笑い袋

　うちのキヨちゃんは感情表現がストレートである。だからこそ、ぶつかる事も多いのだが人間的には正直で悪気がない。だから、怒る時も泣く時も笑うときも全力である。
　今日、デイサービスで古い知り合いの訃報を聞いてきた。ショックで泣いてしまったらしい。実はその方は元担当様で、亡くなった事もご主人が息子さんのところに行った事も知っていた。勿論、キヨちゃんのことを息子さんもご主人も知っていて、話題にはなった。でも、仕事柄知らせるわけにはいかなかった。
　もし、本人が会いたいと言っていたり、ご家族が会わせたいと話していたら別だが、弱りきった姿を見せたくない場合もあり、個人情報は語らない。
　キヨちゃんは会いたかっただろうから、可哀想な事をしたと思うが、キヨちゃんもよくそこは分かってくれていた。
　帰って夜三人でテレビを見ていた。私は夕飯の後片付けをしていたのだが、居間から「笑い袋」のようなけたたましい笑い声が響いていた。くりりんと笑いながら「ドッキリ」を見ていたのだが、洗い物をする私には何が起きているのか分からない。それでも、キヨちゃんの大笑いを聞くと、こちらまで楽しくなる。
　良かった。ショックはひきずってない。明日も元気なキヨちゃんでいてね。


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