意味するものは(2010.4.13日作)
海よ 波よ
何もない広大な空の下(もと) おまえたちが
延々と繰り返す
寄せては返し また 寄せて来る 果てしない
その行為の裏には いったい
どんな意味があって
何が隠されているのか
おまえたちの途切れる事のない
力に満ちた永遠の
その繰り返しを眼にしてといると
わたしは
虚無への深い感覚に囚われる
-----
春には新緑の芽を吹き
夏の盛りには
分厚い深緑で 木陰をつくり
秋には燃え立つ紅葉で 彩り鮮やかに
深山を覆い尽くす木々たちよ
誰の眼にもとまる事もないその場所で
来る年も来る年も繰り返す おまえたちの
その行為の裏には いったい
どんな意味があって
何が隠されているのか
おまえたちの限りない美しさを眼にする時
わたしは
切ないまでの寂寥の感覚に囚われる
-----
地上高く 雲を突き抜け 刃のように
鋭い峰峰を研ぎ澄ましながら
常に変わる事のない雪の白さを戴き
天空に聳え立つ
この地球 各地に存在する無数の山々たちよ
おまえたちが それ程までに峻厳に
毅然とした姿でそこに屹立している事の裏には いったい
どんな意味があって
何が隠されているのか
おまえたちのその姿を数々の映像で眼にする時
わたしは
孤高が持つ 孤独の鋭い痛みに囚われる
-----
海よ 木々よ 山々よ
おまえたちの揺ぎない
その姿勢の前に立つ時 わたしは
常に抱く厳かな感情と共に 謙虚な心で
自ずと 頭を垂れている自分を
見い出さずにはいられない