大気イオンが増加すると地震雲の発生になりやすい、と言うのが一般論ですが、その大気イオンの発生過程はいくつもあるようです。
私が20代の時に目にした資料では岩石に力をかけると、破壊に至る直前に直接、プラズマ(イオン化された気体)が発生する、と言う内容に解釈されたので、殆どそう言うものか、と思っていましたが、特に最近はそうでもないプロセスで大気イオンが発生する説が多いようです。
それは次の通りです。
引用開始(一部抜粋)
http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2011/12/001005.html
事例⑥:東北地方太平洋沖地震
atmc-Tokyoより
東日本大震災の発生前に、大気中のラドンガス濃度が昨年6月から半年間増加していたことが、東北大と神戸薬科大、福島県立医大の研究で分かった。12日から静岡市で開催される日本地震学会で発表する。研究グループは「今後の地震予測に寄与する可能性がある」と期待を寄せている。
研究グループによると、季節により規則正しい増減傾向を示す大気中のラドンガス濃度が、平成20年ごろから数値が乱れ始め、昨年6月から12月初旬まで 増加。その後急激に減少し、東日本大震災発生までの約3カ月間、通常よりやや低い濃度レベルを維持した停滞期間が続いた。
東北大の長濱裕幸教授は「大気中のラドンガス濃度の計測は、放射線測定をしている施設でも可能だ」としたうえで、「今後大気中のラドンガス濃度を計測するモニタリングネットワークができれば、大規模な地震発生地域の予測に貢献できる」としている。
◆ ◆ ◆ 地震予知としてのラドン濃度測定の可能性
以上の事例などから、ラドン濃度測定による地震予知の可能性について考えてみます。
◆ 可能性
地震予知に「使えそう」な根拠を挙げると
①「地震前にラドンが発生する」という根拠が明確(花崗岩の亀裂)
②ラドン濃度の測定手法が確立されている
③過去に事例がいくつもあり、グラフを見てもその変化が明確
④ラドンのもつ電離作用によって大気中の窒素や酸素がイオン化し、地震雲などや電離層の擾乱等の予兆を発生させる、という仮説が成り立つ。(詳細は今後追求していきます)
⇒この前提に立てば、ラドンが原因で発生すると思われる地震の予兆(地震雲・電離層の擾乱)とも併せて見ると、より予知の可能性が高くなりそう。
つまり、「地震前には確実にラドンが発生し」、「その測定も容易で」、「結果も分かりやすい」
ことが、ラドン濃度測定の特徴だといえます。
引用終了
つまり地殻の中に存在するラドンが地殻の破壊時にラドンガスとして地中から放出され、それで大気中の窒素や酸素がイオン化される、とする見方です。
これだとその地殻中に含まれるラドンが多い地質と少ない地質では、ラドンガスの発生に大きく差が出る事になりますが、実際どの位の差があるのかは調べきれていません。
またラドンだけでなく、トリウムも同様に発生し、同様な働きをする、と言う見方もあるようです。
引用開始(一部抜粋
http://www.geosociety.jp/faq/content0421.html
地震の震源付近から何らかの放射性物質や微粒子が放出されるのであれば,その上の水蒸気に飽和した大気に特徴的な雲ができるのは,あり得ることである.実際いくつかの地震の前に,それらの震源の近くで,地下からのラドン(気体の放射性元素)の放出が観測されている(例えば阪神大震災の前;安岡ほか, 1996; 脇田, 1996; 佐伯ほか, 1995).ラドンは岩石中のトリウムやウランの放射壊変により発生するもので,平常時でも地下室の空気中には比較的多く含まれ,断層,地すべり,地割れなどが発生すると地表へ放出される(人為的な掘削工事でも同様).因みに人間の自然被曝の半分程度は,ラドンを呼吸することによる内部被曝である.ラドン222の半減期は3.8日であり,これが震源付近から放出され,上昇気流に乗って上空に達すると,水蒸気に飽和した大気中に帯状の雲ができる可能性はあるが,実証されていない.ラドンに起因する大気イオン(帯電エアロゾル)濃度を各地で測定して地震予測をめざす全国組織もある(弘原海, 1998).この他,震源域から発生する電磁波や流体力学的な重力波(表面波)で地震雲が形成されるとする考えもある(週刊現代特別取材班, 2005; 森谷, 2009).
