竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

むかしむかしのなみだのにほひさくらもち 恩田侑布子

2021-03-26 | 今日の季語


むかしむかしのなみだのにほひさくらもち 恩田侑布子

作者は桜餅を見るたびにあるいは食するたびに
昔日のあの日を思い出さずにはいられない
むかしむかしのリフレインなので幼年時代まで遡りそうだ
とすれば母の手になる桜餅ばぼは明快だ
涙を流しながら母に訴えている作者が映ってくる
(小林たけし)


【桜餅】 さくらもち
小麦粉・白玉粉を練って薄く焼いた皮に餡を入れて、塩漬の桜の葉で包んだもの。文政年間に向島長命寺で売り出したのに始まる。関西風は、蒸した道明寺糒を用いて作る。

例句 作者

うかれたる心も少し桜餅 星野立子
三つ食へば葉三片や桜餅 高浜虚子
桜餅闇のかなたの河明り 石田波郷
遊園の春とゝのひぬ桜餅 水原秋櫻子
さくら餅食ふやみやこのぬくき雨 飯田蛇笏
さくらより少し色濃し桜餅 森 澄雄
本郷に桜餅買ふ喪の帰り 沢木欣一
さくらもちボールペンがつまずくの 三富みきえ
みっつめは包んでもらう桜餅 香山つみれ
わが妻に永き青春桜餅 沢木欣一
われも老い妻も老いけり桜餅 田中冬二
一煎や曇り床几の桜もち 荻野千枝