夜なべせる老妻糸を切る歯あり 皆吉爽雨
表意は平明だが句意は深い
作者の妻への感謝と労わりを十分に感じさせる
糸を切る歯 この写実に全てが業種記されている
思えばつい先ごろまでは
母や妻が夜なべで繕い物をしていたものだった
(小林たけし)
【夜なべ】 よなべ
◇「夜業」(やぎょう) ◇「夜仕事」
秋の夜長にいつまでも起きて働くこと。農家では冬物の繕いや藁仕事で過ごしたが、今日では減少した。
例句 作者
また一つ闇へ夜業の灯を落す 二橋満璃
星の深さに二階屋低し夜業終ゆ 足立雅泉
髪ふるるまでにつり下げ夜なべの灯 山口千種
大部屋の一角灯る夜業かな 小松誠一
明日のもの煮てゐて妻の夜なべかな 星野閑子
人信じ難き夜なべを励みけり 松本澄江
お六櫛つくる夜なべや月もよく 山口青邨
土間失われゆくばかり夜なべの灯 宇咲冬男
また一つ闇へ夜業の灯を落す 二橋満璃
星の深さに二階屋低し夜業終ゆ 足立雅泉
髪ふるるまでにつり下げ夜なべの灯 山口千種
大部屋の一角灯る夜業かな 小松誠一
明日のもの煮てゐて妻の夜なべかな 星野閑子
人信じ難き夜なべを励みけり 松本澄江
お六櫛つくる夜なべや月もよく 山口青邨
土間失われゆくばかり夜なべの灯 宇咲冬男