すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

老人施設の火事に思う

2009-03-22 18:21:24 | ひとりごと
 介護施設で火事が起き、10人の尊い命が失われた。責任の所在も大切かも知れない。緊急避難訓練が出来ていなかったとか、スプリンクラーが設置されていなかったとか、そもそも届け出すらしていなかったとか、様々な問題点が浮かび上がっている。
 大きい小さいはあっても3棟もの施設で、夜勤が女性ひとり。なすすべなく立ちつくしたであろう彼女のことを思うと胸が痛む。勿論亡くなった方や、そのご遺族のことは言うに及ばない。
 避難訓練も、設備も揃っていても、夜勤の時いつでも「もしも」を考えると怖かった。スタッフが3人、宿直が1人いても「もしも」の時、どこから誰から誘導したらいいのか分からない。歩ける人はパニックになるだろうし、そのままどこに行くか分からない。重篤な人の場合、私たちが頑張っても一度に引ける車椅子は2台だ。
 火事ならまず通報や火元を消すことも優先されるだろうが、台風や地震の場合どうしたらいいのだろう。マニュアルなんてあってないようなものだ。
 数年前日中に施設の近所の家が全焼した。気づいた近所の人が通報し、施設の人間も消火活動に走った。生憎消防車が出払っていて、着いた頃にはほぼ全焼。中には足の不自由なおばあさんがいて、火に飛び込もうとして出来なかった近所の人たちは、その断末魔の叫びを聞いている。とてもとても悲しく痛ましい事故だった。
 火事を起こして入所者を死なせてしまった施設の責任は重い。しかし、対岸の火事ではない。施設に「ありえない!」と言うことは簡単だが、自分の身に置き換えると背筋が冷たくなる。
 亡くなられた10人の方のご冥福を心からお祈りします。過酷な労働条件の中で夜勤をして、目の前でたくさんの方を助けられなかったスタッフの方の立ち直りをお祈りします。


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コメント (3)
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