竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

粕汁や明治の文士髭ゆたか 中西夕方紀

2021-01-25 | 今日の季語


粕汁や明治の文士髭ゆたか 中西夕方紀

句意はなんとも平明だが
粕汁も文士の髭も
遠くなつかしいものになってしまっている
そんな哀惜の感覚がある
髭ゆたかな明治の文士が物知り顔で
粕汁を食している姿を想像するだけで愉快にもなる
粕汁はもう消滅季語に近いところに位置している
(小林たけし)


【粕汁】 かすじる
味噌汁に酒の粕を加えたもの。

例句 作者

粕汁にぶち斬る鮭の肋かな 石塚友二
粕汁にあたたまりゆく命あり 石川桂郎
粕汁や裏窓にある波がしら 千田一路
粕汁や蓋を浮かせて沸きたちし 富安風生
粕汁や野の風遠くわたる音 水原秋櫻子

晩成の意地の一願初天神 さとう野火

2021-01-25 | 今日の季語


晩成の意地の一願初天神 さとう野火

晩成の意地
この一語に作者の思いの深さを思わずにはいられない
青年期からの志が晩年になってまだ熱い
そして一願である
必ずやの成就を信じたい
(小林たけし)

【初縁日】 はつえんにち
◇「初水天宮」(はつすいてんぐう) ◇「初金比羅」(はつこんぴら) ◇「初十日」(はつとおか) ◇「初甲子」(はつきのえね) ◇「初大黒」(はつだいこく) ◇「初卯」(はつう) ◇「初愛宕」(はつあたご) ◇「初天神」(はつてんじん) ◇「初辰」(はつたつ) ◇「初妙見」(はつみょうけん) ◇「初寅」(はつとら) ◇「初弁天」(はつべんてん) ◇「初巳」(はつみ) ◇「初庚申」(はつこうしん) ◇「初帝釈」(はつたいしゃく) ◇「初亥」(はつい) ◇「初地蔵」(はつじぞう) ◇「初薬師」(はつやくし) ◇「初虚空蔵」(はつこくぞう) ◇「初閻魔」(はつえんま) ◇「十王詣」(じゅうおうまいり) ◇「初聖天」(はつしょうてん) ◇「初観音」(はつかんのん) ◇「初大師」(はつだいし) ◇「初弘法」(はつこうぼう) ◇「初不動」(はつふどう)
その年の初めに各地の神社などで開かれる縁日。「初水天宮」「初不動」「初天神」等々。

例句 作者

初観音人形焼を買ふ列に 瀧 春一
初天神妻が真綿を買ひにけり 草間時彦
下駄ひきて初金毘羅の石だたみ 村沢夏風
紅すこし初天神といひて濃く 上村占魚
正月の末の寒さや初不動 久保田万太郎
卯の札やことにゆゝしき額髪 松根東洋城
初寅や貴船へ下る小提灯 前田青雲
たわたわと降りくる鳩や初不動 山口青邨
山門の根深畑や初大師 村上鬼城
舟着きも靄の佃の初巳かな 長谷川春草
空手の子初天神に拳解く 増田直子