引用終了
一方、もう一つの大きな大気イオン(つまりプラズマ)発生のプロセスである「岩石の破壊直前、或いは破壊時に直接プラズマが発生する」と言う分類には、大きく分けて3つあるようです。
引用開始(一部抜粋)
http://www.chem-eng.kyushu-u.ac.jp/lab5/Pages/review/plasma2.html
熱プラズマを発生するには主として電気的方法が用いられ、大別して電極間のアーク放電を利用する方法と、高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法、マイクロ波により気体を加熱する方法がある。
引用終了
そしてその各々も次の説明でわかります。
引用開始(一部抜粋)
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15656024.en.html
マイクロ波発生が,高温で生成されるプラズマによるものかを確かめるため,静圧力により岩石を破壊したところ,マイクロ波が検出された.発生電力量は,圧電性強い珪岩と弱い斑レイ岩で,ほとんど同じである.花崗岩と玄武岩では,明らかに発生電力が少ない.そのデータの解析を進めた.発生電力量が,破壊直前の圧縮力(岩石により異なる)にほぼ比例することが示された.従って,この現象がプラズマによるものでなく,岩石の破壊の激しさに関連することが推定される.
地震に際して岩石が破壊され発生するマイクロ波を、人工衛星で受信できるかを見るために,システムの検討を進めた.実験値を元に発生電力を推定し,システムS/Nを求めた.その結果,充分検出の可能性があることが示された.また宇宙研本部の科学衛星の蓄積データにおいて,地震時のマイクロ波受信記録を調査した.
http://muto.nornir.co/?page_id=8
摩擦に伴う岩石の帯電と気体放電プラズマ発生に関する研究
地震に先行して,電磁放射や発光などの電磁気現象が知られている。一方,岩石実験から,岩石破壊時に電磁波(光),荷電粒子やプラズマの発生が報告されているが,地震に先行する電磁放射機構の決定的な解明には至っていない.断層面上でのアスペリティの動きを模擬したすべり摩擦実験から,石英等の天然鉱物間での摩擦帯電による発光を顕微鏡下にて直接観察した.発光は低応力(4MPa),低すべり速度(9.5mm/s)で発生し,分光測定から,摩擦帯電による気体の絶縁破壊(プラズマ発光)に起因することが明確になった.さらに,模擬断層ガウジを用いた摩擦実験から,高速すべりの直前のゆっくりすべり時に断層表面が局所的に帯電する可能性を明らかにした.これらの発見により,地震直前のゆっくりすべり時(地震核形成)に長波長電磁異常が伴われる可能性があることを摩擦実験から明らかにし,地震先行電磁現象を断層力学と地球電磁気学のフレームワークで理解することに成功した.
