以下は前章の続きである。
ドイツ諜報部から告発の中国
『大紀元』(12月11日付)は、「中国共産党、ソーシャルサイトLinkedInで情報収集」と題する記事を掲載した。
この記事を読むと、中国がソーシャルサイトを使って、上層部の人間とつながりをつける「諜報活動」の糸口を求めていることが分かる。
中国4000年の歴史は、謀略と欺しによって政権を維持してきた国家である。
そのやり口は、尋常なものではない。
どかんと、相手に金品を渡して手なずけるもの。
金品でなければ「美女」が、取引ツールになると指摘されている。
この「ハニートラップ」に引っかかった政財界の有名人は、枚挙にいとまがない。
この古典的な謀略手法が、未だに使われている。
人間の弱さに原因があろう。
(1)「ドイツ諜報当局は最近、中国のスパイ機関が、現地政界やビジネス界などに侵入するために自己紹介ソーシャルサイト『LinkedIn』で偽の経歴を作成し、情報収集していると警告した。ドイツ国営『ドイチェ・ヴェレ』は12月10日、中国のスパイ機関は少なくとも1万のドイツ人の経歴や交友関係を情報収集した恐れがあると、連邦憲法擁護庁(BfV)の調査報告を引用して報じた。これに関連した中国名の偽の経歴書も公開した」
「親中国」ドイツでも、中国の諜報活動が目に余るのだろう。
ドイツは、ビジネスとはいえ中国へかなり傾斜している。
メルケル首相は、訪日の回数に比べれば圧倒的に訪中している。
中国は、そのドイツに対してこういう諜報活動を仕掛けるのだ。
口と腹は全く異なる策略国家だ。
(2)「中国の諜報機関は『LinkedIn』のようなソーシャルネットワーク上で活動しており、情報を収集していると、BfV長官ハンス・ゲオルグ・マッセン氏が指摘する。
また、その狙いはドイツ上層部の政界であり『特にドイツ議会、省庁、政府機関に浸透する広範な試みである』と述べた。
世界で4億人が使う自己紹介ソーシャルサイトLinkedInは、経済や取引の紹介、仕事能力などをユーザが示し、新規雇用や人脈構築のために利用する。利用者は英語圏に多いが、日本ほか多言語にも対応している」
スパイは、言葉巧みに接近するもの。
中国の狙いは、ドイツ議会、省庁、政府機関に浸透するものだったという。
だが、こういうドイツのハイソサイエティが、カネのためとはいえ文化的に「後進国」中国の手先になるとは信じがたい。
ドイツの高水準の文化・芸術を満喫している人々が、中国の謀略工作の相手になるのか。身の程知らずと言うほかない。
(3)「BfVは、最も活発な動きを見せる中国名の架空ユーザ8つを公表した。これらのユーザはコンサルタント、事業家、研究者などと設定して自己を紹介し、写真は容姿端麗な若い中国人が設定されていた。しかし、BfVの調査によると実在しない人物だった。中国は過去にサイバースパイ活動に関する同様の疑惑を否定しており、今回の指摘にも回答していない。BfVは、『工作を発見するのは難しい。なぜなら、サービス提供側と顧客のネットワーク事態は不正ではなく疑われるものではないから』『単純な攻撃以上に巧妙な偽装だといえる』と警告を発した」
BfVは国内における反民主的団体、共産主義団体、軍国主義団体、ネオナチ、テロリストなどの監視に当たるために設立された組織という。
中国の謀略工作も捜査対象になっている。
共産主義団体は、先進国でタブー組織である。
中国は、自らの主義主張が外国では排除されている現実を知れば、中国の手先になるスパイなど現れることは期待薄であろう。
ドイツでは、共産主義団体が忌み嫌われている。
日本では鷹揚な扱いだ。
日本共産党が破壊活動をしないから当然だが、日本の「親中派」はこういうドイツの扱いについてどのような感想を持っているのか。
くれぐれも、日本の国益を第一にし、それを促進するという意味での「日中友好」スタンスを維持して欲しい。
日本の国益を忘れて、「中国の国益第一」は、まさにスパイと違わぬことになる。
この稿続く。