英国女王の美しさ(2022.6.3日作)
女王就任七十周年祝賀行事
テレビ放送を観て
人間 人には それぞれ
その時 その年代に合った 美しさ がある
幼い時には 幼いなりに
少年 青年期には 少年 青年期の
年老いれば 年老いたで
その時 その年代が持つ
美しさが ある
その美しさを忘れ 背伸びをしたり
幼さ 若さを敢えて強調したり
刻み込まれた年代 その年代を隠し 不自然な
施術をしたり 自然を忘れた行為は
愚かで 無駄な行為 虚しい行為
醜く 滑稽になるだけだ
人が持つ美しさ 真の美しさは その人が持つ
その人独自の美しさ それが
存分 充分に発揮され得た時にのみ 輝く
英国 エリザベス女王 九十六歳 年老いてなお
輝き 美しさを 失わない 繕った美しさ 偽善の美 の 皆無
真実の美しさ ただ その一点にのみ集約される
繕った美しさ 偽善の美しさ 欠らもない
繕った美しさ 偽善の美しさ そこには
人 人間が持つ 真の美が醸し出す 輝きの色はない
死んだ美しさ 心のない美しさ 虚しい美しさ
人の心の底から湧き上がる
その人独自が持つ 美 その輝きがない
人の心の底から湧き上がる美しさ
ただ それのみが 人の心を捉え 魅了する
唯一 絶対 独自の宝
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引き金(8)
三杉は何度も眼を瞬(しばた)きながら闇の中を見つめたが、その闇に浮かんだ明かりは揺れる気配もなかった。不審を抱いたまま三杉はゆっくりと近付いて行った。
それが家屋から漏れる灯りだと分かるまでには暫くの時間を要した。そして、そう判断出来た時には、おぼろげながらにも漆黒の闇に浮かび上がる家屋全体の様子も見えて来た。
三杉は傷付いた腕の絶え間なく襲って来る痛みを堪えながら、その家の中に人の存在を思って、なんとはない安堵感に捉われていた。
三杉が入口の戸を叩いた粗末な造りの小屋には、年若い女性が一人で住んでいた。
夢の中では認識していなかったが、その夢から目覚めた今、思い返してみると、女性はなんとはなく光枝に似た面立ちをしていたように思われた。光枝そのものではなかったが、年頃も光枝と同じぐらいに思われた。
女は膝下辺りまでしか丈のない絣の古びた着物を着ていた。
背中で一つに束ねた髪が肩の下まで垂れていた。透き通るように白い肌をしていて、その肌の白さと髪の黒さが鮮やかな対比を見せて三杉の眼に染みた。
三杉はその女に導かれるままに、家の中に入り、それが小さな小屋の中では唯一の明かりとなっている、木の切り株の燃える囲炉裏に向かって座を占めた。
女は猟銃を持った三杉を怖れる気配も見せなかった。のみならず、目敏く三杉が負った腕の傷を見付けると、
「どうなさったのですか、血が・・・」
と言って、驚きの表情で三杉を見つめた。
三杉は女のその言葉で改めて傷口に視線を移してみると、革製のジャンパーの腕が無残にも引き裂かれ、血まみれになった腕の肉が大きく抉られている様子が眼に映った。三杉は自身、顔をしかめながら、
「向こうの芒の原で雉を撃って、その雉を追っているうちに、この林の中に紛れ込んでしまっていたんです。その間にいつのまにか夜になっていて、一寸先も見えない闇の中をさ迷っているうちに、何かの蔓に足を取られたと思った時にはもう体が投げ出されていて、その時に、木の枝か何かで突き刺してしまったらしいんです」
と事情を説明した。
「そんなに血が・・・」
と、女は改めて驚いたように言って、
「すぐに傷口を洗って、薬を付けた方がいいですよ。ちょうど、傷に良い薬がありますから、それを塗った方がいいですよ」
と言って、六畳程の部屋の隅へゆき、何かの包みを木箱の中から取り出し、手にして来るとそのまま土間へ降り、反対側の隅へ行って小さな手桶に水を汲んで来た。
女はすぐに三杉の傍に膝を折ると、白い布を水に浸し、その濡れた布で大きく破れた革ジャンパーの下から露出している腕の傷口を洗い始めた。
総ての行動が淀みのない、慣れた仕草の行動だった。
幸い、傷口の血は止まっていた。白い皮下脂肪が血を拭き取った後に、なお、僅かずつながらにも血を滲ませているのが見て取れた。
女は拭き取った血に汚れた布を水の中に浸すと今度は、小さな土器に、先程、手にして来た袋の中に入っていた粉末を入れて水で捏ね始めた。更にそれを囲炉裏の火で温め、湯気が立ち始めると三杉の方に向き直って、
「この薬を塗って置きましょう。そうすれば、明日の朝までには、傷口も乾いていると思いますから」
と言った。
「御迷惑をお掛けして申し訳御座いません」
三杉は素直に詫びた。
「いいえ、こんな林の中ですので、わたしなどもしょっちゅう怪我をしていますので」
と、事も無げに女は言った。
女は暗い囲炉裏の火の明かりの下で、三杉の腕に顔を寄せるようにして小さな土器の中の薬を、添えられていた木の箆のようなもので傷口に塗り始めた。
「沁みますか ?」
と聞いた。
「いえ、薬が温かくて気持ちがいいです」