引用終了
大きい分類の「高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法」については、岩石破壊時の例は調べきれていませんが、実際の岩石破壊の過程で起こりうるとは考えられます。
ですから全体では、大きく分けて2つ。
一つは岩石からのラドンやトリウム放出による間接的な大気イオン生成。
もう一つは岩石からの直接的なプラズマ発生による大気イオン放出。
そうすると「ラドンやトリウム濃度だけでは岩盤破壊は把握できないのか?」と言う事になります。
地殻の破壊直前時や破壊時に間接法と直接法でどの位の差が出るのか?は比較した事がないのでわかりません。
地震雲がこれら要因だけで形成されるならば、地震雲を観測するより大気イオン濃度やラドンガス濃度を直接測った方が良い事になります。
何故なら地震雲は大気中の水蒸気濃度次第で発生する規模が異なるからです。
しかし上記の発生要因以外で地震雲が発生するならば、それは地震雲も見ておいても良い、となります。
私が20代の時に目にした資料では岩石に力をかけると、破壊に至る直前に直接、プラズマ(イオン化された気体)が発生する、と言う内容に解釈されたので、殆どそう言うものか、と思っていましたが、特に最近はそうでもないプロセスで大気イオンが発生する説が多いようです。
それは次の通りです。
引用開始(一部抜粋)
http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2011/12/001005.html
事例⑥:東北地方太平洋沖地震
atmc-Tokyoより
東日本大震災の発生前に、大気中のラドンガス濃度が昨年6月から半年間増加していたことが、東北大と神戸薬科大、福島県立医大の研究で分かった。12日から静岡市で開催される日本地震学会で発表する。研究グループは「今後の地震予測に寄与する可能性がある」と期待を寄せている。
研究グループによると、季節により規則正しい増減傾向を示す大気中のラドンガス濃度が、平成20年ごろから数値が乱れ始め、昨年6月から12月初旬まで 増加。その後急激に減少し、東日本大震災発生までの約3カ月間、通常よりやや低い濃度レベルを維持した停滞期間が続いた。
東北大の長濱裕幸教授は「大気中のラドンガス濃度の計測は、放射線測定をしている施設でも可能だ」としたうえで、「今後大気中のラドンガス濃度を計測するモニタリングネットワークができれば、大規模な地震発生地域の予測に貢献できる」としている。
◆ ◆ ◆ 地震予知としてのラドン濃度測定の可能性
以上の事例などから、ラドン濃度測定による地震予知の可能性について考えてみます。
◆ 可能性
地震予知に「使えそう」な根拠を挙げると
①「地震前にラドンが発生する」という根拠が明確(花崗岩の亀裂)
②ラドン濃度の測定手法が確立されている
③過去に事例がいくつもあり、グラフを見てもその変化が明確
④ラドンのもつ電離作用によって大気中の窒素や酸素がイオン化し、地震雲などや電離層の擾乱等の予兆を発生させる、という仮説が成り立つ。(詳細は今後追求していきます)
⇒この前提に立てば、ラドンが原因で発生すると思われる地震の予兆(地震雲・電離層の擾乱)とも併せて見ると、より予知の可能性が高くなりそう。
つまり、「地震前には確実にラドンが発生し」、「その測定も容易で」、「結果も分かりやすい」
ことが、ラドン濃度測定の特徴だといえます。
引用終了
つまり地殻の中に存在するラドンが地殻の破壊時にラドンガスとして地中から放出され、それで大気中の窒素や酸素がイオン化される、とする見方です。
これだとその地殻中に含まれるラドンが多い地質と少ない地質では、ラドンガスの発生に大きく差が出る事になりますが、実際どの位の差があるのかは調べきれていません。
またラドンだけでなく、トリウムも同様に発生し、同様な働きをする、と言う見方もあるようです。
引用開始(一部抜粋
http://www.geosociety.jp/faq/content0421.html
地震の震源付近から何らかの放射性物質や微粒子が放出されるのであれば,その上の水蒸気に飽和した大気に特徴的な雲ができるのは,あり得ることである.実際いくつかの地震の前に,それらの震源の近くで,地下からのラドン(気体の放射性元素)の放出が観測されている(例えば阪神大震災の前;安岡ほか, 1996; 脇田, 1996; 佐伯ほか, 1995).ラドンは岩石中のトリウムやウランの放射壊変により発生するもので,平常時でも地下室の空気中には比較的多く含まれ,断層,地すべり,地割れなどが発生すると地表へ放出される(人為的な掘削工事でも同様).因みに人間の自然被曝の半分程度は,ラドンを呼吸することによる内部被曝である.ラドン222の半減期は3.8日であり,これが震源付近から放出され,上昇気流に乗って上空に達すると,水蒸気に飽和した大気中に帯状の雲ができる可能性はあるが,実証されていない.ラドンに起因する大気イオン(帯電エアロゾル)濃度を各地で測定して地震予測をめざす全国組織もある(弘原海, 1998).この他,震源域から発生する電磁波や流体力学的な重力波(表面波)で地震雲が形成されるとする考えもある(週刊現代特別取材班, 2005; 森谷, 2009).
