すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

ファントム~王者の誇りと責任感~

2014-11-09 21:20:30 | ひとりごと
 参った。昨夜は羽生結弦くんの事があって、くたくたになってしまった。
 楽しみにしていたフィギュアの男女フリー。女子の試合を見て、佳菜ちゃんの活躍やリプニツカヤの残念な結果に落胆したりしながら、男子の演技を心待ちにしていた。
 直前練習、まさかの衝突事故。今までも、村主章枝選手と安藤美姫選手がぶつかったり、高橋選手と小塚選手がぶつかっている。他にもそういう事故はあるのだから、もっと早くに対策をすべきだったのではと思う。何故なら、昨夜の事故は今までの中で見た事も無いくらい、酷い状況だったからだ。
 相手の閻涵(エン カン)選手も棄権を余儀なくされる状態で、ゆずくんに至っては、明らかにドクターストップだろうと言う有様だった。顔面蒼白で応急措置の傷が痛々しい。キヨちゃんはこの時点で観る事が出来なくなり寝室に逃げた。私はどっちにしても見届けようと思っていた。
 それでも滑りたいと言っているのだろう、コーチが止めているのだろうという事は、何となく見てとれた。リンクサイドで痛々しい姿で涙をこぼす姿に、
 「ああ、可哀想に悔しいだろうけど、ここは棄権した方が良いに決まっている。」
と一緒に泣いた。
 ところが、出ると言う。途端に親友ナースや東京の坂尾さんからラインの嵐。
 「大丈夫なの?」
 「病院行った方がいいよね。」
 「痙攣してない?」
 「命にかかわるよ。」
 そうしているうちに、エン カン選手も戻ってきた。彼も出ると言う。二人で握手を交わして健闘を祈る。何て、何て18歳と19歳だろう。
 二人の演技は涙なしには観られなかった。神様にどうか無事に終わることだけを祈って、握りしめた拳が震えるほどだった。
 そして、ゆずくんの演技。立っていることだって辛いはずだ。4回転を回避しない。最後まで滑りきる。5回も転倒しながらも、演技を続けた。どこかで、
 「もういいよ。もう十分だよ。」
と止める気持ちと、
 「頑張れ。」
と応援する気持ちがないまぜだった。
 結果はそれでも2位。勿論、結果などどうでもよかった。キスアンドクライで点数を待つ間、達成感のあるいい顔をしていた。
 彼の決断を決して良い判断とは言いたくない。もしかしたら命にかかわる事もあるのだ。それでも、昨夜の彼は本当に素晴らしいファントムだった。日本の誇りだと思う。

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コメント (3)
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