竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

指先にぬくもり伝う猫柳 飯田蒼水

2021-03-07 | 今日の季語


指先にぬくもり伝う猫柳 飯田蒼水


猫柳にそっと指先を触れてみる
ただそれだけなのだが
春の到来を告げるには他の言辞は不要だ
春の季語 猫柳の秀逸句だろう
(小林たけし)


【猫柳】 ねこやなぎ
◇「えのころ柳」
カワヤナギの季節的な愛称。日本全土の山野の川べりに自生する。2月頃葉の出る前に、銀鼠色の絹毛の花穂をつける。その艶のある密生した毛が、猫を思わせるので、この名がある。雌雄異株。雄花は黄色で、雌花は白

例句 作者

せせらぎの音のしてゐる猫柳 戸田さとえ
どの指にも平和と書いて猫柳 徳才子青良
二の足を軽くしている猫柳 久行保徳
喧噪の外へ膨らみ猫柳 新川敏夫
時がまだなかった頃の猫柳 川名つぎお
来て見ればほほけちらして猫柳 細見綾子
母の愛うす紅色の猫柳 築部由紀美
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腹の虫起こさぬための懐手 たけし

2021-03-06 | 入選句



腹の虫起こさぬための懐手 たけし



2021年3月5日 朝日新聞 栃木俳壇にて石倉夏生先生の選を頂きました

いまは三寒四温の季節なのだが

掲句は投句がまだ冬の最中だったので季語がずれているのが目立つ



いまさらのように俳句は季節への挨拶が大切だと思う



掲句は懐手に意思のあることをデフォルメして詠んだ

寒いから、手持無沙汰だからではない



理性に反して起きだそうとする腹の虫を

懐手がしっかりと抑えている



実は坂本龍馬の懐手もそうだったのかもと思って利している



身と心の不均衡を読み取っていただければ幸いだ
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もの言わぬガマは語り部八月来 たけし

2021-03-05 | 入選句



全国を冠した俳句大会は数多いが

この西東三鬼顕彰の俳句大会は

大賞賞金が50万円ということで特異な存在だ

今回はじめて投句したところ「佳作」に採られて作品集が送付されてきた

下記のような順序で掲載の作品集でなかなかの質量だ



ちなみに大賞句は

マスクしてしづかな国となりにけり 松だ桂子



拙句は

もの言わぬガマは語り部八月来 小林たけし



応募総数4228句

大賞1句

秀逸 10句

入選 30句

佳作 57句



考えようによれば膨大な総督数の中で42位タイともいえるのがから

喜んで好いのかもしれない
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人の世は待つこと多し水ぬるむ 梶山千鶴子

2021-03-02 | 今日の季語


人の世は待つこと多し水ぬるむ 梶山千鶴子


句意には異論の余地はないが
水温む
この季語の唐突な取り合わせに一瞬たじろいだのだが
一瞬の間のあとの共鳴感にひたることになった
(小林たけし)


【水温む】 みずぬるむ(ミヅ・・)
◇「温む水」 ◇「温む沼」 ◇「温む池」 ◇「温む川」
寒さがゆるみ、水にあたたかさが感じられるのをいう。水辺に立つと魚も動きはじめ、水草も生えてくるなど、春の動きが感じられてくる。

例句 作者

これよりは恋や事業や水温む 高浜虚子
ガラパゴス諸島しずかに水ぬるむ 宇井十間
ピカピカの蛇口をあふれ水温む 鈴木典子
和紙を漉く家に生まれて水温む 西川みちこ
土殺す掌の滑らかに水温む 櫻井かなう
天界に師の名夫の名水温む 糸賀緋絽子
庖丁に妻の研ぎあと水温む 樋口游魚
戸棚には使はぬ食器水温む 樋口游魚
文庫本芙美子像下車湾温む 平田直樹
水の輪が重なり合って温みだす 松井国央
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火が痩せて痩せて修二会の駆け廻る 山口誓子

2021-03-01 | 今日の季語


火が痩せて痩せて修二会の駆け廻る 山口誓子

誓子が修二会へ臨んでの句と分かる
痩せて痩せてのリフレインに臨場感が迫りくる
(小林たけし)


【修二会】 しゅにえ(・・ヱ)
◇「御松明」(おたいまつ)
3月1日から14日間(もと陰暦2月1日より)、奈良東大寺で行う国家鎮護の法会。二月堂の法会はお水取りの行事として有名。修二会は修二月会の略で2月に修する意。

例句 作者

修二会僧の佳き顔見ゆる又も見ゆ 山田みづえ
修二会の奈良に夜来る水のごと 角川源義
女身われ修二会の火の粉いただくや 斎藤芳枝
つまづきて修二会の闇を手につかむ 橋本多佳子
修二会いま走りの行や床鳴らし 村沢夏風

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