竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

水際や青田に風の見えて行く 井上井月

2021-05-21 | 今日の季語


水際や青田に風の見えて行く 井上井月

稲の成長はなんとも早い
あれほどの田水が一面の青稲で見えなくなってくる
水際に寄れば田水に風のそよぎが静かに揺れている
作者はそれを<風の見えて行く>との措辞で表現した
(小林たけし)


【青田】 あおた(アヲタ)
◇「青田面」(あおたも) ◇「青田風」 ◇「青田波」 ◇「青田道」
苗を植えてまもない田を「植田」というのに対して稲が生育して一面青々とした田を「青田」という。植田が青一色になる頃は土用の日差しも強く、青田を吹き行く風(「青田風」)になびく稲は波のように揺れ(「青田波」)、見るからに爽快である。《植田:夏》

例句 作者

源流の青田ひろがるわが視角 齊藤美規
潮ぐもり青田ぐもりにつづきけり 桂信子
点晴の青田の鷺も出羽の国 朝広純子
畦の影たしかなりけり大青田 前田典子
福耳がひたすら青田刈つてゐる 泉風信子
竹藪にはさまれている青田かな 杉浦圭祐
耶蘇ならず青田の海を踏み来るは 西東三鬼
裏山のごろりとありぬ大青田 伊藤政美
西施せつせつ髮洗うよう青田波 白川温子
観音の里は青田に靜まれり 石田彰
越(こし)遥かひと世の青田すわりたる 森田緑郎