竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

赤シャツも田植えに混じる千枚田 松本詩葉子

2021-05-11 | 今日の季語


赤シャツも田植えに混じる千枚田 松本詩葉子

過疎の農村で
都会の子供らに田植えの体験をさせるところがある
農家の子に交じって都会の子が
歓声をあげて一日を過ごすが貴重な体験だ
親も一緒に田植えをする様子も伺える
掲句はそんな光景を想起させる
(小林たけし)



【田植】 たうえ(・・ヱ)
◇「田を植う」 ◇「田植唄」 ◇「田植笠」 ◇「田植時」
苗代で育てた稲の苗を、代掻きの済んだ水田に移し植える作業のこと。初めは直に籾を撒く方法(直播)が執られていたが奈良時代に移植する方法が始まり、平安時代に広く一般化した。田植えの時期は各地方によって様々だが、五月雨の中、早乙女が早苗を植える姿は風情豊かなものである。

例句 作者

にんげんの部品毀れる田植季 石田八洋
はじまりは米寿の一声田を植える 近藤詩寿代
ひるまへの屋根に人ゐる田を植うる 齊藤美規
ほまち田の田植を終えて父帰る 青木啓泰
みめよくて田植の笠に指を添ふ 山口誓子
制服を脱いで田植の水を読む 山口きみ子(響焰)
喪が明けて田植えの足を拭く女 舘岡誠二
植ゑ終へし棚田に風の曲がりくる 大木雪浪
水系の絆どろどろ田を植える 小川水草
浮苗を挿して夕日を呼び戻す 天津善明
片あしのおくれてあがる田植かな 阿部青鞋
田が植わり堰にふくるる余り水 吉田きみ子
田を植ゑて不和の夫婦の戻けり 土屋北彦