遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(358) 小説 荒れた海辺(2) 他 指導者

2021-08-15 12:06:27 | つぶやき
          指導者(2021.5.21日作)


 この世界は総て
 大衆の働き 動きの上に
 成り立っている
 大衆の働き 動きを抑えてしまえば
 この世界は 死んだ世界になる
 良き指導者とは その大衆の働き 動きを
 最高 最善の形で 引き出せる人を言う
 自身が先頭に立つ必要はない
 他者の力を引き出し その力を
 働かせる その事の出来る人 それが
 真に優れた指導者

          ---------ー

 人は
 知性だけでは
 生きてはゆけない
 感情だけでも
 生きてはゆけない
 知性と感情 その二つが
 調和して 初めて 人は
 真の生を生きられる




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          荒れた海辺(2)


 周囲には田圃や畑が果てしなく開けた景色が続いていた。
「この辺りへ来ると、東京などから比べてずっと空が明るいわね」
 奈津子は車のハンドルを握りながら、いかにも心地よげに言った。
「うん、空気がまったく違うものな」
 斎木もその心地よさを感じながら奈津子の言葉に応じた。
 すれ違う車の影はほとんどなかった。
 奈津子は快調に車を飛ばした。
「海岸通りへ出てしばらく行くと、栗山川っていう川があるはずだから、そこで少しスピードを落としてくれないか」
 奈津子が快調に車を走らせるのを見て斎木は言った。
「栗山川 ?」
 奈津子は問い返した。
「うん」
「見たいっていうのはその川 ?」
「うん。その川のそばに旅館があったんだ」
「今でもあるの ?」
「分からない」
 斎木自身、今でもその旅館があるのかどうかは分からなかった。
 あの当時、女将は四十代半ばの年頃に見えた。
 板前は老人で七十歳を越えていると言っていた。
 あれから長い歳月が経過していた。女将や板前が現在でもあの当時のままに居るとは考えられなかったが、何かの手掛かりだけは得られるのではないか ?
 女将には身寄りがなくて、近所の十七、八歳の娘が一人、手伝いに来ていた。
 車は町中へ入って海岸通りへ出た。
「この道を左へ行けばいいのね」
 奈津子は言った。
 家並みが続く町中を過ぎると、また、田圃や畠の広がる景色が開けて来た。
 空の一層の明るさに海の近さが感じられた。
 海はまだ見えなかった。
「あら、あの川かしら ?」
 突然、奈津子が前方を見詰めたままで言った。
 斎木がその声につられて眼を上げと小さな川が見えた。
 だが、それは斎木の目差す川ではなかった。
「いや、あんな川じゃないよ。もっと大きな川だよ。なにしろ川口には漁船が繋がれていたんだから」
 眼の前に見えるのは雑草に覆われた小さな堤防の川だった。
「そう」
 奈津子はそう言ってから、
「それなら分かり易いわね」
 と言った。
 車はそれからまた、暫く走った。
 再び、小さな川が見えて来た。
 今度は奈津子も何も言わなかった。
 周囲には相変わらず田圃や畑の広がる田園風景だけがあった。
 そんな景色の中をしばらく走ると、やがて、あちこちに点在する松林や、槇塀に囲まれた人家がポツリ、ポツリと見えるようになって来た。海辺の土地らしく、庭先に網などの漁具の干してある家々もあった。
「あれっ、あれじゃないかしら、ほら !」
 奈津子が突然、力を込めた声で言った。
 周囲を走り去る景色に気を奪われていた斎木はその声で、我に返ったように前方に眼を向けた。
 奈津子が見付けたのは、人家の間から途切れ途切れに見えて来る、曲がりくねった大きな堤防だった。
「ああ、そうだな。あれだな、きっと」
 斎木も声を弾ませて言った。
 しかし、堤防は斎木が想像していたよりは思いの外、小さく見えた。
 奈津子は車の速度をゆるめると、まるで慎重を期すかのようにゆっくりとその堤防に近付いて行った。
 眼の前に木製の古びた橋が見えて来た。斎木は橋の名前を確認しようと思って車窓のガラスを開き、首を出して見たが、欄干には名前など記されてはいなかった。
 奈津子がゆっくりと運転する車は橋の上にかかった。
 橋の上から見る川面は流れを感じさせない静けさで薄茶色に澱んでいた。川幅の半分ほどを覆って両岸に、葦の繁みが丈高く繁茂していた。
 斎木は自分が想像していた記憶の中の川とは余りに異なる川の姿に愕然とする思いだった。
「この川 ?」
 奈津子が意外感を滲ませた声で聞いた。
「うん、この川だと思うが」
 斎木はなぜか、現実を受け容れかねない思いで憮然として言った。
「車を停めて、降りてみる ?」
 奈津子が言った。
「うん、そうだな」
 奈津子は小さな橋を渡り切ると松林のそばで車を停めた。
 斎木は一足先に車を降りて橋の方へ戻って行った。
 辺りには旅館らしいものは何も見えなかった。
 道路を挟んで海側には松林が続いていた。
 反対側には、何かの作物の収穫を済ませた畑がくろぐろとした土の色を見せて、見渡す限りに開けていた。所々に点在して、人家や松林が見えていた。
 川口は松林に遮られて見えなかった。
 両岸に葦が繁茂する川には、かつて漁船が繋がれていた面影は見られなかった。
 奈津子も車を降りて来た。
「この川に間違いない ?」
 斎木の何処となく納得しかねる様子に気付いたように奈津子は言った。
「そうだと思うけど、俺が覚えている川の様子とはまったく違う」
 斎木は言った。
「旅館もないみたいね」
 奈津子は周囲を見廻して言った。
「うん」
「あそこにあるのは何かしら ?」
 車の置かれた前方に見える樹木の繁みを差して奈津子は言った。
「あれはただの藪だよ」
 斎木は言った。
「じゃあ、ここではないんじゃない ?」
 奈津子は言った。
「そうかも知れないな」
 斎木も自信を失くしていた。
 橋の上から車の置いてある松林の方へ戻って行った。
 斎木はふと、眼を凝らして立ち止まった。
 芒や萱の繁茂している仄暗い松林の中に、無造作に放り出されてある、木片が眼に入って来た。





