竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

人の世は待つこと多し水ぬるむ 梶山千鶴子

2021-03-02 | 今日の季語


人の世は待つこと多し水ぬるむ 梶山千鶴子


句意には異論の余地はないが
水温む
この季語の唐突な取り合わせに一瞬たじろいだのだが
一瞬の間のあとの共鳴感にひたることになった
(小林たけし)


【水温む】 みずぬるむ(ミヅ・・)
◇「温む水」 ◇「温む沼」 ◇「温む池」 ◇「温む川」
寒さがゆるみ、水にあたたかさが感じられるのをいう。水辺に立つと魚も動きはじめ、水草も生えてくるなど、春の動きが感じられてくる。

例句 作者

これよりは恋や事業や水温む 高浜虚子
ガラパゴス諸島しずかに水ぬるむ 宇井十間
ピカピカの蛇口をあふれ水温む 鈴木典子
和紙を漉く家に生まれて水温む 西川みちこ
土殺す掌の滑らかに水温む 櫻井かなう
天界に師の名夫の名水温む 糸賀緋絽子
庖丁に妻の研ぎあと水温む 樋口游魚
戸棚には使はぬ食器水温む 樋口游魚
文庫本芙美子像下車湾温む 平田直樹
水の輪が重なり合って温みだす 松井国央