018年03月01日 18時12分47秒 | 日記

以下は前章の続きである。

しかも、この都内の居酒屋での場面というのも、そもそも実際にどこの誰が、いつどこで、口にしたのか、まったくわからない。 

だが、大野記者はそんな雲の中の「言葉」を、この長いコラム記事の最大の論拠として使っているのだ。 

しかし、このコラムのゆがみの核心、その最もひどい部分は、その陰謀説の「言葉」からひねり出す教訓や意味である。

そのひねり出しの過程が支離滅裂、一人よがりなのだ。

そのユニークな9.11テロ米国政府陰謀説の日本にとっての意味づけは、以下のようだった。 

(グローバル化や少子高齢化で、自分たちの暮らす社会がうまく把握できなくなっている。その不可解さ、複雑さにうんざりして、わかりやすいストーリーを求めたくなる。悪者をさがしたくなる。そこに陰謀論や排外思想、フェイクニュースがつけ込む) 

以上の大野記者が述べる、日本での傾向は冒頭の居酒屋での「9.11テロは米国自身が仕組んだ」というデマと同じ現象だというのである。つまり9.11テロ陰謀説は日本社会の現状の結果であり、症候でもあるというのだ。

この稿続く。


要するに、こざかしいすりかえ、ゆがめ、歪曲の言論なのである。 

2018年03月01日 18時10分44秒 | 日記

以下は前章の続きである。

この記事の根本のゆがみを最初に総括して述べるならば、アメリカの陰謀説のデマを日本での「反日」というような、朝日新聞自体への非難と狡猾に重ね合わせて同じだと断じる「すりかえ」である。

現実には、アメリカでのその種のデマと日本での朝日新聞非難とは、まったく異質の認識なのだ。

だが、「日曜に想う」コラムは朝日新聞への批判は陰謀説のデマと同じなのだ、と述べているのに等しい。

要するに、こざかしいすりかえ、ゆがめ、歪曲の言論なのである。 

大野記者はまず東京都内の居酒屋で、日本人の若い男性がその友人に語った言葉として以下を引用する。

話題は2001年9月にアメリカで起きた9.11同時多発テロだった。 《「ニューヨークの世界貿易センタービルなどを標的にしたテロは、ほんとうは米国自身が仕組んだんだ。今やほかの国ではだれもが常識として知っている。知らないのは日本人だけだ」》

この言葉は大野記者が直接に耳にしたわけではない。

ライター・編集者の望月優大さんという人が最近、都内で目のあたりにした場面だという。

だが、その内容はアメリカでも日本でも、世界の他の諸国でも、もうさんざんに噂され、すでにデマとして葬られた陰謀説である。

「最近、実際に」聞いたというには、あまりに古く、あまりに手あかのついた根拠のないデタラメ言辞なのだ。

この稿続く。


その政治的な意思の拡散に、大逆事件の犠牲者までをも利用するのである。

2018年03月01日 18時08分44秒 | 日記

以下は前章の続きである。

同コラムの結びは以下だった。 

《彼(大石誠之助)の遺志を継ごうとする人たちが、紀伊半島にいる。投げかけられた思いを受け止めたい) 

