竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

たしか今二人のなかを亀鳴けり 小林実

2021-03-29 | 今日の季語


たしか今二人のなかを亀鳴けり 小林実

不信を抱き始めているのだろうか
男女の仲は直線ではない
曲り沈み飛び打ちひしがれる
別離の数はおびただしいほど
たしかに聞いた亀の声
破局の予兆に相違ない
(小林たけし)

【亀鳴く】 かめなく
亀は鳴かないと言われているが、藤原為家の和歌「川越のをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀のなくなる」(夫木集)により、古くから季題として興がられてきた。 春の夕に聞こえてくる声・音を何ぞと疑問に思いながら季語としたところが一種の俳諧的な趣味となる。

例句 作者

つぎの世は亀よりも蛇鳴かせたし 桂信子
ふりをして亀は鳴くこと思案中 村田まさる
七掛けで生きし人生亀鳴けり 松本夜誌夫
不覚にも美女と呼ばれし亀鳴きぬ 鳴戸奈菜
亀が鳴くまで水たまりのままでいい 坂本敏子
亀の鳴くその一言を聴き洩らす 加藤光樹
亀鳴いて余命千年志す 持永ひろし
亀鳴かしすぎるぞ諸君俳兄よ 岩下四十雀
亀鳴かずとはいえ物語る地動説 旭太郎
亀鳴くかこつちの道がおもしろい 山岸由佳
亀鳴くと言へど未だに聞かざりし 桑垣信子
亀鳴くと首をもたげて亀の聞く 中原道夫

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