『八つ墓村』(96)(1996.12.9.渋谷宝塚)
天涯孤独の青年・寺田辰弥(高橋和也)は岡山の資産家・田治見要蔵の遺児であることを知らされ、故郷の八つ墓村を訪れる。村では戦国時代、村人に惨殺された8人の落ち武者のたたりの言い伝えがあり、過去には、忌まわしい殺人事件も起きていた。さらに帰郷した辰弥の周りで次々と奇怪な事件が起きる。
市川崑による金田一耕助ものが17年ぶりに復活した。しかも、松竹が映画化したたために、当時監督ができなかった『八つ墓村』である。
言わずと知れたストーリーは、松竹版とは異なる脚色が施され、名探偵・金田一耕助も石坂浩二から豊川悦司に代わり、レギュラー陣も一新されたところに時代の流れを感じる。
だが、かつて三木のり平や大滝秀治といった芸達者な人たちが演じたコメディリリーフ的な遊びや余裕までが消えてしまい、唯一残った加藤武が妙に浮いてしまう始末。
以前の市川=金田一耕助シリーズの長所は、原作の複雑なストーリーと猟奇性、雑多な登場人物を巧みに整理し、そこから原作にはない味を生み出していたところだったのだが、その点でも、今回は物足りなさを感じた。これは市川崑の老いによるものなのだろうか。
『八つ墓村』(77)
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