思わず声にならない声を出して僕は顔を歪める。
背を向けて僕の前にいた男のかかとが、電車が大きく揺れた際、僕の左足をガシっと踏んだのだ。男はすぐそれに気づいて足を戻した。
申し訳なさそうに振り向いて「あ、すいません、大丈夫ですか?」と一言謝ってくる。「いや、大丈夫ですよ」と、歪めた顔を元に戻し、ニッコリと許してあげるつもりの僕はいた。不可抗力だから、しかたない、当たり前だ。
と、こんなシチュエーションを予想した。
が、全く後ろを振り向く素振りも見せなかった。これっぽっちも。欠片も。
男は、僕よりも5センチくらい高く、広い肩幅で恰幅もよくスーツを着ている。
顔は見えない。
1「おい、コラー、黙ってんじゃねー、ひとこと謝れ!」と怒鳴る。
2「ちょっと、足を踏んだよ」と、とりあえず、頭にきた振りをして文句を言う。
3「……」――こいつ何も言わないつもりかよ、無言で済ます。
4「……」――気性の激しいやつかもしれないし言うの止めとくか、と自分を制する。
5「……」――とにかく、怖いから逃げるが勝ち、火中の栗は拾わない。
どういう行動をとろうか、冷静に計算した。
結局、僕の取った行動は3+4であった。
実はそれほど、頭にもきていなかった。
一応、我慢できる範囲であったからでもあるが、こういう人間もいるんだ、と割り切る。
ただ、どんな顔をしたやつだ、と電車を降りるとき顔をチラっと見る。…うむ、こいつか。
「一人前の大人なんだから、ひとこと謝ることくらいしろ」と、心に毒づく。
ときっと言うと思うね
ときっと言うと思うね
なるほどー、、、、そうか。
一応、2の変形ってところですね?
勇気あるな~~。。僕は、チキンハンバーガーの食べすぎのハートになってしまったから!!!
でも、男と女は、ちょっと違うんだな~。
男の場合は、いざというときに闘うことも考えたりする。ちょっとオーバーか?うっふっふ。