田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

大谷翔平とベーブ・ルース、そして映画

2018-04-02 19:52:14 | 映画いろいろ
 エンゼルスの大谷翔平がメジャー初登板で勝ち投手となった。大谷といえば、投手と打者との二刀流が話題になっているが、メジャーリーグで後にも先にも二刀流として成功したのは唯一人、ベーブ・ルースだけだ。

 ルースは、通算本塁打714本、通算安打2873本、通算打点2217、通算打率342という、希代のスラッガーであったばかりでなく、投手としても通算94勝を挙げている。はてさて大谷はどこまで近づけるのか…。

 

 で、ルースと映画との関わりは、

 まず、『カメレオンマン』(83)では、記録フィルムの中で“無理やり”ウディ・アレンと共演させられている。

 そして、ロバート・レッドフォード主演の『ナチュラル』(84)で、ジョー・ドン・ベイカーがルースをほうふつとさせる“強打者”を演じて、投手レッドフォードと対決するシーンがあった。

 伝記映画としては、ルースの恥部も含め、ジョン・グッドマンが見事なそっくりさんぶりを披露した『夢を生きた男/ザ・ベーブ』(91)がある。

 また『サンドロット/僕らがいた夏』(93)では、主人公の少年の夢の中にルースが現れ、ある選手のカードを見ながら「どうもこいつのことが気になってしょうがない」と語るシーンがある。その選手とは、後にルースの通算ホームラン記録を破ることになる若き日のハンク・アーロンだった…という楽しい楽屋落ちがあった。

 で、ルース自身は、ハロルド・ロイドの『ロイドのスピーディ=ベーブ・ルースさんどうぞ』(28)や、ゲーリー・クーパーがルー・ゲーリッグを演じた『打撃王』(42)に本人役で出演している。ウィリアム・ベンディックスがルースそっくりだったという『ベーブ・ルース物語』(48)は残念ながら見ていない。

 通算本塁打の記録はアーロンに破られ、後にバリー・ボンズがさらに更新したが、ホームラン王=ルースというイメージは不滅だ。

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『追われる男』(55)

2018-04-02 08:30:57 | 復刻シネマライブラリー

 原稿作成のため、ニコラス・レイが『大砂塵』(54)に続いて撮った西部劇を見る。

 

 主演は『オクラホマ・キッド』(39)以来、16年ぶりの西部劇出演となったジェームズ・キャグニー。共演は当時の若手注目株で、後にボー・デレクを妻にしたジョン・デレク、相手役にスェーデン出身のヴイヴェカ・リンドフォース、敵役にアーネスト・ボーグナインという配役。

 公開当時の謳い文句は「壮大な野外シーンを背景に展開するビスタビジョン初の西部劇」だが、内容はあまり明るいものではない。

 大まかなストーリーは、無実の罪で服役していたマット(キャグニー)と、孤独な青年デイヴィー(デレク)が出会う。かつて息子を亡くしたマットは、息子と同年齢のデイヴィーをかわいがるが、デイヴィーは反発して悪事に手を染める、というもの。

 つまり、『大砂塵』の女同士の争いに変わって、今回は疑似父子の対立を描いているのだが、無実の罪を背負ったマット、列車強盗と間違われ町民から狙撃されるマットとデイヴィー、そのせいで片足が不自由になるデイヴィーと、冤罪とそれにまつわる傷がストーリーの鍵を握るところに、赤狩りの影響が感じられるのだ。

 ラストは、キャグニー、デレク、ボーグナインの三つ巴の対決となるが、終わった後に爽快感はなく、苦さが残る。キャグニーは自伝の中で「オフビートな西部劇を作ろうとしたが、ディテールが編集でカットされ、ただのプログラムピクチャーになってしまった」と嘆いている。

 

パンフレット(55・東宝事業課(スカラ座No.55-2))の主な内容
解説/物語/ジェームズ・キャグニー/ロケーションスナップ集/ジョン・デレク/ヴイヴェカ・リンドフォース/ジーン・ハーショルト/ジェイムズ・キャグニイに就て(双葉十三郎)

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