以下は今しがた発見した高橋洋一(嘉悦大)氏のツイートからである。
@YoichiTakahashi
【日本の解き方】日銀が当座預金の一部にマイナス金利を適用 背景には企業の資金需要不足、利上げより積極財政の出番だ
https://zakzak.co.jp/article/20220823-KWF4OHUBMFOYLAXNVQCIQ6RK4I/
@zakdeskより
zakzak.co.jp
【日本の解き方】日銀が当座預金の一部にマイナス金利を適用 背景には企業の資金需要不足、利上げより積極財政の出番だ(1/2ページ)
みずほ銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス金利が適用された。
メガバンクでは、三菱UFJ銀行以来半年ぶりとのことだが、その背景は何か。
まず、日銀当座預金の利息を復習しておきたい。当座預金は、(1)0・1%の金利が付く基礎残高(2)ゼロ金利のマクロ加算残高(3)マイナス0・1%の金利が付く政策金利残高の3階層に分かれている。(1)(2)を上回る(3)の部分にのみマイナス金利を課されている。
7月の日銀当座預金残高は515兆円で、(1)が207兆円、(2)が275兆円、(3)が33兆円となっている。
業態によって、マイナス金利対象の(3)は異なっている。運用先が比較的多い大手銀は(3)がほぼゼロだった。だが今回、みずほ銀行が(3)を出したのでニュースになったが、ゆうちょ銀行や信託銀行、外国銀行などはこれまでも(3)は多かった。
みずほ銀行の事情は、将来の金利上昇に備えて短期国債などの短期運用に傾斜していたが、短期国債の利回りがマイナス0・1%より低くなったので、短期国債の運用でなく日銀当座預金のマイナス0・1%のほうがましだと判断したのだろう。
一般的に金融機関は預金を集めて貸出に回す。2000年代初めのころ、預金で集めたカネの80%程度は貸出に回せていた。ところがデフレ下で企業などの資金需要がなくなるとその比率は低下し続けた。最近のコロナ禍でさらに事態が加速し、今や60%を切っている。貸出と預金の差額(預貸ギャップ)は現在430兆円もある。そのほとんどは日銀当座預金となっているわけだが、根本原因は企業の資金需要が出ないことだ。
これはマクロ経済での総需要の伸びが期待できないと解決は難しい。
マクロ経済での総需要のうち、民間部門の設備投資などは金融政策で、公的部門は財政政策で決まる。ただ、金融政策は比較的長期的なもので、短期的には財政政策の効果の方が大きい。緊縮財政では金融政策の効果も出ない。
いまだにGDPギャップ(総需要と総供給の差)を放置するなど、岸田文雄政権は財政緊縮モードなので、企業の資金需要が旺盛になる気配はほとんど感じられない。これは、海外要因でエネルギー価格などが上昇してもインフレ率が本格的に上がりにくいのと同根の現象だ。
世界ではマイナス金利の解除に向かう動きが広がっている。欧州中央銀行(ECB)は7月に0・5%の利上げを決め、8年間続いたマイナス金利を解除した。スイスやデンマークも同じだ。ただし、これらと日本と違うのは、GDPギャップの有無で、それに伴う物価上昇があるかないかだ。
一部の新聞では、金融機関の苦境を「金融政策の副作用」と言うが、本当の原因はGDPギャップの放置である。
副作用をなくすために利上げすれば、GDPギャップは拡大し、事態はさらに悪化するだろう。
その愚を犯さないためにも、積極財政の出番だ。
(元内閣参事官・嘉悦大教授)
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