TABI天使日記

天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

偶然の倖せ

2001-08-12 11:55:06 | インポート
ちょうど夕飯時だったせいか、いつもの公園はすいていた。

が、広いほうの川へ行ってみたら、一頭の黒ラブと若い飼い主夫婦がいた。
ダンベルを川に投げて、レトリ?ブをしている。

TABIは、一目散に走って川に飛びこみ、ラブを遊びに誘った。
と、飼い主はラブを呼び返し、リードをつけ、大きなビーチタオルで彼の
体をおおってしまった。

気さくな飼い主が多いこの公園では珍しい行動だ。いやな感じだと思った。

ところが、水辺から芝生に上がってきたラブを見て、「あっ」と思わず
声をあげそうになった。
体重40キロはある、見事な体格。だが、後ろ足がブラブラなのだ。

股関節脱臼の重症のケースか?脊椎を損傷しているのか?
飼い主に尋ねてみたい気もしたが、顔を合わせないようにしているので、
ひかえた。

私たち夫婦は、まだこのラブと遊びたそうなTABIを呼び、狭い川に移動した。
ラブの飼い主の、「放っといてくれ」という無言のメッセージを受け取った
からである。

このラブに何があったかは知らない。だが、彼の飼い主はこの先約10年を
彼のリハビリと介護に費やすことになるのだ。
獣医は安楽死をすすめたかもしれない。しかし彼らはこの犬とともに生きる
ことを選んだ。
ラブラドールという犬を選んだからには、当然ながら飼い主はともに活動的で
アウトドア系であり、一緒にスポーツやフィールドを楽しみたかったに違い
ない。だが、この犬とは無理だ。だからといって、捨てることは彼らには
できないのだろう。

犬を飼うとは、そういうことだ。
その子に何が起ころうと、その子が天寿をまっとうするまで共に生きるという
ことなのだ。
それが、無償の愛情を捧げてくれる犬に対して人間ができる唯一のお返しだ。

TABIのような、全くの健康体を授かって、私たちはラッキーだ。
人の不幸を見て自分の幸せを実感するなんて申し訳ないが、事実そう感じる
のだから仕方がない。
私たちの幸せもまた、偶然の産物である。たまたま今まで何事もなかっただけ
の話だ。それを思うとき、TABIとの一瞬一瞬が、どれだけ貴重なものであるか
を、私は感じるのだ。


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