竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

緑なす松や金欲し命欲し 石橋秀野

2021-05-24 | 今日の季語


緑なす松や金欲し命欲し 石橋秀野

誰にでも、季節は平等にめぐりくる。が、受け取り方は人さまざまだ。病者にとっては、とくに春のつらい人が多い。中途半端な気温、中途半端な自然の色彩。あるいはそこここでの生命の息吹きが、衰えていく身には息苦しいからである。そんな心境を強く表白すれば、この句のようになる。この句を読んで、誰も「あさましい」などとは思わないだろう。今年も、元気者だけのための「ゴールデン・ウィーク」がやってくる。(清水哲男)

作者が山本健吉氏の妻女と知って
もう一度句をしみじみと読んでみた
(小林たけし)


【新緑】 しんりょく
◇「緑」 ◇「緑さす」
初夏の樹木の目の覚めるような若葉の緑をいう。「新緑」という語感からも爽やかさが感じられる言葉である。

例句 作者

みどりの夜子は一本の眠れる矢 高野ムツオ
みどり差す背中の張りし半跏像 浪本恵子
わが城あり緑を窓に工場崩れ 堀葦男
人頭に鳥身みどりの夜を歩き 高野ムツオ
公園の見取図どこも緑濃し 伴場とく子
大学の緑を濃くす培養基 中村路子
嬬恋に友あり句碑あり緑濃き 松本真津子
子の皿に塩ふる音もみどりの夜 飯田龍太
弱き祭行けど片側をみどりの森 和田悟朗
恐ろしき緑の中に入りて染まらん 星野立子
戦後みどりなす柳屋のポマード 川名つぎお
新緑や手を高々と交差点 高橋和彌
木のみどり草のみどりに罠かける 津根元潮