『モスラ対ゴジラ』(64)(日本映画専門チャンネル)
『シン・ウルトラマン』を見た後で、この古き良き東宝特撮映画を見ると、いろいろな意味で隔世の感があった。この映画を初めて見たのは1970年の12月、映画館は二子劇場(後の二子東急)。併映は『柔の星』と「アタックNo.1」と「みなしごハッチ」。いわゆる「東宝チャンピオンまつり」の一環としてだった。
「東宝チャンピオンまつり」は、北海道から出てきてうちで働いていた若い衆が、休みに浅草に行くのが好きだったこともあり、ほぼ毎回、浅草東宝に連れていってくれたのだが、この時は珍しく母に連れていってもらったのだった。その母も昨年亡くなった。
『オール怪獣大進撃』(69.12.戸越公園文化映劇.『コント55号 宇宙大冒険』「巨人の星」)
『キングコング対ゴジラ』(70.3.浅草東宝.「巨人の星」「アタックNo.1」「やさしいライオン」)
『決戦!南海の大怪獣』(70.8.目黒京王東宝.「巨人の星」「アタックNo.1」「みにくいアヒルの子」)
『怪獣大戦争』(71.3.浅草東宝.「アタックNo.1」「みなしごハッチ」「いなかっぺ大将」「ムーミン」)
『ゴジラ対ヘドラ』(71.7.浅草東宝.「帰ってきたウルトラマン」「みなしごハッチ」「いなかっぺ大将」「わらしべ長者」 )
『三大怪獣 地球最大の決戦』(71.12.浅草東宝.「帰ってきたウルトラマン」「みなしごハッチ」「いなかっぺ大将」「マッチ売りの少女」)
『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(72.3.荏原武蔵野館.「帰ってきたウルトラマン」「ミラーマン」「みなしごハッチ」「かしの木モック」「天才バカボン」)
『ゴジラ対メガロ』(73.3.荏原武蔵野館.「飛び出せ!青春」「パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」「ジャングル黒べえ」)
「東宝チャンピオンまつり」は、ゴジラ映画の旧作の短縮版か新作に、テレビのドラマやアニメを編集したものを加えて上映していた。ちょうど自分が小学生の時だったので欠かさず見ていた。今から思えば、映画が好きになるきっかけを与えてくれたイベントだった気がする。
ゴジラシリーズの脚本・関沢新一
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/15933c015f12ba350b0c9e78bb82c1d7
古関裕而が鎮魂の思いを込めた「モスラの歌」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f18cb336b1e3cf36a15180929de41406
『きみがくれた未来』(10)(2010.10.8.東宝東和試写室)
救命士フロリオ
原題の「チャーリー・セント・クラウド」は主人公(ザック・エフロン)の名前。毎日、日没時にキャッチボールをする仲のいい兄弟が交通事故に遭い、兄だけが助かる。
だが、弟は成仏できずに兄の前に霊となって現れる。罪の意識を持つ兄は、毎日弟の霊とキャッチボールをすることを誓うが…。「とても胸が痛むよ」という兄に、弟の霊が「それは兄さんが生きているからさ」と答えるところが切ない。
死者とのキャッチボールは『フィールド・オブ・ドリームス』(89)、霊との対話は『シックス・センス』(99)、ヨットでの冒険は『ジョーズ2』(78)を思い起こさせられるが、それらの要素を混ぜ合わせて、エフロン主演の若者の独り立ち映画を作ったと言うべきか。
亡くなった弟はレッドソックスの大ファンという設定。だからヨットの名前はレッドソックスの至宝テッド・ウィリアムスのニックネーム「スプレンディット・スプリンター」で、弟の霊はいつもレッドソックスの真っ赤なジャケットを着て現れる。
おまけに、『フィールド・オブ・ドリームス』でシューレス・ジョー・ジャクソンを演じたレイ・リオッタが救命士役で、『ナチュラル』(84)に出ていたキム・ベイシンガーが母親役で出演と、野球映画ネタも散りばめられていた。
『炎の少女チャーリー』(84)(1988.9.27.ザ・ロードショー)
政府の薬物実験「ロト6」を受けて超能力を得た両親の間に生まれ、パイロキネシス(自然発火)能力を持つ少女チャーリーに、軍事利用を企む謎の組織ザ・ショップの追手が迫る。
スティーブン・キングの小説『ファイアスターター』を映画化。製作ディノ・デ・ラウレンティス。ジョン・カーペンターが降板し、マーク・L・レスターが監督を引き継いだ。音楽はタンジェリン・ドリーム。当時8歳のドリュー・バリモアがチャーリー役で主演。
前半は父(デビッド・キース)とチャーリーの逃避行を描き、そこにアート・カーニーとルイーズ・フレッチャーの老夫婦が絡む。
後半は、組織に拉致された父娘と絡む、組織の親玉役のマーティン・シーンと、特殊工作員レインバード役のジョージ・C・スコットが大芝居を見せる。特にチャーリーに対してロリコン的な興味を示すレインバード=スコットの異常性が際立つ。
ただ、全体的には雑なところが目立ち、もやもやさせられるし、ラストも、まるでチャーリーによる大量殺人を見せられたようで困惑するところがあった。また、この映画の後、バリモアの身に起きた試練を思うと、複雑な思いを抱かされた。
『炎の少女チャーリー』(22)(2022.5.27.東宝東和試写室)
38年ぶりのリメーク作。チャーリー(ライアン・キーラ・アームストロング)と両親(ザック・エフロン、シドニー・レモン)との関係、レインバード(マイケル・グレイアイズ)の役割など、人物設定は、84年版よりも丁寧に行っている印象を受けたし、ストーリーも整理されていた。また、84年版よりも、チャーリーの屈折を掘り下げ、同じくキング原作の『キャリー』をほうふつとさせるところもあった。監督はキース・トーマス。
製作者の一人にラウレンティスの名(恐らく一族)を見付けたのと、音楽を84年版で監督を降りたジョン・カーペンターが担当していたのには驚いた。
チャーリーは、『エクソシスト』(73)のリーガン(リンダ・ブレア)と同じく、ある意味、呪われた役ともいえる。今後、アームストロングにバリモアやブレアのような不幸が訪れないことを願う。