田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ザ・バイクライダーズ』

2024-11-27 08:40:16 | 新作映画を見てみた

『ザ・バイクライダーズ』(2024.8.21.東宝東和試写室)

 1965年、シカゴ。不良とは無縁の日々を送っていたキャシー(ジョディ・カマー)は、けんかっ早くて無口なバイク乗りのベニー(オースティン・バトラー)と出会って5週間で結婚を決める。ベニーは地元の荒くれ者たちを束ねるジョニー(トム・ハーディ)の側近でありながら群れることを嫌い、狂気的な一面を持っていた。

 やがてジョニーの一味は「ヴァンダルズ」というモーターサイクルクラブに発展し、各地に支部ができるほど急速に拡大していく。その結果、クラブ内の治安は悪化し、敵対するクラブとの抗争も勃発。暴力とバイクに明け暮れるベニーの危うさにキャシーが不安を覚える中、ヴァンダルズで最悪の事態が起こる。

 アメリカの写真家ダニー・ライアンが1965~73年にかけてシカゴのバイクライダーの日常をとらえた同名写真集にインスパイアされた作品で、伝説的モーターサイクルクラブの栄枯盛衰を描く。監督・脚本は『MUD マッド』(12)『ラビング 愛という名前のふたり』(16)のジェフ・ニコルズ。

 ノスタルジックな雰囲気があるこの映画は、60年代のバイクカルチャー(バイク、ジャケット、ブーツ、ワッペン、酒とたばこ、ロック、リーゼント、そして写真…)に興味がある人にはたまらないものがあるだろう。

 だが、たとえそうでなくても、ライダーたちの群像劇として楽しめるし、その中から、失われた時代への郷愁や、リーダーの存在、組織を運営する難しさなどが浮かび上がってくるところが面白い。

 そのアウトローたちについて、女性であるキャシーがインタビューを受けながら、一歩引いた目で当時を振り返るという構成もユニーク。ハーディやバトラー、マイケル・シャノンらの渋い演技も見ものだ。

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「BSシネマ」『博士と彼女のセオリー』

2024-11-27 07:26:50 | ブラウン管の映画館

『博士と彼女のセオリー』(14)

ホーキング博士を描いた
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a2133aec16162aee50797ed6f8927bdc

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『ドリーム・シナリオ』

2024-11-26 21:59:35 | 新作映画を見てみた

『ドリーム・シナリオ』(2024.11.26.オンライン試写) 

 大学教授のポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)は、妻(ジュリアンヌ・ニコルソン)と2人の娘と一緒にごく平凡な生活を送っていた。だがある日突然、何百万人もの人々の夢の中にポールが一斉に現れたことから一躍有名人となる。

 メディアからも注目を集め、夢だった本の出版まで持ちかけられて有頂天のポールだったが、ある日を境に夢の中のポールが人々にさまざまな悪事を働くようになり、現実世界の彼も大炎上してしまう。自分自身は何もしていないのに人気者から一転して嫌われ者になったポールは果たしてどうなるのか…。

 このところ『ボーはおそれている』『関心領域』『シビル・ウォー アメリカ最後の日』といった問題作を連作しているA24の製作映画。『ミッドサマー』(19)のアリ・アスターが製作に名を連ね、『シック・オブ・マイセルフ』(22)のクリストファー・ボルグリが監督・脚本を担当した。

 大勢の人々の夢の中に、なぜポールが現れたのかについての理由は説明されない。それ故、ポールが抱く困惑や恐怖が強調される。また、この上ない不条理な状況に陥っていくボールの姿を通して、インターネットミームの功罪や、群集心理の恐ろしさを感じさせるあたりがユニークだ。

 ケイジは、人一倍の承認欲求はあるものの、主体性がなく風采も上がらないポールという”一人の人物"を演じているのだが、彼はいろいろな夢の場面に現れるので、こちらはケイジが一人で何役も演じているような錯覚に陥る。このあたりは映像のトリックをうまく利用している。

 『ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄』(15)でケイジにインタビューした際に、B級アクションやホラー映画が好きなのかと尋ねると、「ホラー映画は本質的に創造力にあふれたジャンルだと思っているから僕にとっては特別なもの。個人的には超自然現象や幽霊が出てくるようなチャーミングなホラーが好き。SFにはとても興味がある、なぜならSFの形を借りて今という時代の社会や世界についていろいろなことを語ることができるからだ」という答えが返ってきた。

 また、幅広い役柄を演じ分けるコツについては、「僕にとっては興味や多様性を持ち続けることが必要なので、広範囲にわたる役柄を演じている。一つの役柄を演じ続けたり、同じタイプの映画に出演し続けることがないようにしている」と語った。

 プロデューサーも兼ねているこの映画は、彼のそうしたポリシーを如実に反映しているとも言えるだろう。

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【ドラマウォッチ】「嘘解きレトリック」(第8話)

2024-11-26 11:10:28 | ドラマウォッチ

「『君という人がいてくれて僕は幸せ者ですね』って、もうこれはプロポーズだろ」
「何て幸せで優しい世界。本当に大好き」

https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1454835

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「BSシネマ」『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』

2024-11-26 07:32:59 | ブラウン管の映画館

『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1994.2.23.シネセゾン渋谷)

 1870年代のニューヨーク。若き弁護士のニューランド(ダニエル・デイ・ルイス)は、美しい令嬢メイ(ウィノナ・ライダー)と婚約したばかりだったが、メイのいとこで、夫と別居してヨーロッパから帰国した幼なじみのエレン(ミシェル・ファイファー)に強く引かれる。