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           桂蓮様

           御励まし 有難う御座います
           日本は猛暑 そちらは寒い日もあるとの事
           世界はいろいろ多様ですね
            でも 日本でもこの二 三日 天候が悪くて
           薄ら寒い日が続いています
            わたくしは横文字にはまったく疎い人間ですので
           英文辞書の定義などという難しい事は分かりませんが
           英文と日本文を 比較しながら 難しい単語を
           辞書で引いてみる ただ それだけで限りなく
           楽しい一時が過ごせるのです でも ここに取れる
           時間はそう長くありませんので ポツリ ポツリ と
           いった感じで楽しませて戴いております
            マップ この時代には今のようにカーナビなど
           という便利なものがなかった時代ですのでーー
            わたくしはどうしても古い時代に生きた人間ですの   
           で現代とは少しずれが生じてしまうようです
           ですが 人間の本質はそう変わるものではなく 
           その変わらない部分をわたくしが認識した人間観 
           世界観として表現して見ようと思っている次第です 
            体の中心点 気力のポイント
            気力を出せ 無理強い かえって悪い結果に繋がる
           大切な事はその人の気持ちを汲んであげる事 
           この一言ですね 自分だけが正しい そう思っている
           人間には この気持ちは分かりません 
            体にハマル バレーの練習も坐る事も一緒ですね
           体得する その時が本物 身に付いたものに
           なるのですね 概念 観念だけでは世の中 
           動いてはゆきません
            今回戴いたコメント とても楽しく拝見させて
           戴きました ブログには見られない生の桂蓮様の
           お姿が垣間見え 人間としての生の感覚が
           伝わって来ます ブログでもこんな気軽なお姿を
           是非 綴って下さい 
            何時も 応援 有難う御座います



           takeziisan様

           何時も お眼をお通し戴き
           有難う御座います
            今回も様々なブログ 楽しませて戴きました
           海の日 山の日 休日ばかりが多く お言葉通り
           混乱した一人です
            唐松岳写真 迫力満点 良い写真ですね
           ライチョウ 実際にご覧になったのでしょうか
           キチョウです
            紫御殿 他 珍しい花々に驚いています
           それにしても花が豊富です 羨ましい限りです
            元の木阿弥 思わず笑いました 雑草の
           なんという逞しさ 実際 プランター栽培でも
           驚くばかりです
            サクラランにも舞台序列があるんですかね
            ハワイアン 以前にも書いたと思いますが
           懐かしさ一杯です 今 改めて聞いても
           いいものはいいですね 
            夏の思い出  ラジオ歌謡が思い出されます
           朝と夕方 2回の放送があり 夏の朝 庭でこの
           歌を聴いた思い出が改めて甦ります
           素直にその世界へ溶け込んでゆけた
           あの頃が懐かしいですね
            三平峠写真 いいですねえ ほのぼのとして 
           懐かしいのではないですか それにしても
           よく山をお歩きでした 想い出も一杯なのでは
           ないでしょうか
            川柳 皆さん上手いです 笑えるところがいい
            何時も 有難う御座います