神 及び バチカン(2021.9.10日作)
宗教 神 主義 等の名の下
人間の可能性を奪い 拘束する
愚かな事だ 人間は 人間が生きる
基本条件の下 総ての面に於いて
自由 平等でなければならない
宗教 神 主義主張 イデオロギーより
人の命 人の生きる権利の保持が大切 第一
神はいったい 人間に対して
何をしてくれた ?
神を信じよ そう 言うなら 神はなぜ
この世の中で飢えに苦しみ
明日の生活もままならない人々を
放置 見捨てて置くのだ この世に
神など存在しない 人を救えるのは 人
人という存在 人以外 ない
空虚な概念 神などという存在に 囚われ
踊らされるな 惑わされるな
バチカン 何をしている ?
ただ 祈るだけ 祈る事しか出来ない
それなら要らない 人は 行動すべし
貧しき人を救う 人としての評価を決定付けるのは
その行動力 実行力 神 宗教の総本山 自負するなら
バチカンに住する人々よ せめて
貧しい人々への贈り物 救済用として 財宝に囲まれ 造られた
金ピカ装飾品の一部でも 飢える人 貧しき人々への
贈り物 救済費用として使い 施す事は出来ないのか ?
ただ 祈るだけ 空虚な権力 空虚な威厳など
必要ない
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荒れた海辺(完)
翌日、斎木は午前十時に宿を出た。
女将達三人が門の外で見送ってくれた。
「その橋を渡って右へ折れる道路を少し行きますと、バスの停留所がありますから、そちらへ行った方が近道ですよ」
斎木が昨日、来た道を戻ろうとすると女将が、川に掛かった橋を指差して言った。
「でも、急ぎませんから、ゆっくり歩いて行きます」
斎木は言った。
「お若いから、少しぐらい歩いても大丈夫だ」
老人が笑顔で言った。
少し歩くとすぐに汗が滲んで来た。
八月下旬とはいえ、夏の太陽が照りつける砂利の敷かれただけの県道は白く乾いて埃っぽかった。
斎木はそれでも、歩いている事が少しも苦にならなかった。心の中では、何かがふくらんでいた。来る時とは違って、周囲の景色が生き生きと輝いて見えるのが不思議だった。生きている事が輝いて見える事は斎木に取っては初めての経験だった。人の心の優しさに触れた喜びが、斎木の心を昂揚させていた。
五
松林の中の、斎木が昔、辿った道はなくなっていた。
腰の辺りまでも覆いつくす芒や萱の群れが荒れ放題に繁茂していた。
松の木の幹は太く、枝は大きく伸びて鬱蒼とした暗さをつくっていた。
「この松林の向こうへ行くって言ったって、これじゃあ、どうやって行くのよ」
奈津子は困惑顔で言った。
「堤防へ出て、そっちの方から行ってみようか。昔は、道があったんだけどなあ」
斎木は言って、奈津子の先に立ち、橋のたもとの方へ戻った。
堤防へ出ると、左への道を辿った。
堤防には人が通る事もないのか、雑草が繁茂していた。
川の流れの半分を埋めて、両岸には葦が一面に生い茂っていた。かつては何艘もの小型漁船が碇泊していた面影は見る事も出来なかった。
ゆっくりと迂回した堤防を辿って行くと、松林の向こうに海と川口の一部が見えて来た。
更に歩いて行くと、川口が現れた。
川口には大きなコンクリートの防波堤が築かれていた。
テトラポットがその根元を埋め尽くして海に突き出ていた。
斎木が昔、足を踏み入れ、波が寄せて来る度に小さな魚影が群れを成して走り抜けた浅瀬は何処にもなかった。
辺りを圧倒する巨大なコンクリートの塊の防波堤だけが、整然とした姿で海に突き出ていて、打ち寄せる波を押しとどけめながら激しい飛沫を巻き上げていた。
斎木は防波堤の手前で堤防の斜面を下り降りると、松林の中へと入って行った。
「昔は、こんなコンクリートの防波堤なんかなくて、きれいな浅瀬が広がっていたんだけどなあ」
昔を惜しむように斎木は言った。
「だって、結婚する前の事でしょう。何年、昔になるの ?」
斎木の後に続いて歩いていた奈津子が言った。
「それはそうだけど、ずいぶん、変わっちゃったよ」
「変わらない方がおかしいわよ」
奈津子は言った。
松林を抜けると眼の前に雄大な海の景色が広がった。
斎木はだが、その海を前にして呆然と佇んでいた。
「どうしたの ?」
すぐに追い着いて来た奈津子が、斎木の浮かない様子の顔を見て言った。
「砂浜がこんなに狭くなっちゃってる」
斎木は言った。
「もっと、広かったの ?」
