粕汁や明治の文士髭ゆたか 中西夕方紀
句意はなんとも平明だが
粕汁も文士の髭も
遠くなつかしいものになってしまっている
そんな哀惜の感覚がある
髭ゆたかな明治の文士が物知り顔で
粕汁を食している姿を想像するだけで愉快にもなる
粕汁はもう消滅季語に近いところに位置している
(小林たけし)
【粕汁】 かすじる
味噌汁に酒の粕を加えたもの。
例句 作者
粕汁にぶち斬る鮭の肋かな 石塚友二
粕汁にあたたまりゆく命あり 石川桂郎
粕汁や裏窓にある波がしら 千田一路
粕汁や蓋を浮かせて沸きたちし 富安風生
粕汁や野の風遠くわたる音 水原秋櫻子
粕汁にぶち斬る鮭の肋かな 石塚友二
粕汁にあたたまりゆく命あり 石川桂郎
粕汁や裏窓にある波がしら 千田一路
粕汁や蓋を浮かせて沸きたちし 富安風生
粕汁や野の風遠くわたる音 水原秋櫻子