このまま読むと、改正組織犯罪処罰法や憲法改正に反対することが大石氏の遺志だという意味となる。

だが、これは朝日新聞の意思、天声人語筆者の意図なのである。

その政治的な意思の拡散に、大逆事件の犠牲者までをも利用するのである。

こざかしいすりかえ 

朝日新聞が毎週日曜に掲載する「日曜に想う」というコラムも売り物の一つなのだという。

だが、昨年12月31日のこのコラムを読んで苦笑させられた。

このコラムの筆法も奇妙にゆがんでいたからだ。

筆者は編集委員の大野博人記者、見出しは「もっと『複雑』な自画像を」となっていた。 

この稿続く。


この法律や憲法改正を阻まないと大逆事件と同じ事態が起きるぞと、同事件の犠牲者への顕彰を利用して喧伝している

2018年03月01日 18時05分22秒 | 日記

以下は前章の続きである。

コラムはそう明言するが、その提案をした上田勝之さんという人が本当にそこまで具体的に語ったのかどうかは不明である。 

「共謀罪」法とは、すでに日本国内での民主的な手続きにより国会で可決され、昨年7月に実際の法律となった「改正組織犯罪処罰法」のことである。

朝日新聞など、この法律に反対するメディアは一貫して、その正式の法律名を無視し、勝手に「共謀罪」法と呼んできた。 

だから、この「天声人語」の主張の意図は明らかである。

改正組織犯罪処罰法や憲法改正への動きは、大逆事件での国民弾圧と同じだ、と言うのだ。

この法律や憲法改正を阻まないと大逆事件と同じ事態が起きるぞと、同事件の犠牲者への顕彰を利用して喧伝しているのである。

「歴史悪用の政治プロパガンダ」と呼んでもよいだろう。

なぜなら108年前の大日本帝国で起きた事件を、いまの民主主義の日本での動きと同等に、類似に扱っているからだ。

明治と平成と、すべての政治状況が異なるという基本を無視して、安倍政権、自民党政権のいまの日本に大逆事件のような非道な弾圧が起き得るという大前提が、この天声人語コラムの旗印なのである。 

この稿続く。


そのうえで話題を現在に持ってきて、いまの日本政府への攻撃にすりかえるのだろう。

2018年03月01日 18時02分03秒 | 日記

以下は前章の続きである。

今回の人声人語は、以下のような書き出しだった。 

《すさまじい思想弾圧だった。明治後期、1910年の大逆事件では、全国の社会主義者ら数百人が摘発され、12人が死刑となった。天皇暗殺を企てたとされたが、大半はでっちあげだった。刑死した1人が名誉市民になると聞いて和歌山県新宮市を訪れた) 

