選良としての国会議員(2021.10.7日作)
国会議員は
選良 エリート で なければ
ならない しかし 国会議員は
国民 市民 の 下僕 その立場を
忘れては ならない
国民 市民の下僕
その意識の上に立ち 国民 市民の
最善 を 考え 行動する
真のエリート 選良は それの 出来る人
国会議員・・・ 国民 市民より
高い地位 位置に居る そんな 人間 存在
では ない あくまでも 国民 市民に 選ばれた
国民 市民の為に働く 下僕
国民 市民の支持なくして その存在は
あり得ない
幸せの 香り運んで 金木犀
わが思い 届けて香れ 金木犀
金木犀が匂って来ました
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荒れた海辺(6)
墓地は松林を背にして、海を見下ろす小高い丘の上にあった。
古びた卒塔婆や墓石が並び、夏の強い陽射しの中でひっそりとした佇まいを見せていた。
斎木は再び足を運ぶと、その墓地に向かって歩いて行った。
歩き始めて間もなかった。斎木はまた、思わず立ち止まっていた。墓地の中程にある墓石を前にしてうずくまる人の姿を見たのだった。
その場所と斎木との間にはまだ、かなりの距離があった。それでも斎木にはすぐにそれが、宿の女将だと分かった。
女将は手を合わせる事もなく、ただ、何かをじっと見ていた。
しばらくしてから女将は立ち上がった。
斎木は女将が自分の方へ来るのかと思い、一瞬、狼狽し、慌てて芒の繁みの中に身を隠した。
女将はだが、斎木に背中を見せると別の道を辿って、やがて松林の中へ消えていった。
斎木は女将が再び戻って来ない事を確認すると、墓地へ向かって歩いて行った。
墓地では海辺に特有の雑草が砂地を覆っていた。
女将がうずくまっていた場所に辿り着くと、まだ新しい墓石の前には花が活けられてあった。線香の炊かれた跡も新しかった。
斎木は墓石の上に女性のものと思われる名前を確認した。裏側に廻ってみると、そこには幾つもの名前が刻まれていた。
昭和二十年三月十日没
田村有三 享年五十六歳
加代 享年五十歳
春子 享年二十一歳
そして一人だけ
昭和三十一年八月二十一日没
由紀子 享年二十六歳
と、記されてあった。
斎木には多分それが、女将の肉親に違いないだろう事はすぐに察しがついた。そして、昭和二十年三月十日というのは、あの、太平洋戦争の時の東京大空襲、その時、亡くなったという事なのだろうか、と、思いを馳せた。
ただ一人、昭和三十一年に亡くなった人の存在が斎木には理解出来なかったが、女将はこの人の供養の為にここに来ていたのに違いないとは推測出来た。
斎木はしばらく、墓地の中を歩いて墓石に刻まれた名前をあれこれ読んでいたが、それにも飽きると墓地を出て、再び、砂浜の方へ戻った。
松林を抜けると海は相変わらず、激しく砕ける波のしぶきを見せて遠く水平線の彼方にまで、遮るものの何一つ無い青の広がりを見せ、続いていた。砂浜にも人の影一つなかった。その人影のない砂浜は昨日と同じ様に波の寄せる渚の黒と水には濡れない白い砂の対比とを見せてやがて、陽炎の中に溶け込んで見えなくなっていた。ただ、斎木がふと、右側に視線を向けた時、その陽炎の中に影のように揺れて黒く見えるものがあった。斎木は、おやっ、と思った。
黒く揺れ動くものの影は海の中にまで延びているように見えた。
斎木は興味をひかれるままに、宿の下駄を履いた足が砂の中にめり込むのも厭わずに墓地を形作る砂の斜面を駆け下りると、渚の方へ歩いてゆき、目指す方へ向かって歩いて行った。
四
陽炎の中に黒く揺れていた影は、川口に沿って木組みを連ねた護岸だった。
それが海の中にまで延びていた。
激しく砕ける波がその木組みに当っては、あちこちに幾つもの小さな渦巻きを作っていた。そこだけが一際、荒々しく見えた。
斎木が足を止めたその場所は、護岸の際とは違って浅瀬になっていた。透明な水が下の砂地を透かして見せていた。小魚の群れが幾つも、その透明な水の中を泳ぎ廻っていた。
何艘もの小型の漁船が川口から少し上がった松林の下の岸辺に繋がれていた。
時刻は午後二時を過ぎていた。
斎木は砂浜から川岸へ出るとそこを辿って宿へ戻った。
自分の部屋に落ち着くと途端に、昼食抜きの空腹を覚えてすぐに食堂へ降りて行った。
食堂では、調理人の老人が一人、テーブルの一つに向かい、椅子に掛けて頭を垂れ、居眠りをしていた。斎木の珠すだれを掻き分ける音に気付いて老人は素早く、眼を覚ました。
「ああ、いらっしゃい」
居眠りをしていた事を取り繕うかのように老人は、曖昧な笑顔を見せて言った。
斎木は何か食べられますかと聞いてから、メニューの中からそうめんと西瓜をを頼んだ。
「海へでも行ったんですか ?」
斎木の陽焼けした顔を見て老人は言った。
「はい」
