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一日を使ひきつたる夏椿 尾池和夫
上五中七はよく目にする表意だが
季語の夏椿との取り合わせが絶妙だ
作者自身の夏の一日の充足感がうかがえる
(小林たけし)
【沙羅の花】 さらのはな
◇「夏椿」 ◇「夏椿の花」 ◇「あからぎ」 ◇「姫紗羅」(ひめしゃら) ◇「紗羅の花」(しゃらのはな) ◇「紗羅咲く」
山地に自生するが、庭木として寺院などにも植えられる。夏に椿に似た白色五弁の花をつける。「夏椿」が正しい名前。仏教にゆかりの沙羅双樹はインド産で別の花である。朝咲いて夕べには散る一日花。
例句 作者
風立ちて沙羅の蕾の見えそめし 肥田埜勝美
沙羅咲いて往路ばかりの月日かな 脇本星浪
沙羅双樹あまたは蕾咲くは散る 宇野犂子
沙羅浄土穢土を忘れてをりにけり 倉橋弘躬
沙羅咲くと茶粥の箸を置きて見る 上野さち子
夏椿化粧ひて別の声いづる 中村路子
夏椿死亡欄から読みはじめ 星野昌彦
風立ちて沙羅の蕾の見えそめし 肥田埜勝美
沙羅咲いて往路ばかりの月日かな 脇本星浪
沙羅双樹あまたは蕾咲くは散る 宇野犂子
沙羅浄土穢土を忘れてをりにけり 倉橋弘躬
沙羅咲くと茶粥の箸を置きて見る 上野さち子
夏椿化粧ひて別の声いづる 中村路子
夏椿死亡欄から読みはじめ 星野昌彦