これだけ読んだだけでも、このコラムの筆者の意図がもう歴然とする。

明治時代の当局の大逆事件での弾圧を平成時代の安倍政権の行動に重ね合わせて、同じことをいまなそうとしていると、喧伝するのだろう。 

その歴史の乱用ではまず「すさまじい思想弾圧」「数百人が摘発」「12人が死刑」「天皇暗殺」「でっちあげ」などなど、おどろおどろしい言葉を並びたてる。

まさに悪魔のような所業というわけだ。

そのうえで話題を現在に持ってきて、いまの日本政府への攻撃にすりかえるのだろう。 

そんな予感をもって、読み進むと、まさにそのとおりだった。

手あかのついた、というのはこんな一文のためにあるのだろう。 

この稿続く。


悪魔扱いをする対象は、もちろん安倍晋三政権、いや、日本国政府と評してもよい。

2018年03月01日 17時59分36秒 | 日記

以下は前章の続きである。

122日の朝刊1面コラム「天声人語」に、そのプロトタイプが載っていた。

悪魔扱いをする対象は、もちろん安倍晋三政権、いや、日本国政府と評してもよい。 

歴史上、悪と判定された実例を持ち出して、条件のまったく異なる現在に押しつけ、自分の気に入らない相手にその「悪の歴史」のレッテルを貼り付ける。

実在しない悪を作り出す悪魔化の攻撃法とも言えよう。

朝日新聞の大好きな手法なのである。

だが歴史の乱用による悪魔化も、こう頻繁で、こう粗雑だと、鼻につき、ツユほどの説得力も感じさせなくなる。

朝日人士には、もうちょっと斬新な発想はないのだろうか。 

この稿続く。


だが、中国やロシアこそが、その安定や発展を崩そうとしている現実は、これまた都合よく無視しているのだ。 

2018年03月01日 17時57分46秒 | 日記

以下は前章の続きである。

同社説は「どの国の繁栄も、世界の安定と発展の上にしかあり得ない」として、その安定や発展を崩すのがトランプ政権だと批判する。

だが、中国やロシアこそが、その安定や発展を崩そうとしている現実は、これまた都合よく無視しているのだ。 

だから、この社説にみる朝日新聞の主張は「相も変わらぬ思慮不足と独善」と描写するしかないのである。 

朝日新聞の病状はもちろん、こうした特異な安全保障観だけに限らない。

歴史を自分たちの偏向した主張にあわせるために政治利用する。

意見の異なる相手をことさらに邪悪な存在に描く。

こんなゆがみを朝日新聞の売り物コラム「天声人語」にまざまざとみた。 

またまた歴史を政治利用しての朝日新聞の論敵の悪魔化とでも言おうか。

この稿続く。


中国やロシアが軍拡や軍事偏重の行動をとっているために、アメリカ側も日本も防御や抑止として軍事を重視せざるを

2018年03月01日 17時55分49秒 | 日記

以下は前章の続きである。 

そして、同社説は次のように結んでいた。

《米国であれ中ロであれ、どの国の繁栄も、世界の安定と発展の上にしかあり得ない。それが21世紀の現実だ。米国が力を結集する闘いに、同盟国は貢献せよと、安保戦略は求めている。しかし日本の役割は、「力の平和」に加担し、軍拡になびくことではない。軍事偏重が招く過ちの重大さ、国際協訓の今日的な意義をしっかりと強く説くことである》

朝日新聞の変わらぬ病 

同社説が上記の部分で記す「軍拡」「軍事偏重」というのは、みなアメリカの行動の否定的な描写である。

中国やロシアが軍拡や軍事偏重の行動をとっているために、アメリカ側も日本も防御や抑止として軍事を重視せざるを得ないのだ、という基本には決して触れない。

そして、いまの世界の平和や安定が軍事的な抑止力で守られているという現実をも無視して、「力の平和」を罪悪視する。

日本のささやかな防衛力の増強も「軍拡に加担」となる。

朝日新聞のこの種の安保論議は、いつも悪いのはアメリカや日本であるかのようなのだ。 

この稿続く。


このスタンスの背後では、朝日新聞の長年の「反米親中・親ソ連(ロシア)」という傾向が影を広げている

2018年03月01日 17時53分02秒 | 日記

以下は前章の続きである。

このスタンスの背後では、朝日新聞の長年の「反米親中・親ソ連(ロシア)」という傾向が影を広げている。

この反米傾向は中国やロシアに優しいオバマ政権時代にはやや後退したが、現実派のトランプ大統領の登場となると、また先祖帰りふうの、アメリカの動きには、とにかく反対というパターンを復活させたようなのだ。

同社説はアメリカが「(中ロ)両国を国際的な協調枠組みに引き込む努力」をしていないから、するべきだと示唆する。

だが、アメリカの歴代政権はロシアに対しても西欧諸国と連帯して、クリミア侵攻を批判し、その行動を撤回させようと、さんざんの努力を重ねてきた。

中国には、アメリカ歴代政権がまさに中国を国際的な協調枠組みに引き込もうという「関与政策」を全力で続けてきた。 

だが、ロシアも中国もそれに応じず、むしろ米側の協調への努力につけ込むように軍事力を背景とする膨張を続けているのだ。

この稿続く。

 


その因果関係を、この社説は隠したままなのである。

2018年03月01日 17時47分55秒 | 日記

以下は前章の続きである。 

同社説は次のようにも述べる。 

《米国をおびやかす中国とロシアとの「競合」に勝つための、現実主義だという。その文面からぬぐえないのは、相も変わらぬ思慮不足と独善である。確かに近年の中ロには、既存の秩序に挑むような行動がめだつ。しかしだからといって、両国を国際的な協調枠組みに引き込む努力が「ほとんど誤りという結果に終わった」と切り捨てるのは短絡に過ぎる》 

