まもなく夜のとばりが降りてくる。そんな夕暮れのころだった。駅から自宅のマンションまでゆっくり歩いておよそ20分。そこで歩数計を覗いた。11,876歩。朝からこの時間までの歩数。まあまあ、基本・満足か。
郵便ポストを開け何枚かのチラシと郵便物を取ってエレベーターホールに向かった。
到着までのその間に、ふと頭によぎったものがあった。
…………。 オカチメンコ? ん? すでに死語となったようなこの言葉。デジャブか?
エレベーターの前に到着した。どうぞ乗ってくださいと、まるで誘われてるように一階で待機していた。
すぐボタンを押さなかった。束の間そこに立っていると突然エレベーターが上昇を始めた。それを契機に、思うところがあってマンションのロビーに引き返した。
デジャブか、見間違いか、思い違いか、それとも何でもない過去の幻想か。
確かめるためだった。
掲示板を見た。お知らせが何枚も雑然と貼ってある。端から端まー、、。
あっ!
「オカチメンコを見つけて下さい」やっぱりそうだ。これだった。A5の小さな用紙。
ポップ体というか、あまり見ない書体で書かれていた。きっとデザイン経験のある人が作ったのだろう。
そこにはオカチメンコの大きな文字。その下にそのキャッチの半分くらいのゴシック体で「取り急ぎのお願いです」「写真は改めて印刷します」そしてその下に住所と電話番号があった。
既視感どころかたった今見た文字だったことにどこか安心感を覚え、それ以上深く考えず家に戻った。その後も思い出すことはなかった。
その晩、湯船に浸かっていると貼り紙のことがぼんやり浮かんできた。
オカチメンコ……、オカチメンコね~。その言葉を思い浮かべて独り笑いをした。
たしか……「逃げ出しました」とも書いてあったような。オカチメンコが逃げた……。夫婦喧嘩でもしたのか? 深刻だな。貼り紙を出すくらいだから。
家にも一人オカチメンコがいることはいるけど。まさか…………。^^
訝しさが残っていた。翌朝、もう一度掲示板に行ってみた。確かにあった。「逃げ出しました」が。もう一度丁寧に、「オカチメンコ見つけてください」ゆっくり黙読してみた。
あっ! えっ! え~! 何だよ、マジか? これ、誰でも見間違えるよ。絶対に。
オカチメンコじゃなくオカメインコ。インコの話かよ。
じょじょじょらんじゃないよね。^^
おかしい・・・。
キミはこんな作風ではなかった。
そう・・・キミは田吾作といわれて88年。
いまだに芽の出ない種をまいている。
そういう節操のないことは、いいかげんにやめなさいよ。
とまあいろいろあるが、いいできであった。
ほめてつかわすぞ!
オカチメンコ?
久しぶりに88という数字が出てきたな。
それは語るに落ちる。
それと同じだ。
88は64。虫だ。いや無視してもいい。そのムシだ。
それよりも88はむとしだろう
八波むと志。知ってる人はいないかな?
ん?君くらいか。ふむふむ。そうだろ。