遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(456) 小説 いつか来た道 また行く道(16) 他 ゆうべ(昨夜)みた夢

2023-07-16 11:46:05 | つぶやき
            ゆうべみた夢(2023.4.5日作)



 わたしは泣いていた
 わたしの前には ひどく
 寂しい景色があった 
 広い海原 砂浜には 
 誰もいなかった
 わたしは一人 堅い砂の渚を歩いて行った
 帆柱を林立させて 無数の漁船が
 停泊して 漁港があった
 人の姿は見えなかった
 コンクリートが剝き出しの
 四角く太い柱が何本も建ち並ぶ
 市場があった 数々の
 荷受けカゴが空のまま
 幾つも幾つも 積み重ねられてあった
 人は誰もいなかった
 静まり返った暗い影が
 市場を満たしていた
 孤独の影
 わたしは歩いて行った
 いったいわたしは 何処へ行くのだろう
 わたしは影だけの存在になっていた
 わたしの肉体は消えていた
 影のわたしは泣いていた
 泣きながらわたしは歩いていた
 遠く彼方へ
 いったい わたしは何処へ行くのだろう
 わたしは わたしの影が見えなくなるまで
 歩いて行った
 わたしはいったい 何処へ行くのだろう




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            いつか来た道 また行く道(16)




 中沢の来る気配はまだなかった。
 わたしはこの時、また新たな懸念に捉われた。
 闇の中をわたしの別荘目差して登って来る中沢の車の明かりが、部落の人達の眼に触れる事に気付いたのだった。
 夜の闇を切り裂く車の明かりは下の部落からでも、はっきりと見えるのではないか ?
 この静かな場所では、夜遅く来るように言った事がかえって、裏目に出るのでは・・・・。
 わたしは、ほぞを嚙む思いだった。
 でも、もうどうする事も出来ない。
 その明かりが必ず人目に付くとは限らないだろう。それに、この部落にも夜遅く車を走らせる人はいるだろうし、中沢の車の明かりが人目に付いたとしても、怪しむ人はいないのではないか。ーー
 いずれにしても、心配の種は尽きなかったが、わたしは気を取り直して再び広間を出た。
 玄関で靴入れを開け、サンダルを出して履いた。
 靴入れの横に吊るしてある懐中電灯を手にして外へ出た。
 車庫とは反対側にある物置小屋へ向かった。
 物置小屋の木の引き戸には鍵は掛けてなかった。
 懐中電灯の明かりで中へ入るとシャベルを探した。
 普段使いのシャベルはノコギリなどと一緒にすぐに取り出せる場所にあった。
 わたしはシャベルを手にした。
 ノコギリは必要ないだろう。
 シャベルを持って外へ出た。
 遠く幽かに車の音を聞いたように思った。
 シャベルを手にしたまま暗闇の中で耳を澄ました。
 聞いたように思った車の音は空耳らしかった。
 あるいは遠くを走り去った車の音かも知れなかった。
 物置小屋から戻るとシャベルを家の横に立て掛けて玄関へ入った。
 懐中電灯は消して元の場所へ戻した。
 サンダルを脱いで玄関に上がると広間に入った。
 ソファーに身体を埋めて一息入れ、フッと溜息を付いたが風呂の火が付いたままになっているのに気付いて、慌てて腰を上げた。
 風呂はまだ湧いていなかった。それでもガス栓を閉じてまた広間に戻った。
 再びソファーに身体を埋めると身も心も投げ出すようにして思わず、疲れた ! と呟いた。
 一気に緊張感がほどけて体中が溶けてゆくような感覚だった。 
 頭が極度に重かった。何かが詰まっているようで、咄嗟には何も考えられなかった。
 眼をつぶり、ソファーの背もたれに身体をもたせ掛けてしばらくは何も考えず、閉じた瞼の裏に見える黒い闇だけをじっと見つめていた。
 テーブルの上には途中で買って来た菓子パンや缶コーヒーの入った袋がそのまま置かれていたが、手を延ばす気力も起らなかった。
 一日中、食事らしい食事はしていなかった。
 朝食も長時間、車に揺られる事を考えて多くは口にしなかった。
 母は娘のために作った朝食を食べさせたがってしきりに勧めたが、二口三口、口に運んだだけだった。
「そんなでは昼まで持たねえよ」
 母は娘の小食を心配した。
「うん、でも長い時間、車に揺られるので」
 わたしは言い訳を口にした。
 車に乗ってからは食事どころではなかった。
 勝手知らない道を一刻も早くと思いながら、懸命にハンドルを握っていた。
 途中、喉が渇いて立ち寄った小さな店で菓子パン、缶コーヒー、スポーツドリンクを買い、眼に付いた板チョコを買って口に入れた。あとはスポーツドリンクを飲んだだけだった。
 菓子パンは車の中でも手を付けなかった。
 中沢栄二の来る気配はまだ無かった。
 静かだった。信じられないぐらい静かだ、と思った。
 時々、思い出したようにか細い虫の音が聞こえた。
 他には物音一つなかった。
 風もないのか、建物を囲む白樺の木々の葉を揺する音さえも聞こえなかった。総てが深い闇に包まれた沈黙の中で、わたしの居るこの広い空間を持つ広間だけが唯一、明かりを点し生きている人間の世界を演出しているかのようだった。
 わたしは暫く閉じていた眼を開くと、広間の大時計に視線を向けて時刻を確かめた。
 既に七時三十分を過ぎていた。
 総ての準備が整い、自分の心も落ち着いて来ると、今度は中沢が早く来てくれればいい、と待ち望む気持ちが強くなった。
 あまり遅くなったのでは、明日の朝までに仕事が終わらない恐れがある。
 気持ちは不思議に静かだった。
 わたしソファーから立ち上がると、外が覗けるように少しだけ開けてあるカーテンの傍へ行って再び、外の闇に視線を凝らした。
 依然として、中沢の来る気配は感じられなかった。



