竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

ことしより堅気のセルを着たりけり 久保田万太郎

2021-05-14 | 今日の季語


俳句  作者名

ことしより堅気のセルを着たりけり 久保田万太郎

万太郎ならではの句といえようか
洒脱ないきざまを隠さないところが良い
昨年までは何者だったのだろう
読者を楽しませる技が見事だ
(小林たけし)


梳毛(そもう)糸使いの単衣着尺などの毛織物、または梳毛糸と人絹・絹糸・綿糸との交織で、肌触りが柔らかで薄く、初夏に着用するセル地で作った単衣のことをいう。

例句 作者

セルを着て小さん贔屓の父なりき 石嶌 岳
セルを着て手足さみしき一日かな 大野林火
セル軽く荷風の六区歩きけり 加藤三七子
セルを着て遊びにゆくや東京へ 松本たかし
セルを着て遺書は一行にて足りる 寺田京子
童話書くセルの父をばよぢのぼる 中村草田男
赤んぼの五指がつかみしセルの肩 中村草田男

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