僕は、彼の話を黙って聞いていた。
――先日社会保険庁から封筒が届いていたのです。で、それを開けて見ました。それは、その年齢が来たら貰えるという試算額であった。まだまだ先の話なので真剣には読まなかったが、なんとなくは解った。でも愕然とした。カルチャーショックを受けた。
払ったって貰えないだろうと言われていた年金。少なからず疑っていた。だから何年も国民年金を払っていなかった。そして厚生年金もある時期過少申告して払っていた。それらのツケの総決算。今、眼前に突きつけられた思いだった。あまりにも少なくて、これじゃとても老後暮らしていけない。――
そんな内容だった。そりゃ払ってないのに貰えるわけがない。そりゃそうだ。
、、、、、、、ああ、払っておけばよかった年金を!^ ^;;（綾小路きみまろ風） と言っても既に遅い。
年金を貰うまでまだ10年以上あるが、僕もちょっと不安になった。
電車を降り、駅の地下道を歩いた。この混雑は相変わらず、致し方ない。すると、久しぶりに駅の壁面を賑わすポスターに目を奪われた。「ウコンの力」という文字のそばでスマップの中井君が笑っている。
僕は間違えない。
早乙女右近という名前をしっかり覚えているから、「ウコン」とソラで言える。
だけど、僕の友人阿仁金蔵君が心配なのだ。彼は、五月女雲子と覚え違いをしているからだ。他人に言ったら、交番に連れて行かれるかもしれない。
僕はいつも言うんだ。順番だけは間違えないように、ウコンだよ、くれぐれもウコンだよと、何度も何度も。あるときは徹夜になったこともある。＾＾
漏れない老人用オムツを愛用している彼は、この単語を一番身近に感じている。今度、ムーニーに変えなさいと忠告してあげよう。＾＾おっ!!!こりゃ、ナイスアイデアだ。＾＾