三杉は言った。
「この薬を塗って、あとは包帯をして置けば、明日の朝には傷口も乾いていると思います」
女は言った。
傷口への薬の塗付が終わったあと、その上に白い布を当て、包帯をした。
手当てが済むと女は血に汚れた布の入った手桶を手にして土間へ降りた。
土間には小さな竃がった。
上には大きな鍋が掛かっていた。
火は消えていた。
女は手桶を土間の隅に置いてから、鍋の蓋を取って中を見た。
鍋からは白い湯気が立った。
「夕飯は済みましたか ?」
女は鍋の中を覗き込んだままで三杉に聞いた。
「いえ、何しろ、夕方までには宿へ帰る心算でいたものですから、何も持って来なくて」
三杉は事情を説明した。
「宜しかったら、粗末なもので何もありませんが、お食べになりますか 。わたしもちょうど、食べようと思っていたところですので」
三杉を見返って女は言った。
" 静かな時間だった "
ベッドに横たわったまま三杉は、夢の中の静寂を思い出しながら呟いた。
そしてまた、奇妙に懐かしい世界でもあった。
その懐かしさが何処から来るのか、三杉には分からなかった。
慌ただしさも喧騒もない世界だった。そして、三杉自身、今、ベッドに一人、横たわっている。ーーあの夢の中に似た時間が三杉を包んでいた。
東京近郊とはいえ、古くからの住宅街の夜は静かだった。車の通る音も聞こえない。その静寂を意識すると三杉はふと、現実に引き戻された。
多美代はもう、帰ったのだろうか ? と思った。そう思うとたちまち、多美代への鬱屈した思いが沸き起こって来て、三杉の心を苦しめた。
三杉はその苦しみから逃れるように、再び眼を閉じて夢の中の世界に思いを馳せた。夜明けと共に訪れる現実の世界の朝を思うと嫌悪感だけが体の中を走り抜けた。
夢の中で見た女は、近くにある湖で漁をして暮らしている、と言った。
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桂連様
コメント 有難う御座います
良いコメントでした 本番を前に ワクワク ソワソワ
充実した日常の感覚が御文章を通してこちらにも明確に伝わって来ます
読んでいる方もなんとなく浮き立つような気分を覚えます
それにしても何時もの事ですが 御主人様をけなし過ぎですよ
それだけ 仲睦まじいお二人の姿が浮び上がって来るのですが
良い御主人に巡り合えてお幸せです
旧作 加齢に伴う病 醜さ
偶然 今回 年齢相応 美しさを文章にしました
旧作が眼に入りましたので 読ませて戴きました
以前にも読んだ記憶があります
年齢と共に衰える 仕方のない事ですが その時 その時 出来得る限りの事を
精一杯に生きる
それで良いのではないでしょうか
真摯に精一杯生きている人はそれだけで美しいものです
人間見かけだけが美しくてもそれは死んだ美です
心の美こそが人に取っては最も美しいものではないのでしょうか
身体 肉体の衰えは生物である以上 避ける事の出来ないものですが
その時々を美しく生きる この事は自身の心がけ次第で幾つになっても出来ると思います
バレー本番の御様子 ブログ上にお載せ頂けたらと思います
なんだかこちらも浮き立つ気分で 御感想をお聞きするのが心待ちに思われます
御成功をお祈りいたしております
併せて御主人様のビデオの御成功もお祈りします
桂連様をギャフンと言わせるように
takeziisan様
5月29日 11周記念日
塵も積もれば山となる
変わらない事が貴重ではないでしょうか
あっちへ行ったり こっちへ行ったり
ちょろちょろ変わる人間は信用出来ません
こいつは一体 何を考えてるんだ
自分が見えていないというより他 ありません
川柳 頑張れ 頑張らなければ
そんな思いです
エリザベス女王は七十周年ーー
それにしても こうして簡単に文章を書き込める
という事は有難い事です ここを運営する皆様に
改めてお礼を言いたいです
ただ 唯一の不安が 何かの間違いで瞬時に 総てが消えてしまう という
この事です ですから 将来的には これ等の文章も
紙の上に移して置く事が出来ればとも考えています
それにはまた 手間 暇がかかりますが 生きる事の
張り合いになるかも知れません
「遺す言葉」も自分が生きた証としての言葉を書いて置きたいという事から付けました
茱萸 野菜の話し 支柱のたつあの風景
わたくしの田舎の風景とそっくりです 垣根の上からのぞく家の屋根
懐かしい風景です
茱萸は友達と大きな木に登って手当たり次第取っては
頬張っていた記憶が蘇ります
タマネギは高い ! 安いものとばかり思っていましたから
一層 高値を実感します
夕日に赤い帆 懐かしいですね
わたくしはビリー ヴオーンが好きです
いのしし被害 以前に書きました
「晴れときどきファーム」でもサルか何かの被害に合ったと言っていました
自然の中に生きる事のこれが現実 悔しくもまた
興味深く 面白い事です
樹木の剪定 年々 億劫に 気が重くなって来ます
様々な美しい花 初めて知るものも何点かありました
何時も有難う御座います