          三



 中沢栄二は突然のように訪れた。 
 前庭に車の止まるブレーキの音を聞いて我に返った。
 居眠りでもしていたのだろうか ?
 自分でも醒めていたいのか、眠っていたのか判断が付かなかった。
 わたしはソファーから立ち上がると、カーテンの傍へ行って外を覗いた。
 中沢が玄関の正面に車を乗り付け、何処に停めたらいいのか分からなくて右往左往していた。
 わたしはとうとう中沢が来たと思うと弛緩していた神経が一気に緊張感で満たされ、息苦しくなるのを覚えた。
 そんな気持ちを奮い立たせるようにしてシャンと背筋を伸ばし、姿勢を正してから広間を出て行った。
 玄関の明かりは点けなかった。
 中沢栄二は客ではない !
 彼に対しては敵意をだけしか抱く事が出来なかった。
 わたしが玄関の扉を開けて外へ出ると、車を降りた中沢がドアを閉めようとしていた。
「ああ、だめだめ、そこじゃ駄目 !」
 わたしの声は思わず権柄ずくになっていた。
 その声の厳しさに気付いてわたしはハッと自分を取り戻すと、
「車は車庫に入れてちょうだい」
 と、穏やかな声で言った。
「車庫 ?」
 中沢は勝手が分からないままに不審げに言ったが、わたしの声の調子を疑う様子はなかった。
「ええ、こっちにあるから」
 わたしは今度は不機嫌な感情を抑えて優しさを装い、穏やかに言った。
 中沢は運転席に戻ると、わたしの指示のままに再び車を動かした。




           ‐------------ーーー



            takeziisan様
   

             三十九度の猛暑 わが家の方ではまだ そこまではゆきませんが 連日の猛暑
             気違い熱さです その中での水やり 収穫 
            勿論 規模は話しにもなりませんがわが家の状況 そのまま 
            梅雨時だっていうのになんでこんなに雨が振らないんだ ! 
            プランターの水やりだけでも大変なのに御苦労が身に沁みて理解出来ます 
            その苦労の報酬が新鮮な収穫物 わが家でもキュウリ ピーマン 次から次へと収穫出来ます
            新鮮な味覚の賞味 ささやかな慰めです 
            それにしても井戸水の使用 嬉しい限りですね
            以前にも書きましたが田舎のわが家の井戸水は良い水で評判でした
            記事を拝見し また懐かしく思い出しました
            御近所付き合い 大切ですね 人と人との心の触れ合い
            ホット心が和みます 良い記事でした
             山の写真 今朝 NHKで伊吹山の放送をしていました
            その自然環境の良さを羨望の眼差しで見ていました
            狭苦しい都会の環境に身を置く者に取っては 写真の中でも
            雄大な自然の眺めには心洗われる思いがします
             アカカの滝 初めて聞く曲ですが ハワイアンは良いですね
            その音を聞くだけで若かりし頃の状況が昨日の事のように鮮やかに蘇って来ます
             懐かしいです
             東京までの病院通い この暑さの中 どうぞお気を付け下さい
            肉体は動かさなければ衰えてしまう 一般的な物と一緒で
            使わなれば錆び付いてしまう
            それでもどうぞ 毎日のウォーキング 熱中症には御用心下さい 
             何時も有難う御座います
            楽しい記事の数々を拝見させて戴いた事と共に
            御礼申し上げます