同社説はアメリカの同戦略の原因となった中国とロシアの動向については上記のように「米国をおびやかす中国とロシアとの『競合』に勝つための」と記すだけだった。

それ以外には「近年の中ロには、既存の秩序に挑むような行動がめだつ」と書くだけである。

同社説は中露両国が南シナ海や東シナ海で、そしてクリミアで、どれはどの軍事力の行使や威嚇をしてきたかをまったく伝えていない。 

とにかく、アメリカだけがひとり相撲をしているように描くのだ。

中国とロシアの武力にものを言わせる行動があるからこそ、この米側の戦略があるのだ。

その因果関係を、この社説は隠したままなのである。 

この稿続く。


旧ソ連と現代のロシア、そして、中国のまず武力ありきの侵略や膨張の活動実態をまったく伝えずに、非難することもせずに

2018年03月01日 17時44分52秒 | 日記

以下は前章の続きである。

《ひたすら武力にものを言わせて米国最優先をうたい、経済的な損得に執拗にこだわる―。トランプ大統領のそんな考え方をくっきり映している》

中露には目をつむる 

この「ひたすら武力にものを言わせて」という大前提は、前述の原因と結果の倒錯である。 

アメリカがいま軍事力強化や抑止力増大という道を選ぶのは、中国とロシアの「ひたすらに武力にものを言わせる」行動があってこその反応なのである。

旧ソ連と現代のロシア、そして、中国のまず武力ありきの侵略や膨張の活動実態をまったく伝えずに、非難することもせずに、アメリカ側の防御の対応だけを非難する、というのは年来の朝日新聞のパターンである。

この社説もその特徴が顕著なのだ。

この稿続く。


中国とロシアは自国の権益の膨張のために軍事力をテコにして他の諸国の主権や領土を侵害している。

2018年03月01日 17時42分43秒 | 日記

以下は前章の続きである。

トランプ大統領の公表した国家安全保障戦略(以下、同戦略)は、次のような支柱から成っていた。

・中国とロシアはアメリカ主導の戦後の国際秩序を根本から変革しようと意図して軍事力を強化し、ロシアはすでにウクライナのクリミア地方を奪取し、中国は南シナ海で一方的に領土を拡大し、軍事基地化した。

・中国とロシアは自国の権益の膨張のために軍事力をテコにして他の諸国の主権や領土を侵害している。 

この動きはアメリカの利益や価値観をも大きく傷つける。

インド・太平洋地域では、特に中国の軍事拡張による他国の主権侵害が顕著である。

・中国は全世界でもアメリカに次ぐ第二の軍事強国となり、その軍事力を自国の覇権の拡大に使っている。

核兵器も増強し、多様化している。

ロシアもアメリカの世界への影響力の削減を進め、アメリカと同盟諸国との分断を図っている。

・アメリカは中国とロシアの野望を抑えるために車事的優位に立たねばならず、大規模な戦争への準備も進める必要がある。

日本などアメリカの同盟諸国も自国の主権と独立を守るために軍事力を強くしなければならない。

・アメリカは過去数十年、中国の台頭と国際秩序への参加を支援すれば、中国を自由化できるという考え方をとってきた。

だが、中国はその期待とは正反対に他の諸国の主権を侵害することに自国のパワーを拡大してきた。 

以上のような同戦略に対して朝日新聞の同社説は冒頭で、まず全体を次のように総括していた。 

この稿続く。


その後の朝日新聞の核問題や安全保障問題へのスタンスには、なんの進歩も学習もないことは明白なのである

2018年03月01日 17時40分15秒 | 日記

以下は前章の続きである。

私はちょうどこの時期、西欧各国を安全保障問題の報道のために訪れ、幅広い関係者たちから話を聞いて、多数の新聞記事とともに、かなり長い雑誌論文を書いた。 

その論文は当時、健在だった文藝春秋のオピニオン誌『諸君!』に「『反核論』敗れたり」というタイトルで掲載された。

「ソ連の譲歩を引き出したのは反核運動ではなく、核ミサイル配備へのNATO諸国の強い姿勢だった」という趣旨だった。

もちろん朝日新聞の、味方の側の核兵器をまず非難する論調への批判を込めていた。 

その後の朝日新聞の核問題や安全保障問題へのスタンスには、なんの進歩も学習もないことは明白なのである。

その朝日新聞のゆがんだ安全保障観を、また最近の実例に戻って、紹介していこう。 

トランプ大統領が昨年12月18日に「国家安全保障戦略」を発表した。

その内容は、中国とロシアがアメリカ主導の国際秩序を軍事力を背景に崩そうとするのに対し、アメリカも「力による平和」の原則で抑止するという骨子だった。

アメリカ国内では与党の共和党はもちろん、民主党側でもわりに好評の新政策発表だった。 

ところが、朝日新聞は12月20日付の社説で、このトランプ政権の新戦略を即座に「相も変わらぬ思慮不足と独善である」と一刀両断に排除した。

社説の見出しには「『力の平和』の危うさ」とあった。

私はこの朝日新聞の社説こそ「相も変わらぬ思慮不足と独善」だと感じた。

以下、その理由を述べよう。

この稿続く。