田中雄二の「映画の王様」

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『映画の森』名せりふシリーズ前編 「明日という別の日があるわ」(『風と共に去りぬ』)

2020-06-22 13:34:03 | 映画の森

 共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)6月22日号で、『映画の森』と題したコラムページで「名せりふシリーズ前編」を紹介。

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百恵・友和映画2『古都』

2020-06-22 12:33:17 | 映画いろいろ

『古都』(80)(1980.12.17.東洋現像所)

 山口百恵が、京呉服問屋の一人娘・千重子と、北山杉の村娘・苗子という一人二役を演じるこの映画は、オープニングから「あー、市川崑の映画だ」と感じさせられ、その後も、ひたすら耽美的で、凝った映像が全編を貫ぬく。

 川端康成の原作は未読なので、どこまでが原作通りなのかは分からないが、例えば、姉妹の北山杉での雨宿りや、一つの布団で抱き合って寝るシーンなどは、どちらかといえば、谷崎潤一郎の世界という感じがした。

 また、千重子に失恋し、「僕はやっぱり祇園祭りの稚児さんや。それでええんや…」と自嘲する北詰友樹演じる次男に感情移入しながらも、男はやはり沖雅也が演じた長男のようでなくてはいかんのだと思ったりもした。

 そして、全編を見て感じたのは、「やはり、市川崑という人は並大抵の監督ではない。百恵・友和映画を一級品にしてしまうのだから」ということだった。

 百恵・友和映画を見るのは、『伊豆の踊子』(74)『泥だらけの純情』(77)に続いて3本目なので、断定はできないが、恐らくは、この映画が最高作なのではないか、と感じた。また、千重子の両親役の實川延若と岸惠子の、見事な間の取り方とセリフ回しが絶品で、この映画の質を大いに高めている。

【今の一言】市川崑にとって、この映画は『細雪』(83)の前哨戦的なものになったのではないかと思う。

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百恵・友和映画『伊豆の踊子』『天使を誘惑』

2020-06-22 12:22:52 | 映画いろいろ

 山口百恵と三浦友和が初共演した、川端康成原作、西河克己監督の『伊豆の踊子』(74)は、併映のSF映画『エスパイ』のおまけという感じで見た。

 どちらかと言えば、自分は桜田淳子派だったので、山口百恵にはあまり思い入れがなかったのだ。それもあってか、百恵・友和映画は計12作もあるのだが、原作・藤原審爾・富本壮吉監督の『泥だらけの純情』(77)、原作・高橋三千綱、藤田敏八監督の『天使を誘惑』(79)、そして、百恵の引退記念映画となった、原作・川端康成、市川崑監督の『古都』(80)しか見ていない。

『天使を誘惑』(79)(1982.6.12.)

 先に見た『スローなブギにしてくれ』(81)同様、またしても冴えないビンパチ(藤田敏八)を見ることになった。どうも、中高年の男にこだわり過ぎる気がするのだ。

 彼の考えは、若いカップルに中高年の男を絡ませ、世代間の違いを背景にして若者像を描く、というところにあるのだろうが、『スローなブギにしてくれ』の山崎努と室田日出男、この映画の津川雅彦と大友柳太郎もそうだが、主役たるべき若者たちよりも、むしろ彼らの方に比重が置かれているように見える。

 若者たちとの間で右往左往しながら、生き場所を探す盛りを過ぎた男たち。彼らの嫌らしさや悲哀がにじみ出る半面、主役であるはずの若者たちの姿が、どうしても中途半端なものに映ってしまうのだ。

 もはや、藤田敏八には若者は描けないのだろうか。だとすれば、彼は映画の中の中高年の男たちに、自らの迷いや戸惑いを反映させているのかもしれないと思った。

 ところで、自分にとっての山口百恵はアイドルではなかった。否、考えてみれば、自分は今まで心底熱中できるようなアイドルは持ち得なかった。例えば、ちょっと目立つ新人女優なり歌手が現れれば、「なかなかいいじゃないか」などと思ったりはするのだが、いざ、彼女たちが売れて人気者になると、そこで熱は冷めてしまう。

 独占欲が強いのか、所詮は違う世界の人間だとしらけてしまうからなのか…。一度ぐらい、我を忘れて夢中になれるアイドルの存在があった方が幸せなのでは、とは思うのだが…。

【今の一言】と、40年近く前の、二十歳そこそこの自分は書いている。今、読み返すと、何だか別人のように感じる。で、今の自分は、あの頃のビンパチさんよりも年上になったので、改めてこの映画を見たら、共感したり、身につまされたりするのかもしれない。

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