竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

鰭酒にさすらひ人の如く酔ひ 五所平之助

2021-01-12 | 今日の季語


鰭酒にさすらひ人の如く酔ひ 五所平之助


さすらひ人の如く酔う
たのしく賑やかな酒席ではない
旅の途中の小さな宿で
思いがけなくふるまわれた鰭酒か
何も語らず、何も聞かず
ただ気持ちの良い酔い心地が感じられる
(小林たけし)

鰭酒】 ひれざけ
◇「身酒」(みざけ)
河豚の鰭を焦がすほどにあぶり、熱燗酒に入れたもの。蓋をして数分おき、火でアルコール分を飛ばしてから飲む。「身酒」は鰭ではなく河豚の身を入れたもの。

例句 作者

鰭酒も春待つ月も琥珀色 水原秋櫻子
ひれ酒にすこしみだれし女かな 小絲源太郎
鰭酒の密談めける一隅よ 永方裕子
鰭酒や海へ出てゆく夜の雲 斎藤梅子
鰭酒や逢へば昔の物語 高浜年尾
鰭酒や身ぬちにすこし無頼の血 渡辺文雄
鰭酒に憂き世の命玩ぶ 亀山幽石
鰭酒やころり往生文句なし 三枝隕水
鰭酒や暗夜に星のこぼるる音 北村益夫