
鰭酒にさすらひ人の如く酔ひ 五所平之助
さすらひ人の如く酔う
たのしく賑やかな酒席ではない
旅の途中の小さな宿で
思いがけなくふるまわれた鰭酒か
何も語らず、何も聞かず
ただ気持ちの良い酔い心地が感じられる
(小林たけし)
鰭酒】 ひれざけ
◇「身酒」(みざけ)
河豚の鰭を焦がすほどにあぶり、熱燗酒に入れたもの。蓋をして数分おき、火でアルコール分を飛ばしてから飲む。「身酒」は鰭ではなく河豚の身を入れたもの。
例句 作者
鰭酒も春待つ月も琥珀色 水原秋櫻子
ひれ酒にすこしみだれし女かな 小絲源太郎
鰭酒の密談めける一隅よ 永方裕子
鰭酒や海へ出てゆく夜の雲 斎藤梅子
鰭酒や逢へば昔の物語 高浜年尾
鰭酒や身ぬちにすこし無頼の血 渡辺文雄
鰭酒に憂き世の命玩ぶ 亀山幽石
鰭酒やころり往生文句なし 三枝隕水
鰭酒や暗夜に星のこぼるる音 北村益夫
鰭酒も春待つ月も琥珀色 水原秋櫻子
ひれ酒にすこしみだれし女かな 小絲源太郎
鰭酒の密談めける一隅よ 永方裕子
鰭酒や海へ出てゆく夜の雲 斎藤梅子
鰭酒や逢へば昔の物語 高浜年尾
鰭酒や身ぬちにすこし無頼の血 渡辺文雄
鰭酒に憂き世の命玩ぶ 亀山幽石
鰭酒やころり往生文句なし 三枝隕水
鰭酒や暗夜に星のこぼるる音 北村益夫