すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

桜散る(バックナンバー)

2007-03-23 22:13:36 | じいとんばあ
    桜散る

 ほらね こんなに痩せちゃった
 骨ばかりの手をかざして あなたは笑った
 足なんか 象さんなんだよ
 ほうら ごはん美味しそうでしょ
 浮腫のひどい足をさすりながら
 水のような重湯を見せながら
 やはり あなたは笑ってた
 そんなあなたに応える為に
 一緒に働いてきた私たちも
 笑って話した

 あなたが 親友の前で嗚咽するのを
 カーテン越しに見た時
 私たちは心底ほっとした
 ああ あなたにも泣けるところがあったのだ

 正月を迎えられないと言われたあなた
 桜の花を目標に頑張ったのね
 今は桜が満開で
 春の風に 花びらがさらわれる
 あなたの魂も
 桜と共に 旅立った

 子供みたいに小さくなった

 あなたの肩に触れてみた
 ああ 人間ってこんなにちっちゃくなっちゃうんだ  
 姉は暗いの嫌いだから
 どうぞみなさん泣かないで・・・
 そう言われても
 後から後からあふれ出た

 精一杯頑張って 
 あなたは幸せだったと思うのは
 正しいことですか
 正しいことですか

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コメント (2)
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