『ビッグケーヒル』(73)(1981.12.18.月曜ロードショー)
ジョン・ウェイン晩年の映画の一本。この時期の彼の主演西部劇はどれも人情くさい。まるで日本の浪花節的な映画を見ているようで、見ているこっちが、何だか照れくさくなってしまうところがある。
この映画も、『11人のカウボーイ』(72)同様、彼が主役でありながら、ポイントはむしろ子供たちに置かれてる。彼はその子供たちを正しい道に進ませるために、涙ぐましい奮闘を見せてくれるのだが…。
ニューシネマの進出、時代の変化などによって衰退した正調西部劇。ジョン・ウェインはいわばその最後の砦だった。だが、悲しいことに、彼が奮闘すればするほど、時代に合わなくなった男の姿を見る思いがした。もはや、彼が演じる昔気質で、頑固で、温かくて、照れ屋で…そんなオヤジはノスタルジーに過ぎなくなってしまったからだ。
ネビル・ブランドがケーヒルの相棒役のインディアンを好演。悪役ではない彼を見た記憶はほとんどないが、その彼が、この映画では最も愛すべき人物を演じていた。そのギャップが面白かった。
と言いながら、2007年の『MOVIE NO2.ジョン・ウェイン特集』ではこんなコラムを書いた。