 だが、格式と体面を重んじる保守的な社交界では、2人の恋は許されないものだった。女性初のピュリツァー賞を受賞したイーディス・ウォートンの小説をマーティン・スコセッシ監督が格調高く映画化。アカデミー衣装デザイン賞を受賞した。

 本来、自分の趣向とは合わないこの映画を見る気になったのは、スコセッシの監督作だからというのはもちろん、ジャック・フィニイの『ふりだしに戻る』の世界が再現されているという記事を読んだからだった。

 いざ見てみると、19世紀のニューヨークの再現、衣装や小道具へのこだわり、ミハエル・バルハウスによるめくるめくカメラワークなどに目を奪われるし、スコセッシがルキノ・ビスコンティの諸作やウィリアム・ワイラーの『女相続人』(49)を思わせるような純文学映画を撮ったことに驚きもするのだが、こうした上流社会の恋愛ものが苦手な自分にはやはりピンとこないところがあった。

 それは、ファイファー、ライダーといったきれいどころはいいとしても、どうもデイ・ルイスになじめなかったことも大きかったと思う。

 それにしても、一貫して過激な題材の中で庶民の成り上がりの悲しさを描いてきたスコセッシが、なぜこの題材を選んだのかという疑問が消えないのだが、最近ユダヤ系のスピルバーグが不似合いとも思える『シンドラーのリスト』(93)を撮ったことを考えると、この映画は、ニューヨーク育ちのスコセッシが、古い時代のニューヨークを描くことに、自らの故郷に対する思いを反映させたものだったのかもしれない。

 あるいは、閉鎖的で異常性もある社交界と彼が好んで描くギャングやマフィアの世界に共通性を見付けたからなのか、などといろいろとこじつけてはみたものの答えは出ない。何か気持ちの中に釈然としないものが残ってしまった。

 この映画のタイトルデザインは、久しぶりの復活となったソウル・バス。スコセッシは『ケイプ・フィアー』(91)の時もバスを起用していたからお気に入りなのだろう。こういうところが映画狂スコセッシの面目躍如だ。


【今の一言】この映画に抱いた違和感を、スコセッシに似合う題材だった『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)が払拭してくれるかと思ったが、こちらもいまいちだった。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/85718e5d1f88941e70bcfda3bd7cfe0e 


 

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【ドラマウォッチ】「海に眠るダイヤモンド」(第5話)

2024-11-25 10:56:54 | ドラマウォッチ

「鉄平を探せ!」
「考察するにはまだいろいろなことが足らな過ぎる」

https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1454708

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【ドラマウォッチ】「バントマン」(第7話)

2024-11-25 10:54:03 | ドラマウォッチ

「ヒーローの言葉は胸に響く」
「空振りしてもめげずに笑うのが藤堂さんの良さ」

https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1454715

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「BSシネマ」『雨あがる』

2024-11-25 07:25:32 | ブラウン管の映画館

『雨あがる』(00)

原作・山本周五郎、脚色・黒澤明
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7b37ce5d912e84fef8be95003876b711

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スター評伝 参考文献2

2024-11-24 00:54:58 | ブックレビュー

『石原裕次郎 昭和太陽伝』(佐藤利明)

「西部警察」世代が知らない裕次郎がここにいる!!  石原裕次郎三十三回忌に娯楽映画研究の第一人者が送る渾身の本格評伝。710ページの大冊。恐れ入りました。

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北の富士、玉の海、大鵬、旭國

2024-11-22 09:01:16 | スポーツ

 小学生の頃、まさに“巨人・大鵬・卵焼き”だった自分から見ると、大鵬を脅かす存在となった北の富士と玉の海は敵役だった。

 1970年5月場所、同時に横綱となった北の富士と玉乃島改め玉の海。彼らに対して横綱としての晩年を迎えた大鵬が最後の意地を見せ、その後しばらく三つ巴の優勝争いが展開した。そして大鵬引退後に訪れた北玉時代。千秋楽の横綱同士の熱戦の後、勝敗の別なく、互いの健闘を称え合うかのようにうなずき合う2人に好感を持った。

 だが71年秋場所後の玉の海の急死によって北玉時代はあっけなく終わった。もし玉の海が生きていたら、北の富士の横綱としての寿命は確実に延び、2人がしのぎを削るような相撲が見られたはず。そう思うと残念でならない。

 北の富士といえば、72年初場所、貴ノ花の捨て身の投げに対して、北の富士がついた右手がつき手かかばい手かで物言いがついた一番も忘れ難い。後に北の富士は「何度もビデオを見ているうちに、悔しいけれど彼(貴ノ花)が勝っていたのかなと思うようになった」と語っていた。

 引退後は、九重親方となり、千代の富士、北勝海という2横綱を育て、解説者としても活躍した。玉の海の死から53年。力士(横綱)としては長生きで天寿を全うしたのではないか。

 先日、「食いついたら離れない」ピラニア、あるいはさまざまな技を駆使することから相撲博士の異名を取った小兵の元大関・旭國も亡くなった。78年3月場所での魁傑との2度の水入りを含む合計10分を越える大相撲が印象に残る。この人も大島親方として横綱・旭富士や旭鷲山、旭天鵬といったモンゴル勢を育てた名伯楽でもあった。

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