竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

手足あることの暗さを衣被 塩野谷仁

2020-10-21 | 今日の季語


手足あることの暗さを衣被 塩野谷仁


難解句と思ったが
上中の12音をまず解けば納得する
人、それも己にひきつければ誰もが納得する
手足はなくてはならないものだが、時に邪魔であったり
間違いを起こしたりする

そして下5の季語は手足からあまりにも遠いところの存在だ
作者はおそらく「衣被」からの発想だろう
(小林たけし)


【衣被】 きぬかつぎ
里芋のこぶりなものを皮のまま塩味でゆでたもの。名月に欠かすことができない。主として関東の風習で、茶店に用意してある。


例句 作者

東京に何の負ひ目ぞ衣被 亀田蒼石
母の忌の一男六女衣被 伊藤保子
衣かつぎが好きで抜けない国訛 佐々木栄子
衣かつぎ盛られ小石の顔となる 高桑婦美子
衣被つるりと今日の終りかな 山口伸
衣被ほこほことある妻の膝 松本詩葉子
衣被我とおぼしき夜さりの老 武田伸一
衣被月には被きしままがよし 荻野千枝
衣被見栄捨ててより郷近し 小池溢
衣被飯田蝶子を知っている 髙橋悦子
車座のまん中にある衣被 奥山津々子
辻褄は合はせるものよ衣被 和田照海
限りなく長男は損衣被 中屋ゆずる

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