あらたまの春著に着かへ用のなき 久保田万太郎
なんとも万太郎俳句らしい俳句ではないか
新たまっての気分は高揚しているのだが
誘われもせず、誘う相手もいないことに気づく
せんのないやるせない作者に
「ヨッ、ご同輩」と声をかけたい
(小林たけし)
春着(はるぎ) 新年
子季語 春衣、春著、正月小袖、春小袖、花小袖、松がさね、初重ね、若草衣、初衣裳
関連季語
解説 女性や子どもが正月に着る晴着をいう。旧暦のころ、正月は春を迎えることであり、正月
に着る春の着物が、春着そのものだった。
来歴 『滑稽雑談』(正徳3年、1713年)に所出。
例句 作者
いささかの他人行儀も春着かな 森岩雄
お百度を踏みて春著に目もくれず 浜渦美好
かかる丈の衣桁の春著着るものか 爽雨
かざしては復も春着の袖を見る 山口誓子
かの壁にかかれる春著焼け失せし 桂信子 黄 瀬
からたちの垣に沿ひけり春著の子 加藤三七子
ぎこちなき夫の手借りて着る春着 黒川悦子
すと立ちて帯が光りぬ春著の妓 高濱年尾
いささかの他人行儀も春着かな 森岩雄
お百度を踏みて春著に目もくれず 浜渦美好
かかる丈の衣桁の春著着るものか 爽雨
かざしては復も春着の袖を見る 山口誓子
かの壁にかかれる春著焼け失せし 桂信子 黄 瀬
からたちの垣に沿ひけり春著の子 加藤三七子
ぎこちなき夫の手借りて着る春着 黒川悦子
すと立ちて帯が光りぬ春著の妓 高濱年尾