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人の世は待つこと多し水ぬるむ 梶山千鶴子
句意には異論の余地はないが
水温む
この季語の唐突な取り合わせに一瞬たじろいだのだが
一瞬の間のあとの共鳴感にひたることになった
(小林たけし)
【水温む】 みずぬるむ(ミヅ・・)
◇「温む水」 ◇「温む沼」 ◇「温む池」 ◇「温む川」
寒さがゆるみ、水にあたたかさが感じられるのをいう。水辺に立つと魚も動きはじめ、水草も生えてくるなど、春の動きが感じられてくる。
例句 作者
これよりは恋や事業や水温む 高浜虚子
ガラパゴス諸島しずかに水ぬるむ 宇井十間
ピカピカの蛇口をあふれ水温む 鈴木典子
和紙を漉く家に生まれて水温む 西川みちこ
土殺す掌の滑らかに水温む 櫻井かなう
天界に師の名夫の名水温む 糸賀緋絽子
庖丁に妻の研ぎあと水温む 樋口游魚
戸棚には使はぬ食器水温む 樋口游魚
文庫本芙美子像下車湾温む 平田直樹
水の輪が重なり合って温みだす 松井国央
これよりは恋や事業や水温む 高浜虚子
ガラパゴス諸島しずかに水ぬるむ 宇井十間
ピカピカの蛇口をあふれ水温む 鈴木典子
和紙を漉く家に生まれて水温む 西川みちこ
土殺す掌の滑らかに水温む 櫻井かなう
天界に師の名夫の名水温む 糸賀緋絽子
庖丁に妻の研ぎあと水温む 樋口游魚
戸棚には使はぬ食器水温む 樋口游魚
文庫本芙美子像下車湾温む 平田直樹
水の輪が重なり合って温みだす 松井国央