遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 196 今 八十歳

2018-07-01 13:57:49 | 日記

          今 八十歳(2018.6.23日作)

 

   今 八十歳

   世の中 世間 わたしを見る眼の

   老いぼれ 痴呆 老人ボケ

   そうあって 不思議はない

   衰える肉体 行動力

   実感は 日増しに深まる

   これが出来ない 

   あれが 出来なくなった

   それも 出来ない

   堅く強張る筋肉 

   ギシギシ痛む骨格

   呼吸の衰え 波打つ心臓

   頭脳の回転 鈍くなり

   あれを忘れた これも忘れた

   人の名前 思い出せない

   素速く巡る血流 思考の回転

   望むべくもなく わたしは

   今 八十歳

   八十歳

   それでもわたしは 今

   ふと 思う 重ねた年齢

   八十歳

   悪い事ばかり でも ないのでは?

   過ごした年月 歩んだ日々

   その中で 得たもの 身に付け

   自ずと 深めて来たもの

   人間 人を 見る眼 世の中

   社会の仕組みの 裏表

   隠れたもの 隠されたもの

   その正体 中身 内容物の

   重厚 軽薄 頑強 脆弱 虚偽 真実

   かつての時代 若き日々

   若さの力 その活力で ただ一途

   突き進み 見る事 心に深く

   留める事 思考を巡らし

   思慮する事 そんな行為の

   眼中 頭の中 頭脳の片隅にも

   なかった あの頃

   前へ 前へ それが すべて

   それだけが 目的 ただ その為にだけ

   生きた 日々 そんな日々の中では

   掴み得なかった 物の真実  見る事の

   出来なかった 物の姿 眼の前

   鼻の先にありながら

   気付けなかったもの達 そんな

   もの達の姿 真実が 今 八十歳

   八十歳の頭の中に 鮮明に見えて来る

   亀の甲より年の劫

   深みを増した思考の力

   深みを増した理解の力

   深みを増した洞察力

   文学 芸術 音楽 社会の動き 現実

   かつては理解出来なかった

   もの達 その姿が 今 八十歳

   その頭の中に 鮮明 明瞭に

   浮かんで見えて来る 今 八十歳

   老いぼれ 痴呆 老人ボケ その 年齢

   だが 人間 八十歳 八十年の歳月

   伊達に 生きて来ただけではない

   伊達に 年だけ取った訳ではない

   重ねた歳月 過ごした日々 その数多さ

   積み重ね 経験 体験 得たものが 今

   輝き 八十歳の頭の中で 光りを

   放っている でも しかし 八十歳

   鈍った頭脳の回転 その力

   咄嗟の判断 その困難さ オレオレ詐欺には

   充分 充分 御注意 御注意 御用心

   お気を付けて下さいよ