アメリカ人が大好きな、裁判ドラマ映画をDVDで。
日本人にはこういうのウケないだろう。実際に、上映後人気がなくて打ち切りに
なったらしい。なんだかんだ理由をつけては訴訟を起こし、大金をせしめよう
という典型的アメリカ人根性は、日本人には理解できないことだ。
しかし、わが国にも近く陪審員制度が導入されるということだから、これを
他岸の火事としてすましておけないのではないか。
陪審員カウンセラーという耳なれない職業がよくわかるように描かれている。
新しい職業ではないのだが、O.J.Simpson事件で脚光を浴びるようになってきた。
彼らはそれぞれ被告側か原告側に雇われ、あらゆる手段を使って陪審員を買収し、
裁判を自分たちに有利な方向へ向けさせるよう動くのが仕事だ。陪審員制度では
被告の有罪・無罪を決定するのは裁判官ではなく12人の陪審員だからだ。
アメリカの裁判は、もはや正義を問う場ではない。被告が本当に罪を犯した
のかどうかは全くどうでもいいことで、有り体に言ってカネと力のある方が
勝つのが普通。カネと力があれば、勝てる弁護士や陪審員カウンセラーを自在に
操れるからだ。この映画では、勝てそうになかった真面目サイドが最後に勝つ
という、おとぎ話的エンディングがミソである。「んなわけねーだろ」という
現実味のない話でもって人々を喜ばせてあげたかったのあろう。
Dustin Hoffmanが、「いまどきこんな正義感の強い弁護士、どこ探せば見つかる
のさ」ってかんじの現実味の薄い弁護士役で出ている。日本だったら森田健作
とかに演じてもらいたいものだ。
正義感の強い弁護士と「医は仁術」と信じる医者は、とっくの昔に絶滅して
しまっている。カネと力の世の中、そしてそれが誇張された国アメリカを
うまく表現した映画であった。