斎木と並んで立った奈津子は言った。
「そうだよ。こんなものじゃなかった」
斎木は呟くように言った。
心が解放されるように広々とした砂浜の景色は何処にもなかった。その侵食された砂浜の景色に斎木は、思わず息苦しさにも似た感覚を覚えていて、胸の塞がれるな思いがした。悪夢を見ているようだった。
「でも、昔、見た事だから、広かったように思えるんじゃない ? ほら、よくあるじゃない。子供の頃には随分、大きく感じられたものが、大人になってから見ると、こんなに小ちゃかったのかって」
「うん。でも、やっぱり、 こんなものじゃなかった」
斎木にはやはり、納得出来なかった。
二人の前には松林によって遮られた砂浜の砂が小高く盛り上がり、小さな砂丘をつくっていた。靴を履いた足ではその砂丘を下って行く事は出来なかった。
斎木は松林に沿って、砂地に生えた雑草を踏みしめながら、墓地のあった方角へ向かって歩き出した。
「こんな所へ連れて来られるんだもの、スラックスで来てよかったわ」
と、奈津子は服に絡まり付いて来る雑草を払い除けながら言った。
秋の気配が濃い砂浜にはやはり、人影はなかった。
「あれっ、何かしら ? 船じゃない ?」
奈津子が遠くの砂浜の中程を指差して言った。
斎木が奈津子の指差す方を見ると、外枠だけを残した漁船が半分、砂に埋もれるようにして、傾き、放置されていた。
「うん。漁船の壊れたのだ」
斎木は言った。
「随分、砂に埋もれてるわね」
奈津子は言った。
妙に淋しい光景だった。
「もっと歩くの」
奈津子が辟易したように言った。
「うん、墓地があるはずなんだが」
斎木は松林の中と前方に眼を凝らしながら言った。
海を見下ろすようにして小高い丘の上にあった墓地は何処にも見当たらなかった。
砂浜の至る所で吹き寄せられたゴミや、砂に埋もれかけたコーヒーなどの空き缶が眼に付いた。
海水浴シーズンの人出が連想された。
斎木には記憶に残る砂浜の美しさの失われた事を惜しむ気持ちだけが強かった。
周囲をトタンで囲った粗末な建物が眼に入って来た。
近付いてみると、錆びたトタンで覆われた建物の中には何もなかった。
周囲にはあちこち、掘り返された跡らしきものが残っていた。
「墓地なんか、ないじゃない」
それを見て奈津子が、改めて、疲れたように言った。
「そうだなあ、無くなってしまったのかなあ」
斎木は言った。
「でも、墓地が無くなるなんて、ないんじゃない ?」
「そうだよなあ」
と、斎木も言ったが、諦めの気持ちが強くなっていた。
斎木はようやく、引き返すつもりになって微かな疲労感と共に、遠い海の広がりに眼を向けた。
果てしなく続く海の広がりはそれでも昔のままだった。渚には相変わらず打ち寄せては引いてゆく波の繰り返しがあった。
斎木はふと、昔の自分を思い出して涙ぐんだ。
「もう、帰ろうか。余り遅くなってもいけないから」
斎木は言った。
「そうね」
奈津子も言った。
何故か狭苦しく思える砂浜と墓地を見つけ出す事の出来なかった失望感だけが斎木には深かった。
斎木が戻りかけたその時、
「あら、あれじゃない ?」
と、奈津子が斎木の背後で突然、弾んだ声で言った。
斎木がその声に振り返ると、奈津子は松林の中に見え隠れする墓石の数々とも見えるものの方を指差していた。
斎木には息を呑む思いがした。
「そうだ。あれだ」
斎木も思わず弾んだ声で言っていた。
二人は何時の間にかその場所を通り過ぎていた。
墓地は昔には想像も出来なかったような松の巨木に囲まれて、前方に迫り出している枝の陰になっていた。
「ほら、やっぱり、砂浜は狭くなっているんだよ。昔は、あの墓地と砂浜との距離はこんなものじゃなかったんだから」
斎木は改めて確信した。
二人は歩きづらい松林の中を通って、その場所に辿り着いた。
墓地には歩くのもままならない程に、墓石と卒塔婆が林立していた。その光景に斎木は圧倒された。
「髄分、墓石が増えちゃったなあ」
斎木は思わず言った。
「どれがそうなのか、分かる ?」
奈津子が言った。
「どうだろう。ちょっと、分からないかも知れないなあ」
斎木は言った。
「名前を見れば分かるんじゃない ?」
「名前ももう、忘れてしまったよ」
斎木は言ったが、ふと、東京大空襲の時に亡くなった三人の名前が書かれていた事を思い出した。確か、墓地の中程にあったはずだ。
斎木はその中程に向かって、一つ一つの名前を確認しながら歩いて行った。