斎木は素直な気持ちになっていた。
「水が冷たかったでしょう」
老人は笑顔で言った。
「いえ、泳がなかったんです」
「そうですか」
老人は満足気に言ってから、
「八月も半ば過ぎになると、クラゲが出て波も高くなるし、泳ぐのにはあんまり良くないんですよ」
と言った。
斎木は黙って頷く事で老人の言葉に答えた。
「もう、海辺には人もいなかったでしょう」
老人は言った。
「墓地があったので、見て来ました」
斎木は言った。
「ああ、あの墓地ね」
老人は心得顔で言った。
「小高い丘の上に海を見下ろすようにして、墓石や卒塔婆が建っていたでしょう」
「はい」
と、斎木は言ったが、女将を見掛けた事を言おうかどうか、迷った。すると老人が、
「女将さんの姿を見ませんでしたか」
と聞いて来た。
「はい、見ました。花と線香を上げていました」
今度は素直に言えた。
「そうですか」
老人は言ってから、
「今日は、妹さんの三回忌なんですよ。それで女将さんは今、お寺へ行ってるんですがね、妹さんのお墓へは毎朝、ああしてお参りをしているんですよ」
斎木はようやく納得出来た思いで頷いた。
老人は言葉を続けた。
「あのお墓にはわたしの女房も眠っていて、わたしも間もなく行くところなんですがね」
と言って、楽しそうに笑った。
斎木は老人の言葉になんと答えたらいいのか分からなくて黙っていた。
老人は斎木が黙っている事も気に掛けずに、何故か満足げな表情で茹で上がったそうめんを水に晒し、ザルに載せて水を切ると、薬味のネギを刻み始めた。
間もなく、老人は四角い黒塗りのお盆に一切れの西瓜とそうめんを載せて運んで来た。相変わらずゆっくりとした動作だった。
老人は調理場の中へ戻ると、水音を響かせながら洗い物を始めた。
老人は話し好きらしかった。それとも、この人気の乏しい田舎の宿にいて、話し相手が欲しかったのか ? 自分から言葉を続けた。
「わたしもこの宿へ来てから長いんですがね、歳も八十に近くなるし、今では一日も早く、女房の傍へ行く事を楽しみにしてるんですよ」
と、半分冗談のように言って笑った。
「子供さんはいないんですか 」
「子供さんはいないんですか 」
斎木は思わず聞いていた。
斎木が自ら進んで人に問い掛ける事など、これまでにない事だった。自分でも驚いた。
「いえ、いますよ。三人いるんですよ。それぞれ東京でなんとかやっていて、年寄りを一人にしておくのは心配だから来るようにって、言ってくれてるんですがね、でも、わたしは、女房の墓を守ってここに居たいと思ってるんです。それで、女将さんにも頼んであるんですがね。わたしが死んだら、女房と一緒の墓に埋めてくれってね」
老人は静かに言った。言葉に揺らぎはなかった。
斎木はそうめんを口に運ぶ箸を動かしながら、その話しを聞いていた。
老人は洗い物を済ませるとカウンターの中の椅子に腰を降ろして、白い半そでシャッの胸ポケットから煙草を取り出し、一本を抜き取ると口にくわえて火を付けた。襟元には赤い蝶ネクタイがあった。
「お兄さんは煙草は ?」
その時には斎木も食事を済ませていた。
「いえ、吸いません」
斎木は言った。
「そうですか。煙草など、やらない方がいい」
老人はそう言ってから、いかにも旨そうに煙りを吐き出した。それからまた、自ら進んで言葉を続けた。
「ここは、わたしの女房の生まれ故郷なんですよ。女房は自分の命がもう長くはないと知った時、この、生まれた村へ帰りたいって言ったんです。それでわたしも、勤めていた東京のホテルの仕事を辞めてここへ来たんですが、女房はここへ来ると満足したのか、程なくして死んでしまいました」
亡くなった人へ思いを馳せるのか、老人の眼には涙が浮かんでいた。
斎木はそんな老人の話しを聞きながら、それが少しも苦にならなかった。むしろ、心の柔らかくほどけてゆくような心地よさを覚えていた。
その心地よさに誘われて斎木は自分からも老人に話し掛けていた。
「さっき、お墓を見た時、その石に亡くなった人の名前が書かれていて、昭和二十年三月十日って書いてあったんですけど、あれは東京大空襲で亡くなった人なんですか ?」
老人は「そうです」と言った。
「女将さんのお父さんと、お母さん、それに五歳違いの妹さんだって言う事です。あと一人、別の日付で名前が書かれていたでしょう。その人が今日、三回忌をしている妹さんなんです」
と、老人は言った。それから一息入れるように間を置いて、
「女将さんも終戦直後は大分、苦労したようです。一番下の妹さんが脊髄カリエスになって、その病院代を払うのにどんな仕事でもした、って言ってましたから。でも、ここへ来てからの女将さんは、たとえ、病気の妹さんを抱えていても、幸せだったのでは、と思いますよ。金銭的に苦労する事もないし」
と言って、静かに煙草の煙りを吐き出した。それからまた、何かを考えるかのように一呼吸置いてから、
