彼女は、「仙人」になりたいと思っていました。
人の近づかないような山に住み、霞を食べて生きている。
彼女にとって「仙人」は、
「選ばれた人間」ではなく、「神」でした。
彼女は、人の力になるのがもともと好きで、
悩みを聞いたり、学を助けたり、心をのぞいたり、
彼女の周りの、一部の人々に力を貸していました。
ところが、噂が噂を呼び、
彼女の名が広い範囲にまで知れ渡るようになると、
今までの何十倍という人が、
1人で何十個もの助けを求めて、
彼女の元へ、やって来るようになりました。
でも彼女は、
人の力になるのが好きでした。
彼女は、
人の力になるのがもともと好きだったので、
昨日も、今日も、明日も、
人々に力を貸していました。
ある日、
彼女の元に来た人々の列が少しだけ途切れたので、
彼女は、一休みしました。
その時彼女は、
自分の足元に霞のようなものがたち込め、
体が宙に浮いてくるのがわかりました。
彼女は喜びました。
これで、もっと人助けができる、と。
彼女は仙人になれましたが、
まだ半人前なので、宙を浮くことしかできませんでした。
人々は、彼女の姿を見て、喜びました。
人々は、言いました。
「あの人は、宙を浮けるだけじゃなくって、なんでもできるんだ。
姿を消したり、雨を降らせたり、物を出したり。
あの人は、神様なんだよ。」
しかし、彼女は、まだ半人前なので、
ほんの少し宙を浮くことと、
人の悩みを聞いてあげることしかできませんでした。
私は神じゃない。
彼女は、何度も、人々に訴えようとしました。
しかし、神としての彼女を求めてやってくる人々の群れは、
そんな彼女を許しませんでした。
彼女は、人間社会に絶望しました。
そして、それと同時に、
自分が、「神」ではなく、
人々と同じ、「人間」であるということに、
腹が立ちました。
彼女は、
人間社会を見下ろせるような高い山に棲みつき、
霞を食べて生きるようになりました。
彼女は、
自分にとっての「人間」として、ではなく、
人々にとっての「神」として、
今も、あの山に棲んでいることでしょう。

こんなことを書いていたころもありました
人の近づかないような山に住み、霞を食べて生きている。
彼女にとって「仙人」は、
「選ばれた人間」ではなく、「神」でした。
彼女は、人の力になるのがもともと好きで、
悩みを聞いたり、学を助けたり、心をのぞいたり、
彼女の周りの、一部の人々に力を貸していました。
ところが、噂が噂を呼び、
彼女の名が広い範囲にまで知れ渡るようになると、
今までの何十倍という人が、
1人で何十個もの助けを求めて、
彼女の元へ、やって来るようになりました。
でも彼女は、
人の力になるのが好きでした。
彼女は、
人の力になるのがもともと好きだったので、
昨日も、今日も、明日も、
人々に力を貸していました。
ある日、
彼女の元に来た人々の列が少しだけ途切れたので、
彼女は、一休みしました。
その時彼女は、
自分の足元に霞のようなものがたち込め、
体が宙に浮いてくるのがわかりました。
彼女は喜びました。
これで、もっと人助けができる、と。
彼女は仙人になれましたが、
まだ半人前なので、宙を浮くことしかできませんでした。
人々は、彼女の姿を見て、喜びました。
人々は、言いました。
「あの人は、宙を浮けるだけじゃなくって、なんでもできるんだ。
姿を消したり、雨を降らせたり、物を出したり。
あの人は、神様なんだよ。」
しかし、彼女は、まだ半人前なので、
ほんの少し宙を浮くことと、
人の悩みを聞いてあげることしかできませんでした。
私は神じゃない。
彼女は、何度も、人々に訴えようとしました。
しかし、神としての彼女を求めてやってくる人々の群れは、
そんな彼女を許しませんでした。
彼女は、人間社会に絶望しました。
そして、それと同時に、
自分が、「神」ではなく、
人々と同じ、「人間」であるということに、
腹が立ちました。
彼女は、
人間社会を見下ろせるような高い山に棲みつき、
霞を食べて生きるようになりました。
彼女は、
自分にとっての「人間」として、ではなく、
人々にとっての「神」として、
今も、あの山に棲んでいることでしょう。

















こんなことを書いていたころもありました