新しく、はっきりと文字の読める墓石には、それらしい名前は見当たらなかった。今更ながらに斎木は、歳月の経過を思わずにはいられなかった。
それにしても、今、現在、あの場所に宿がない、という事は、女将も既に、亡くなっているという事ではないのか、と思いながら斎木は、改めて注意を凝らして探してみた。
やはり、見当たらなかった。
女将がもし、亡くなっているとすれば、当然、あの老人も亡くなっているのでは、と斎木は思った。老人は、奥さんと一緒の墓に埋めてくれと、女将さんに頼んであるんですよ、と言っていたがーー。
斎木は老人の言葉を思い出しながら、その墓地に付いても思いを巡らした。
だが、名前も場所も知る事のなかった老人の墓地など、なお更に分かるものではなかった。ただ、時間だけが過ぎていた。
「どうしても、その墓地を探さなければいけないの ?」
奈津子が言った。
「いや、そんな事はない」
斎木は言った。
「じゃあ、もう、そろそろ、行きましょうか。余り遅くなっても困るから」
「そうだな」
斎木は言った。不満はなかった。
あるいは、土地の人に聞けば分かるかもしれないが、と斎木は思ったが、そこまでする気にはならなかった。
過ぎて逝く歳月の中で、失われたものが返る訳ではない。
斎木はただ、心に焼き付いている人達の優しさに満ちた思い出だけを、これからも大切にして生きてゆきたい、と思った。
あの時斎木は、東京へ帰ってから自分でも驚く程の心の変化をみせていた。
あの、海辺の宿で触れた人達の心の優しさが無意識のうちに、斎木の心の凍り付いた凍えを溶かしていた。工場内でもそれまでほとんど無口で、誰とも話す事のなかった自分が、何時の間にか積極的に先輩工員達に話し掛けるようになっていた。自ら進んで仕事も手伝うようにもなっていて、もともと真面目だっただけに、その仕事ぶりが誰からも好意を持って受け入れられた。今では斎木は二十三人の工員達を統括する工場長の地位に就いていた。
「ほら、ここに道があるわよ」
奈津子がほとんど消えかけたような小さな道を、大きな木々の間に見つけて言った。場所から見て、かつて女将が歩いて行った道に違いなかった。
斎木はその道を確認すると奈津子の後に従って、車の置いてある、今ではすっかり舗装のされている県道へ向かって歩いて行った。
完
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桂蓮様
有難う御座います
旧作 縁の原点とめぐり逢い
それらの縁は一体全体何によってうごかされて
いるのだろうか
縁とは不思議なものですね 良い縁 悪い縁
この縁の不思議さ 理解出来ません それで人間は
神を創ったのではないでしょうか すべては
神の思し召し 神を持ち出さなければ この世は
理解出来ないような不思議な事ばかり 悪知恵の
働く者たちはそれを利用して 神の名の下 自分達の
利益を図る 人を支配しようとする 眼には見えない
縁 この恐さ
私の肉体の使用期限の切れるところか
縁からの解放 それまでは逃げたくても逃げられない
縁の虜 奴隷 それが人間なんですかね
もたもた そろりそろりの合わせ読み
楽しませて戴きました
今回 偶然にも神に付いて投稿しました
これも何か不思議な縁ですかね
人が気にならなくなる
私にも脳があるかー
いいですねえ 笑えますねえ その自然体
人は自然のままが一番美しく見えます
つくったものは何処か不自然 必ず ボロが出ます
悟りを持った人達は自分をつくったりなどしません
いつもお眼をお通し戴き お忙しい中コメントまで―
有難う御座います
takeziisan様
有難う御座います
二つの詩 読ませて戴きました
文才が無いなどと御謙遜ですが
御立派なものです 是非これからも
埋もれているものを掲載して下さいませ
勿体ないです
小野 山中 古川 笹原 懐かしい名前ですね
金メダルを取り あるいは優勝するなど その度に
自分の事のように誇らしく思ったものでした
トンボ捕り 夏の夕暮れ 田圃の上一面を覆いつくす
本やんまの群れを思い出します
ヤンマ ヤンマかえれ 鬼ヤンマかえれ と言いながら
竹ざおの先に繋いだ囮のヤンマを振り廻していたあの頃が
甦ります
アームストロング ダニー ケイ 芸達者が揃って
いました わが青春と共に良き時代でした
様々な写真 川柳 今回も楽しませて戴きました
何時も愚にも付かない文章にお眼をお通し下さる事に
感謝いたします 有難う御座います