「妹さんは亡くなる直前に、それまで閉じていた眼を開いて、お姉さん、長い間、有難う、と静かに言って微笑みを見せると、また眼を閉じて、そのまま、眠るように亡くなってゆきました。妹さんは床に就き切りだったんですが、仲の良い姉妹だったんですよ」
老人は女将姉妹に思いを馳せるように静かな口調で言った。
老人と斎木の二人だけの食堂には、開け放された窓々から吹き込む心地よい海からの風があった。波の音が聞こえていた。その波の音に溶け込むように、喧しく鳴き立てていたセミの声が一瞬、突然に途切れた。
「ああ、女将さん達が帰って来たようだ」
と、老人は何かの気配を察したかのように言った。
間もなくして、再び騒がしくセミたちの鳴き立てる声が起こった。
その時、珠スダレを別けて覗く女将の顔が見えた。
「只今。いま帰りました」
と、老人に言ってから、斎木の姿を認めて、
「いらっしゃいませ」
と、柔らかい笑顔で言った。
斎木は黙って頭を下げた。
その時、女将さん、と呼ぶ若い女の声がした。昨日、最初に姿を見せた女性に違いなかった。
「あの若い女の人は ?」
斎木はなんとなく聞いていた。
「ああ、あれは近所の娘(こ)でね。手伝いとして働いて貰ってるんですよ。あの娘は昨日、玄関先にあなたを迎えた時、あなたが余り疲れたような顔をしていたもので、自殺するんじゃないかって、びっくりして、女将の所に駆け込んだんですよ」
と言って、笑った。
斎木も思わず顔を崩したが、昨日の自分の姿では、そう見えても不思議はないと思った。
「さきちゃん !」
何処かで誰かを呼ぶ女将の声がした。
斎木はそれを潮に席を立った。
「じゃあ、僕はこれで」
斎木は老人に頭を下げて言った。
「そうですか。いろいろ、詰まらない話しをしてしまって退屈だったでしょう」
老人はそう言ってから、
「明日、帰るんですか」
と聞いた。
「はい」
「そうですか。来年でもまた、気が向いたら来て下さい。こんな、何も無い所ですが釣りぐらいは出来るので」
老人は言った。
「はい」
斎木は答えた。
「最も、来年まで、わたし自身が生きているかどうかは分かりませんがね」
老人は楽しそうに言って笑った。
その夜、老人が帰ったのは午後十一時過ぎだった。斎木が眠れないままに布団に横になっていると、玄関のガラス戸の開く音がした。気になってカーテンの透き間から覗いてみると、庭の踏み石伝いに門の方へ歩いて行く老人の姿が見えた。
老人は門の傍で立ち止まると何かを探って、門燈を消した。
老人の姿はそのまま、夜の闇の中に消えていった。
この宿から三百メートル程離れた所ろに家があると老人は言っていた。
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桂蓮様
有難う御座います
新作 拝見しました
自信過剰 自信不足 どちらも困ったものです
でも 自信過剰 これは不足より 困った状態
なのではないでしょうか 不足は何かを
やり損なう 機会を逃す そういう場合が多く
たとえ機会を逃しても自分に与えるダメージは
小さくて済みますが 過剰がもたらす失敗は
痛手がより大きくなるのではないでしょか
今はどちらの状態でもない 中立 これは
良い事なのではないですか その時 その時で
判断する 自信 過剰でもなく 不足でもない
冷静な判断が出来ます 桂蓮様が行う坐禅 結局
その坐禅も 何事にも捉われない自分を造る そこに
あるのだと思います 自身お歳の事を述べていますが
結局 年齢と共の人間としての成長がそこに 見られる
そういう事ではないかと思います 中立 何事も
決めて掛からない これは良い事ではないかと思います
いつも 何事も深く考察する 桂蓮様の
習性のようすですね でも 是非 禅の無の心 これも
大事にして下さい
雑談 楽しいですね 桂蓮様の素顔が垣間見えて
ふふんと笑ってしまいます 人間 あれも失敗
これも失敗 それでいいのではないでしょうか
完璧な人間なんて何処にも居ません どうぞまた
楽しい雑談 気が向いたらお書き下さい
有難う御座います
takeziisan様
有難う御座います
今回も楽しませて戴きました
松虫草の花咲く 喝采
花に寄せる思い よく伝わって来ます
お見事
川柳 入選作より ゆるやか ゆるーい 他
はるかに楽しめます 思わず笑っています
入選作なんてなんでしょうね
彼岸花 わたくしの好きな花の一つです
自然の無い街中に暮らしていますとーもっとも
わたくしはコロナに係わらず 余り外へ出ませんがー
彼岸花など滅多に眼にする機会はなく 幼い頃 日常 眼
にしていた田圃などの畦道に咲く彼岸花の
あの美しい光景が懐かしく思い出されます
今ではそれも夢の中の光景のように
遠いものになってしまいました
今回も美しい花の数々 蝶の姿 楽しませて戴きました
有難う御座いました