共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
『シン・ゴジラ』に続いて、舞台を現代社会に置き換えて再構築した
『シン・ウルトラマン』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1329727
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『シン・ゴジラ』に続いて、舞台を現代社会に置き換えて再構築した
『シン・ウルトラマン』
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『アパルーサの決闘』(08)(2009.3.21.)
「西部劇研究会」に出席。今回はロバート・B・パーカーの西部劇小説『アパルーサの決闘』をエド・ハリスが監督・主演した『Appaloosa』の輸入版DVDを観賞。
牧場主ブラッグ(ジェレミー・アイアンズ)の横暴に悩むアパルーサの町は、秩序を取り戻すためにすご腕のガンマンのコール(ハリス)とヒッチ(ビゴ・モーテンセン)を雇うが…。
パーカーの原作は、保安官、友情、悪党、撃ち合い、インディアン、町、酒場などなど、西部劇的要素満載の面白さで、続編の『レゾリューションの対決』まで読んでしまった。
映画の方は、最近はやりの弾丸のアップやスローモーションもなく、全体的にはオーソドックスで真面目に撮っている印象を受けたが、ハッチと恋仲になるアリソンを演じたレニー・ゼルウィガーが、原作のイメージよりもかわいい感じでちょっと違和感あり。相棒役のモーテンセンがなかなかの好演を見せる。未公開になるほど悪い出来とは思わなかったが、西部劇というだけでダメなのだろうか。
『ブラック・レイン』(89)(1989.10.8.ニュー東宝シネマ2)
日本のイメージが変わってきている
ニューヨークで起きた殺人事件の犯人・佐藤(松田優作)を逮捕したニック(マイケル・ダグラス)とチャーリー(アンディ・ガルシア)は、大阪へ護送中に佐藤に逃げられてしまう…。大阪の街を舞台に、日米の刑事が協力してやくざと戦う姿を描く。
タイトルの意味は、広島への原爆投下後に降った“黒い雨”のこと。そして、それを降らせたことを理由に、日本がいまだに経済力を使ってアメリカに復讐しようとしていると語るやくざの親分(若山富三郎)の言葉が、妙な説得力を持って迫ってきた。そして、優作が狂気的に演じる佐藤は、そんなことはお構いなしの新興やくざだ。
つまり、日本の描写に全く違和感を覚えなかったと言えばうそになるが、かつて日本を舞台にして撮られたスパイ映画『007は二度死ぬ』(67)や、この映画にも出演した高倉健が主演した『ザ・ヤクザ』(74)などと比べると、アクション的にもビジュアル的にも遥かに優れていだけでなく、より深い部分で日本を描こうとしていると感じさせられたのだ。
それは、健さんをはじめ、優作、若山らが、ダグラスやガルシアを堂々と向こうに回して頑張っていたことも大きい。特に健さんは、相変わらずの役柄のようだが、アメリカ映画のフィルターを通すことによって、新鮮さを感じさせるところがあり(何といっても、レイ・チャールズを歌ったのには驚いた)、この映画で演じた松本刑事同様、自分の穴から飛び出して、新たな可能性を示してくれた気がしてうれしかった。近々公開の『あ・うん』(89)でのコミカル味を含んだ演技にも注目してみたい。
ところで、監督のリドリー・スコットの日本のネオンや看板に対する執着も、『ブレードランナー』(82)でその片鱗を知らされてはいたが、今回の、これでもかの大阪のネオンの描写には恐れ入った。加えて、相変わらずの光と影の使い方にも魅せられ、何だか大阪が大阪に見えなくなってくるところがあった。この場合、撮影のヤン・デ・ボンの力も大きいが、日本人ではこうした撮り方は決してできない。それは、彼ら外国人の目から見た日本のイメージがだいぶ変化しているからなのかもしれないと思った。
例えば、『ザ・ヤクザ』では、健さんとロバート・ミッチャムが日本式にお辞儀をして別れたのだが、この映画ではお辞儀をするダグラスを制して、健さんの方から握手を求めるのである。
そして、今やアメリカから見た日本のイメージは、かつてのゲイシャ、フジヤマから、経済大国、マフィアにも劣らぬやくざの暗躍といったものに、変わってきており、アメリカはそうした日本の不気味さに畏怖の念を抱いているのかもしれない。この映画の奥には、そうしたことが潜んでいるのでは、という気がした。
【今の一言】公開時は健さんの頑張りの方に注目していたのだが、この後、優作の急死によって、彼の遺作となったこの映画は彼を語るための映画になった。
【インタビュー】映画『アースクエイクバード』ウォッシュ・ウエストモアランド監督(『ブラック・レイン』が出てくる)
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1204854
健さんのパロディー
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6f4a06115c4de004814e0c49d04a595a
健さんの新たな足跡
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/85483d84925a696f8b433dd5ed395419