引用終了
一方、もう一つの大きな大気イオン(つまりプラズマ)発生のプロセスである「岩石の破壊直前、或いは破壊時に直接プラズマが発生する」と言う分類には、大きく分けて3つあるようです。
引用開始(一部抜粋)
http://www.chem-eng.kyushu-u.ac.jp/lab5/Pages/review/plasma2.html
熱プラズマを発生するには主として電気的方法が用いられ、大別して電極間のアーク放電を利用する方法と、高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法、マイクロ波により気体を加熱する方法がある。
引用終了
そしてその各々も次の説明でわかります。
引用開始(一部抜粋)
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15656024.en.html
マイクロ波発生が,高温で生成されるプラズマによるものかを確かめるため,静圧力により岩石を破壊したところ,マイクロ波が検出された.発生電力量は,圧電性強い珪岩と弱い斑レイ岩で,ほとんど同じである.花崗岩と玄武岩では,明らかに発生電力が少ない.そのデータの解析を進めた.発生電力量が,破壊直前の圧縮力(岩石により異なる)にほぼ比例することが示された.従って,この現象がプラズマによるものでなく,岩石の破壊の激しさに関連することが推定される.
地震に際して岩石が破壊され発生するマイクロ波を、人工衛星で受信できるかを見るために,システムの検討を進めた.実験値を元に発生電力を推定し,システムS/Nを求めた.その結果,充分検出の可能性があることが示された.また宇宙研本部の科学衛星の蓄積データにおいて,地震時のマイクロ波受信記録を調査した.
http://muto.nornir.co/?page_id=8
摩擦に伴う岩石の帯電と気体放電プラズマ発生に関する研究
地震に先行して,電磁放射や発光などの電磁気現象が知られている。一方,岩石実験から,岩石破壊時に電磁波(光),荷電粒子やプラズマの発生が報告されているが,地震に先行する電磁放射機構の決定的な解明には至っていない.断層面上でのアスペリティの動きを模擬したすべり摩擦実験から,石英等の天然鉱物間での摩擦帯電による発光を顕微鏡下にて直接観察した.発光は低応力(4MPa),低すべり速度(9.5mm/s)で発生し,分光測定から,摩擦帯電による気体の絶縁破壊(プラズマ発光)に起因することが明確になった.さらに,模擬断層ガウジを用いた摩擦実験から,高速すべりの直前のゆっくりすべり時に断層表面が局所的に帯電する可能性を明らかにした.これらの発見により,地震直前のゆっくりすべり時(地震核形成)に長波長電磁異常が伴われる可能性があることを摩擦実験から明らかにし,地震先行電磁現象を断層力学と地球電磁気学のフレームワークで理解することに成功した.
引用終了
大きい分類の「高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法」については、岩石破壊時の例は調べきれていませんが、実際の岩石破壊の過程で起こりうるとは考えられます。
ですから全体では、大きく分けて2つ。
一つは岩石からのラドンやトリウム放出による間接的な大気イオン生成。
もう一つは岩石からの直接的なプラズマ発生による大気イオン放出。
そうすると「ラドンやトリウム濃度だけでは岩盤破壊は把握できないのか?」と言う事になります。
地殻の破壊直前時や破壊時に間接法と直接法でどの位の差が出るのか?は比較した事がないのでわかりません。
地震雲がこれら要因だけで形成されるならば、地震雲を観測するより大気イオン濃度やラドンガス濃度を直接測った方が良い事になります。
何故なら地震雲は大気中の水蒸気濃度次第で発生する規模が異なるからです。
しかし上記の発生要因以外で地震雲が発生するならば、それは地震雲も見ておいても良い、となります。