竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

動(やや)もすれば鮟鱇だったかもしれぬ 長井寛

2021-01-24 | 今日の季語


動(やや)もすれば鮟鱇だったかもしれぬ 長井寛

じゃんけんで負けて蛍に生まれたの 池田澄子
に匹敵するか
澄子は女性だから蛍
作者は男性である
じゃんけんの勝負はともかく
「ややもすれば」が言いえて妙だ
ややもすれば人が鮟鱇に食われるのだ
(小林たけし)



鮟鱇】 あんこう(・・カウ)
日本周辺の大陸棚に分布する深海魚。体長は30~150cm。つかみどころのない粘液質の大きな体は、「吊るし切り」でさばかれる。身よりも内蔵が美味で、とも・ぬの・肝・水袋・えら・柳肉・皮を「鮟鱇の七つ道具」という。なかでも肝臓の「あんきも」は珍重される。主にちり鍋で食べる鮟鱇鍋は冬の鍋料理の代表格。

例句 作者

取り出せし鮟鱇の肝さくら色 吉川遊壺
吊されし鮟鱇何か着せてやれ 鈴木鷹夫
吊されてより鮟鱇の面がまへ 大野崇文
鮟鱇もわが身の業も煮ゆるかな 久保田万太郎
鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる 加藤楸邨
鮟鱇の津浪を起しそうな口 八牧美喜子
鮟鱇の愚にして咎はなかりけり 村上鬼城
鮟鱇の渾沌たるを吊しけり 太田寛郎
鮟鱇の身も世もあらず吊るされし 矢倉澄子
吊鮟鱇末期の水を腹に溜め 青木つね子
鮟鱇のその次の世も鮟鱇か 遠藤若狭男
鮟鱇の肝に箸入れ雪来るか 林 佑子
鮟鱇の口の中なる黒き海 服部早苗